祐子内親王家紀伊が百人一首に残した作品は、、、
♪ 音にきく 高師の浜の あだ波は かけじや袖の 濡れもこそすれ
です。
読みは、
♪ おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ
となります。
この歌は、祐子内親王家紀伊が70歳の時の作品と言われています。
「艶書合わせ(えんしょあわせ)」という遊びをしたそうです。
「艶書合わせ」とは、まず男性側から女性側に歌を贈り、
その返しの歌を女性から男性へ返させるという遊びでです。
そんな「艶書合わせ」の1コマです。
当時29歳の中納言藤原俊忠の歌:
♪ 人知れぬ 思ひありその 浦風に 波のよるこそ いはまほしけれ
(私は人知れずあなたを想っています。
浦風に波が寄るように,
あなたに一夜お目にかかってこの胸の内をうちあけたいのです)
そして、この中納言藤原俊忠の歌に返したのが、祐子内親王家紀伊の歌です。
♪ 音にきく 高師の浜の あだ波は かけじや袖の 濡れもこそすれ
音にきく (噂に高い)
高師の浜の (高師の浜の)
あだ波は (虚しく寄せ返す波は)
かけじや袖の (かけないようにしましょう。袖が)
濡れもこそすれ(濡れては大変ですからね)
1句「音にきく」の「音」は、何か物音がしたのではなく、噂を意味します。
2句「高師の浜」とは、大阪府堺市辺りの海岸だそうです。
「高師」と「高し」の掛詞(かけことば)です。
3句「あだ波」は、「虚しく寄せ返す波」を意味しますが、
この歌では、上の句(1句・2句・3句)の
♪ 音にきく 高師の浜の あだ波は
で、
「浮気者だと噂に高い、あなたの誘い文句などは」
という意味を含ませています。
表面的な意味は、
「噂に聞く、高師の浜の、虚しく寄せ返す波」
そして、下の句(4句・5句)
♪ かけじや袖の 濡れもこそすれ
で、
「波がかからないようにしましょう。袖が濡れては大変ですから」
の部分に
「浮気者のあなたの誘い文句に、かからないようにしましょう。
後で、浮気されて、涙で袖が濡れてはつまらないですから」
という意味を含ませています。
4句「かけじや袖の」の「じ」は、打消し・意思の助動詞です。
https://note.com/joplinjp/n/na50fb051dbd3
5句「もこそ」:
強意の「も」+強意の「こそ」。
「こそ」は、已然形に接続。
「すれ」:「す」の已然形
・・・噂に高い高師の浜の虚しく寄せ返す波は
・・・かけないようにしましょう。
・・・袖が濡れては大変ですからね
・・・同じように
・・・浮気者だと噂の高いあなたの誘い文句に、かからないようにしましょう。
・・・後で、浮気されて、涙で袖が濡れてはつまらないですからね
中納言藤原俊忠は、浮気者という噂が高かったのでしょうかね?
その中納言藤原俊忠の誘いを上手くかわした祐子内親王家紀伊。
上手いですね(笑)
それにしても、70歳の祐子内親王家紀伊に
「想いを寄せる歌」
を詠んだ29歳の中納言藤原俊忠とは何者でしょうね?
調べたら、藤原道長の曾孫だそうです。
藤原道長 ─ 藤原長家 ─┐
┌────────────┘
└ 藤原忠家 ─ 中納言藤原俊忠
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【祐子内親王家紀伊】
https://note.com/joplinjp/n/n19774510a65e
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