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2023年03月30日15:41

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芳幾・芳年ー国芳門下の2大ライバル【後期】

三菱一号館美術館で開催している芳幾・芳年の後期展示が始まったので行って来た。
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芳幾・芳年の前期の感想はこちら↓
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984618322&owner_id=429476&org_id=1984654977

前回行った時よりもやや混んでいたが、それでも3時過ぎたら人は減ったし、快適に観られました。これが北斎だとこうはいかないのよねぇ。

今回私が観たかったのは、芳年の肉筆『五条橋』。以前1度観てると思うのだが、この絵が凄く好きで、もう、この1枚の為に行ったと言っても過言ではない!で、この絵をトータルで30分くらい観てたと思う。戻って来ちゃ観て、戻って来ちゃ観て。係り員さんに「あの人、何回戻ってくんだよ!」と思われてなかろうか?

笛を吹き、しゃなりしゃなりと歩く美少年牛若丸。その牛若を覗きこむのは薙刀を持った弁慶。気迫のこもった視線でねめつける。まぁ、この後、牛若にボッコボコにされるのですが…。線の美しさ。そして、薄墨の美しさ。左には月も出ている。薄墨で描かれた遠山、雲、欄干の影。もう、本当に美しい。

今回無念だったのは、乳がん手術で入院してたので、肉筆の梅若君が観られなかったコト。おっぱい取って3日目、病院で「あ〜、今頃梅若展示されてんなぁ。」と思ってました。でも、牛若丸観られたから良し!

国芳の絵も一部展示替えしてた。以前は聖徳太子がビームを出していたが、今度は物の怪がヘソからビームを出していた(城四郎長茂空中に怪異を見る)。ビーム好きだな国芳!

芳幾の鳴神上人の着物は白地に白の文様が入ってるコトも、今回角度を変えて観て分かった。てか、今回、錦絵のところも正面刷りの説明なかったから、こういう地模様に気付かない人もいたんじゃないかなぁと思う。綺麗なのに。自分で観る角度を変えて、上手く光を当てないと地模様分からないんだよね。ベタって観えちゃうの。ひょっとすると音声ガイドで、その旨説明されてたのかもだが。

で、もう一つの目当ては、芳幾の『太平記英勇伝』の後期。加藤清正の虎狩り恰好良いねぇ。そして、無事、森蘭丸観られました!これ、観たかったんだぁ。芳幾もやっぱり蘭丸は切れ長の目の美青年に描くんだな。まぁ、今でも蘭丸はイケメン役者が演じるか。本能寺で戦っている絵だった。持ってるのは槍かな。でも、結果追い詰められてしまう…。18歳で死んじゃうんだっけ?
あと、最後、秀吉公と秀次が並んでてエモかった。最後の大トリはやっぱり秀吉なのね。

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芳年『矢嶋大谷戦之図』。矢嶋ってなってるケド壇ノ浦の戦い。これも私、大好きで、今回又観られるのを楽しみにしてた。今回は写真もOKだった。平家が滅びる壇ノ浦の戦い。建礼門院が左端にいるのだが、それを義経が覗いてる。船の中で義経が建礼門院に言い寄った…という逸話が元ネタなのだが、改めて観たら、建礼門院凄く迷惑そうな顔してるのね!(笑)「何コイツ、引くはぁ〜。状況考えてよ〜。」みたいな顔なの。義経は普通に男前に描かれてるんだけど。
朱の美しさ、御簾が煽られ捲り上がる描写、紙の舞い方、どれも全て美しい。

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角度を変えて観ると、義経の兜が銀色に光って観えてとても綺麗だった!こういう仕掛けもあるんだねぇ。

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芳年 『武者无類 平相国清盛』清盛入道イケイケの頃。建物の工事が間に合わない!ならば沈む太陽を呼び戻そうぞ!と、扇で太陽を呼び戻してる図。「ヘイ!太陽カモン!」何と、太陽は戻って来たと言う。それぐらい清盛がイケイケだった頃。
画像だと分かり辛いと思うが、これ、正面摺りがとても美しいの。左が角度を変えて光を当てると浮かび上がる正面摺りの文様ありの絵。右側のように普通に真直ぐ観ると、黒い衣に観える。
そもそも錦絵って、庶民の物で、手に取ってくるくる回して観てたから、こういう仕掛けも色々あったんでしょうね。「お〜、模様が浮き出る浮き出る!」とか言って楽しんでた。

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芳年 木下藤吉郎。藤吉郎の富士川の初陣の姿。敵の大将の伊藤祐国と富士川で出くわし、藤吉郎は馬を槍で突き、川に落ちた祐国に留めを刺したんだそうな。敵将の生首を持ち上げる藤吉郎。ちょっと嬉しそうに口元には笑みが浮かんでるようにも見える。全体的に青い絵なのだが、生首から滴る血と血刀がアクセントになっている。
芳年は血をアクセント使いするの上手いと思うよ。下品にならないの。色合い考えてるんでしょうね。

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芳年 九郎判官源義経能登守教経 舟に乗ってる赤い着物が義経。構図が大胆で恰好良い。

芳年の『徳川累代像顕』という、徳川のメジャー将軍大集合みたいな絵があったのだが。今回1番気になった絵が下。因みに部分です。↓
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めっちゃ犬を愛でる犬公方こと綱吉と、それをちょっと呆れた顔で見てる家綱(爆笑!)。綱吉「か〜わ〜い〜い〜、犬、か〜わ〜い〜い〜ハート達(複数ハート)」と言ってる声が聴こえそうなほど、幸せそうな顔だぞ!家綱「コイツ、どんだけ犬好きなんだよ!」の顔(笑)。この絵、皆この部分が好きなのか、写真待ちの人がちょっといたくらい人気だった(笑)。でも、綱吉さんて、生類憐みの令以外は、政治家としてはとても優秀だったらしいよ。

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同じ徳川の絵の中の家光。これも黒の衣の正面摺りが美しかった。左側が光を当てて正面摺りが浮かび上がったヴァージョン。

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芳幾 東京日々新聞 記事の内容は、老夫婦がいた。夫は節約して貯めた五百円を棺桶に入れるよう遺言を残したが、妻の老婆は親戚の勧めで空の財布を棺桶に入れた。その後、鬼が現れ「成仏出来ない夫の為に金を出せ」と老婆に迫った。老婆が金を取りに行くと、その間に鬼が傍にあったぼた餅を食べて悶死。実は鬼は親戚が化けた姿で、ぼた餅は別の親戚が老婆を殺して金を盗もうと用意した毒入りぼた餅だった。
3面記事的内容だね。悶絶する鬼(てか親戚)。親戚の勧めって、そもそも後で盗むつもりだったのね(-_-;)。

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芳幾 日々新聞。清十郎が馴染みの芸者おさとを殺す場面。これ、ようはストーカー殺人だと思うんだぁ。今でもあるよね。清十郎は同じ名前の21歳の奥さんもいるってのに…。殺害場面に英名〜風味があるね。

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芳幾 日々新聞。私この記事結構好きだったな。79歳の甚助と67歳の老婆お犬が恋仲になり、65歳の奥さんが怒り、お犬と甚助は逃げ出すも、途中でお犬さんが卒中で死亡。って記事。絵は老人2人の道行き。お犬さん、ちゃんと手拭いを噛んでいらっしゃる。老いらくの恋をたしなめる記事なんだろうケド、いくつになっても恋をするんだな…という記事にも読める。まぁ、甚助、奥さん捨てちゃったのはマズイと思うが。

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芳年 郵便報知。物の怪が奥さんを舐めまわすって記事。何このエロオカルト話!てか、今もあるね、エロ怪談!怪談師の番組で聴いたコトあるぞ!何なら「エロ怖い話」的なDVD出てるぞ!今も昔も変わらないのねぇ。

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芳年 『月百姿 雨後の山月時致』曽我兄弟の弟の方。五郎君。父の仇の工藤佑経を討つべく富士の巻狩りの最後の晩に、佑経の御旅館へ向かう時の姿。鎌倉殿〜でもやってたね。佑経は我が家の坪倉氏が演じてた。
構図が美しい1枚なのだが、これも、光りを当てたら、手甲部分と脚部分に文様が浮かんだ。これも正面摺り?こんな細かい仕掛けあるんだ!と感心してしまった。

芳幾は、江戸砂子々友遊不忍弁天も好きだった。子供と犬と、横にいるのは蕎麦屋?とにかく何かの屋台。犬が蕎麦っぽい物を咥えてる。食べられちゃったのかな?子供が楽しげに不忍池で遊んでる。後ろの赤は夕日だろうか?今も同じ風景は感じられるかな?屋台の蕎麦屋はないかもだが、トルネードポテトの屋台はあるぞ!(以前行った時あった。食べた。)

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この展示が終わると、三菱一号館美術館は改修工事の為、長期休館します。グッズショップもリニューアルするそうで、欲しい物がある人はお早目に。
この、ホームズとワトスン君が出て来そうな建物とも暫くお別れだなぁ。
展示は4月9日までやってます。
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