mixiユーザー(id:4626097)

2022年12月29日21:37

58 view

シベリアに抑留された日本人の遺書

今日はイオンシネマ板橋で「ラーゲリより愛を込めて」を観てきました。

監督:瀬々敬久

配役(役名):二宮和也(山本幡男)、北川景子(山本モジミ)、寺尾聡(老齢期の山本顕一)、市毛良枝(幡男の母)、松坂桃李(松田研三)、中島健人(新谷健雄)、桐谷健太(相沢光男)、安田顕(原幸彦)、渡辺真起子(モミジの先輩教師)他。

シベリアに抑留された実在の日本人捕虜・山本幡男氏の伝記を映画化した作品です。

1945年の満州・哈爾濱(ハルピン)で山本夫妻とその子供たちは結婚式に出席します。
戦局は悪化し、広島に新型爆弾が落とされたいう噂話も宴席で出ます。
帰宅した幡男は妻モジミに子供たちと汽車で新疆に出て日本に帰る話をします。
しかし、その夜突然それによる空爆が始まり、一家は駅を目指して走ります。
幡男は崩れてきた建物の壁で負傷し、モジミに子供たちを連れて先に駅に行くよう指示します。
モジミたちは汽車に乗る事が出来たものの幡男は捕虜となり汽車に乗せられてスペルドロフクの収容所に送られます。
幡男はロシア語が堪能だった為、通訳を担当しながら強制労働作業に従事します。
ソ連軍は捕虜の秩序を保たせるため、軍曹だった相沢に捕虜の統率をさせます。

一等兵だった松田は教養のある幡男(襟章から幡男も一等兵のようです)に好意を寄せますが、上官の中尉はロシア語が話せる幡男を共産主義者と決めつけて制裁を加えます。
ソ連軍の蛮行を国際法違反だと知っていた幡男は、いずれ必ず自分たちは解放されて日本に帰れると信じて仲間たちを励まします。
脱走を企てた後藤が監視兵に射殺され、その死を悼んでいるとソ連軍将校が「集会は禁止」だとやって来て幡男を袋叩きにし、幡男を庇った松田と共に営倉に閉じ込めます。
営倉はシラミだらけでした。

松田は戦場で逃げ出した経験があり相沢には卑怯者呼ばわりされていましたが、この件で臆病風に吹かれてしまいます。

その頃モジミは故郷の隠岐の島に帰り、教員の先輩に校長へ教師復帰の口利きをすると声をかけられます。

捕虜の一人が日本に帰れる話を聞きつけて収容所に戻ってきます。
捕虜たちは汽車に乗せられ、ナホトカの港に迎え途中で突然汽車は停止し、選ばれた者たちが汽車から降ろされます。
幡男もその中の一人でした。
幡男の上官の原は特務機関員で、助かりたい一念で幡男が諜報活動に従事していたとソ連軍に偽りの証言をしてしまい、幡男はスパイ罪の実刑を受けてしまいます。
汽車から降ろされた者たちは全員、25年の労働という刑罰を受けたのでした。

共産主義に寝返った者たちは捕虜を虐待し、相沢を袋叩きにします。
幡男にロシア語を教えた原は犯罪者として恥をかかされます。
若い新谷は懐いてきた犬にクロと名付けて可愛がります。
新谷は足が悪く兵役には附きませんでしたが、漁をしているところを捕えられ捕虜になったのでした。
新谷は学校にも行っていないので字の読み書きが出来ず、幡男に読み書きを教わります。

終戦から5年が経ち、脱走して射殺される者が増えますが、幡男は帰国を諦めずに耐えていました。
モジミは復員船が到着する度に幡男が帰るのを待ちますが、息子は既に諦めていました。

幡男は毛糸を集めてボールを作り収容所内で野球を始めます。
幡男は野球は不得手だったので実況を務めますが、投手の工藤は平安中出身の甲子園球児で、原は慶応大学の4番打者という経歴で試合は盛り上がりますが、ソ連軍将校がやって来て強制終了させて幡男を営倉に閉じ込めます。
原がソ連軍将校にかけあって野球をやるのが許されます。

終戦から4年後、日本へ手紙を書く事が許され、すっかり読み書きが出来るようになった新谷も故郷に手紙を書き、幡男も家族あてに手紙を書きますが突然激しく咳き込みます。
日本から手紙が届きますが、相沢と幡男には届きませんでした。
松田は母親が死去したと言う知らせを受け涙します。
次の郵便で幡男にも手紙が届き歓喜します。
日本で手紙を受け取ったモジミたちも大いに喜びます。
モジミたちは隠岐の島から松江に引っ越していました。
幡男たちが談笑しているとクロが吠えています。
外に出ると妻を失い絶望した相沢が自暴自棄になって看視兵に撃たれようとしていました。
幡男は相沢を叱咤して必死に止めますが、幡男は頭痛に襲われ倒れます。
収容所の医師では幡男の病状診察が出来ず、大きな病院での診察が必要でした。

松田が幡男を大病院での診察を受けられるまで作業をしないと突然ハンストを始めると、皆それに倣って座り込みを始めます。
原が将校に直談判をして2週間後に幡男はハバロフスクの大病院に移されますが、診察結果は喉に癌が出来て余命3か月でした。
診断結果を聞きに来た相沢に幡男は絶望した様子を見せますが、今度は相沢が幡男に「生きろ!」と叱咤します。

原は幡男に遺書を書かせます。
しかし、2週間後に抜き打ちの持ち物検査が行われて遺書を書いたノートは没収されてしまい、幡男の命も尽きてしまいます。
捕虜たちは幡男の死を悼み、幡男の遺体がトラックで運ばれて行くと、クロがその後を追いかけます。
それ以後、クロは姿を見せなくなり幡男はシベリアの大地に埋葬されます。

終戦から11年が経ち、捕虜たちの帰国が叶い、復員戦に乗り込むとクロが追いかけてきて玄関の海を泳ぐクロを新谷が引き揚げます。
山本家ではモジミに幡男の訃報を伝える電報が届きモジミは号泣します。

終戦から12年後、原が山本宅を訪ねてきます。
幡男が書いた遺書が没収される事を予測して4ページ分の遺書を原、相沢、新谷、松田が預かり、その内容を記憶し、遺書は全て没収されますが、その内容を4人がそれぞれ帰国後文字興しをしてモジミに届ける約束をしていたのでした。
原がそのトップバッターとしてモジミの元を訪ね、内容を読み上げます。
後日、松田が訪問して幡男の家族への思いを伝えます。
更に後日、新谷が山本宅を訪ね、子供たちに立身出世などより道義が第一という教えを伝えます。
最後に相沢が山本宅を訪ね、幡男のモジミへの思いを伝えます。
洗濯物が風で揺れるとモジミはようやく幡男が自分の元に帰って来たと感じるのでした。

時は過ぎ2020年、年老いた顕一は孫娘の結婚式でスピーチをし、幡男という曾祖父の家族への思いを新たな家族を築く孫に語って聞かせるのでした。

新宿のビルにシベリア抑留を伝える資料館があり、悲惨な収容所生活を伝えていますが、本作は埋もれていた一兵卒の話を伝えています。
涙なくしては語れない物語でしたが、かくも立派な日本人がいた事を伝えるお話しでした。
厳寒の地で野球が抑留者たちの支えになったというのも趣のある話でした。
それにして赤軍の鬼畜ぶりが酷かったです。

公式サイトURL
https://lageri-movie.jp
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年12月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

最近の日記

もっと見る