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2023年01月23日20:55

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中共肺炎が収束しても労働者の意識変化で慢性的人手不足状態

労働者に起こった見えない変化、コロナが収束しても昔の職場には戻らない理由
日本経済を苦しませる人手不足による供給制限
2023.1.23(月)
加谷 珪一

 3年ぶりに行動制限がない年末年始だったことや インバウンド消費が一部復活していることなどから、2023年は景気が上向くのではないかとの期待が出ている。一方、深刻な人手不足から供給が追いつかない可能性も指摘されており、日本経済は微妙な状況が続く。(加谷 珪一:経済評論家)

景気が良いからタクシーがつかまらないのか?

 内閣府が2023年1月5日に発表した昨年(2022年)12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す消費者態度指数は前月比1.7ポイントと4カ月ぶりの上昇となった。年末年始は行動制限がなかったことから、各地は多くの人手で賑わい、道路も混雑している様子だった。

 昨年の年末からは、都内を中心にタクシーがつかまりにくい状況が続いている。タクシーの実車動向は、街角で景気を見定める有力指標とも言われており、一部の人はこうした状況から景気は上向きつつあると判断している。

 諸外国がコロナ後に向けて動き始めたこともあり、日本においても消費者心理が改善しているのは間違いないだろう。しかしながら、タクシーがつかまりにくいことや混雑の背後には、なかなか人材が獲得できないという供給制限要因があることを忘れてはならない。日本はもともと人手不足が深刻だったが、今回のコロナ危機をきっかけに、人手不足はより本質的な問題に進化した可能性があり、今後の経済動向に大きな影響を与えることになるかもしれない。

 このところ顕著となっているタクシーのつかまりにくさというのは、実は景気が拡大していることが最大の要因ではない。タクシーの供給台数が大幅に減少しており、供給が制限されている要因が大きいのだ。


 一般的にタクシーの台数減少と聞くと「減車(過当競争を防ぐためあえて車両を減らすこと)」というキーワードが思い浮かぶかもしれないが、今回はそうではない。ベテランを中心に多くの運転手が職場から離れており、人員が足りないため車両があっても実働できない状況にあり、これが供給制限を引き起こしている。

 近年はかなり改善されてきたとはいえ、タクシーの職場環境は厳しく、待遇も決して良いとは言えない。こうした業界では何らかの出来事をきっかけに、一旦、従業員が職場を去ってしまうと、その後、人員を確保することが極めて難しくなる。飲食店や宿泊、介護などの業界も似たような問題を抱えていると言って良いだろう。

 コロナをきっかけに多くの人が仕事をやめ、その後、職場に労働者が戻ってこないという現象があちこちで観察されている。米国ではホワイトカラーにまでその影響が及んでいる。

労働者の心理は確実に変化している

 米国は良くも悪くも雇用の流動性が激しい国として知られており、コロナ危機のような非常事態が発生すると多くの人が職を失う。しかし景気回復がはっきりしてくると、企業は先を争って人材を採用するため、一気に労働市場に人が戻ってくるというのがこれまでの常であった。

 だが今回は、以前とはまったく異なっている。一度、職場から離れた労働者が戻ってこないだけでなく、若いビジネスパーソンが労働意欲を著しく低下させており、米国では年間の労働時間がかなり減ったという統計データもある。最近は、頑張らずに最低限の仕事しかしない働き方を指す「静かな退職」というキーワードにも注目が集まっている状況だ。米国人にとって仕事というのは人生において最も大事な要素であり、がむしゃらに働いて、高い賃金を得ることを是としてきた国民性を考えると、仕事に消極的になるというのは、驚くべきことである。

 この現象は、コロナ危機をきっかけに仕事のあり方や生きがいといったものを考え直し、従来の仕事にノーを突きつける労働者が増えたことを意味している。日本において起きている現象も、本質的には同じようなものであり、コロナでの退職をきっかけに、仕事に対する考え方を変えた可能性がある。

 コロナ危機によって労働者が戻ってこないという問題は昨年から顕著となっており、筆者をはじめ一部の論者は、労働者が価値観を変えた可能性について指摘してきた。だが、こうした見解に対しては「雇用保険が出ているので働かないだけ」「お金がなくなれば労働者はすぐに仕事に戻ってくる」という反論がたくさん寄せられた。

 経済の専門家や政策立案を担当する人たちは総じてエリートであり、厳しい職場環境にある労働者の肌感覚についてなかなか理解できない。筆者もこうした労働者の気持ちを100%理解できているわけではないだろうが、各種統計を細かく分析すると、従来の経済危機とは異なる動きが観察されており、SNSの動向も踏まえ、労働者の価値観が変わりつつあると分析してきた。完全に答えが出たわけではないが、コロナをきっかけに仕事に対する価値観が変化した可能性はかなり高いと思われる。

中国からのインバウンドが復活すると対応できない

 もしこの仮説が事実だった場合、今後の経済政策や産業政策には大きな影響が及ぶことになる。短い時間軸としてはやはりインバウンド政策だろう。

 各国で新型コロナウイルスに関連した渡航制限が解除されていることから、2023年はインバウンド需要復活が強く期待されている。中国の感染状況の悪化というマイナス要因があるものの、良い材料が少ない日本経済にとってインバウンド復活はひとつの光明といってよい。

では旅行業界や宿泊業界が期待に胸を膨らませているのかというと、本音は少し異なるとも言われる。

 これまで関連業界は大変な思いをしており、インバンド復活を心待ちにしているのはその通りである。だが、仮に中国が完全にコロナ危機から脱し、以前のようなインバウンドが復活してしまうと、爆発的に増える旅行客に対応できないという現実がある。

 飲食業界や宿泊業界はコロナ危機をきっかけに多くの従業員が一度職場を去った。本来であればインバウンド復活で多くの従業員が職場に戻るはずだが、業界は深刻な人手不足が続いており、彼らを引き戻すことができない状況にある。

 現時点では、中国のゼロコロナ政策失敗を受けて、日本政府は中国人観光客に対する入国制限を加えており、中国がこれに反発するという図式になっている。ところが皮肉にも、中国人によるインバウンドが復活しないことで、何とか日常業務を維持できているという事業者も少なくない。

賃上げと省力化を実現できない企業は淘汰される

 先ほど例に挙げたタクシー業界も同様で、高齢のドライバーが退職して職場に戻ってこない分、業界では若手ドライバーの育成を図っているが、待遇が悪い企業の場合、せっかくドライバーとして雇ってもやめてしまう人も多いと言われる。

 結局のところ、賃金や職場環境という問題が大きく影を落としており、こうした部分において抜本的な改善がなければ人手不足を解消するのは難しい。

 こうした傾向は程度の差こそあれ、多くの業界で共通の課題となりつつあり、日本の産業界は大きな方向転換を迫られている。経済界の一部からは、外国人労働者をもっと呼び込み、労働力を確保しようという声も出ているが、これは現実を見ていない机上の空論だろう。円安によって日本の価値が低下した今、従来のように外国人労働者が日本に来てくれる保証はまったくない。

 結局のところ日本人であれ、外国人であれ、労働力を確保するためには、相応の賃金と良好な職場環境が必須であり、日本の経済界が取り組むべきなのはこの問題に集約される。

 高い付加価値を獲得し、労働者にはしっかりと賃金を支払うのか、あるいは徹底的な自動化・省力化によって少ない人数で業務を実施できる体制を構築するのか、の二者択一と考えた方がよい。タクシーなどについては、自動運転システムの導入を本気で検討する必要があるし、飲食や宿泊についてはやはり賃上げを実施することが必須と考えられる。

 これらを実現できない企業は市場から淘汰される可能性が高い。コロナ危機が終われば、元の状態に戻るという淡い期待は捨てるべきだろう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73617
労働条件が悪い職場で発破をかけてもパワハラ扱いされて終わりです。
今後経済が上向き始めたら、生産性を上げられない企業はゾンビ企業として淘汰されて行きます。
賃上げは必至です。

春闘での賃上げは加速へ、経済の好循環の実現には実質賃金引き上げが課題
神田慶司:大和総研シニアエコノミスト
2023.1.23 3:35
https://diamond.jp/articles/-/316491
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