6月30日、22時頃
生まれて初めて味わう激痛と、おしっこが漏れそうなのを必死に我慢する苦しさで本当に辛かったです。朝9時半の先生の回診まで耐えられるのかどうか、あまりにきつくて頭がおかしくなりそうだとまで思ってしまってました。
この時間になるまでナースさんが2時間に1回くらいかな、体温、血圧、酸素飽和度を計測しつつ、
「体調いかがですか?」
と声をかけてくださっているのですが、女性ナースさんから、
ガスはどうですか?
と言われました。
ガス?、ガスってなんじゃらほい?
ああ、おならかあ!
そうなんです。覚醒してからずっとおならが出ていないんです。腸に関連した手術なのでやはりおならは回復度合を計る目安なのでしょうか。
実は、単純におならが出ていないわけではなかったのです。何度か出る気配がありましたし、話しかけられたそのときも実は肛門際までやってきていたのです。
でも出ないんです、おなら。出せないんです、おなら。なぜかというと、おならを出そうといきむんですけど、患部が激しく痛んでいきみきれない、つまりあまりの痛みに途中で出すのを諦めてしまうんです。
そのことを女性ナースに切実に切実に訴えました。すると、
「別の種類の鎮痛剤をお持ちしますね。」
と言って退室していきました。
そういうことじゃねぇんだよなあ。
と思っていると、はいはい来ました。ついにやつが、水戸さまが、親分がやってきました。そう、
うんちです。一番来てほしくないやつが来てしまったのです。
やべっ。ナースコール。
男性ナースが来ました。
すみません、大きいほうが出そうです。
はい、わかりました。差し込み便器をお持ちします。
えっ?、えっ?、何?、なんですと?
さ、さ、さしこみ、なんだって?
入院経験がある方ならおわかりなのでしょうが、初体験の俺にはなんのこっちゃわからない。すこししたら持ってきてくれました。
、、、
おまるやないかい!!
これで?、ここで?、なんで?、トイレまで3歩歩くだけなのに?
、、、
そうなんです。絶対安静厳守なので、たとえトイレが目の前であっても行くことはできず、おしっこはカテーテル、うんちは、身体とベッドの間に差し込む便器に出すしかないのです。
え〜、え〜、ほんとですか?、ここで?
やだよ〜、やだ〜、やだ〜、やだ〜。
って本当に言っちゃいました。おねえのように。
そうですよね、いやですよね、ごめんなさい、でもそういう決まりなんです。ごめんなさい。女性ナースよりも男性の方が恥ずかしくないですよね。男性を向かわせますから出そうであればナースコールで呼んで下さい。
、、、
こ、こ、これが入院、、、なんと、、、
、、、
あ、あ、あ、きちゃった、、、
、、、
プ〜、ブリブリブリブリ
しばし放心状態。まさしく 「無」 の境地。
アスリートの言う 「ゾーン」。
ナースコール押しました、男性ナースがきてくれました。オムツを変えてもらう赤ちゃんのようにM字開脚しながら腰を上げました。お尻を拭いてくれました。あったかいウェットティッシュでした、、、
、、、
ありがとうございました。本当に申し訳ないです。
としか言葉が出ませんでした。
いえいえ、私も入院経験がありますけど同じでした。気にする必要は全くないですよ。まだ出るかもしれないんで遠慮せずに呼んでください。
そう言って、戦士は去っていきました。うんちたっぷりのおまるを手にして。
残された俺の目には涙が。
あああ、悲しい、情けない、、、
痛み、おしっこ、うんちの三重苦に苦しめられた令和のヘレンケラーこと俺みっちゃん。一人泣きました。あああ、なんという敗北感、入院恐るべし。情けない、悲しい。この夜もまた一睡もできずに朝を迎えることになるのです。
泣きながら、、、
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