50年近く前、僕が学生の頃にオイルショックがありました。
その頃、盛んに言われていたのが、石油資源の枯渇の問題でした。
30年位先には石油資源は枯渇してしまうと言われていましたが、
全く枯渇しないで現在に至っています。
新たな資源の発見や、採掘技術の開発などにより、
最近は石油資源が枯渇するとの話題は余り聞かなくなりました。
その50年位前だったと思いますが、
石油資源の枯渇に対して、核融合の技術が開発されれば、
エネルギー問題から解放されるとの話を聞いた事があります。
そのころ、あと20年もすれば核融合の技術が開発されるだろうとの事でしたが、
最近は余り核融合の話を聞かなくなりました。
原子力発電所などで行われている核分裂は、重い原子核が分裂する現象ですが、
その過程で多くの放射性廃棄物が発生し、
長期にわたって放射能を放出し続けることから、安全に保管する必要があります。
これに対し、核融合は、軽い原子核同士を強制的に結合させることで、
大量のエネルギーを放出させるもので、
太陽などの星も同じ現象で、エネルギーを生み出しています。
核分裂と比較して、はるかに多くのエネルギーを生み出せ、
放射性廃棄物の量は少量に抑えることができ、
温室効果ガスが排出されず、気候変動への影響がありません。
こうした事から、核融合はエネルギー生産の「聖杯」と言われています。
しかしながら、原子核を結合させ、それを維持するには
超高温・高圧の核融合炉が必要となり、
その実現に技術的な面やコスト面などの
解決しなければならない問題が山積しています。
昨日、ネットのニュースを見ていたら、
アメリカのエネルギー省が核融合技術で投入量を上回るエネルギーを出力させたと
BBCニュースが報じていました。
実験はカリフォルニア州のローレンス・リヴァモア国立研究所にある
国立点火施設で行われたとの事です。
ごく小さなカプセルに極少量の水素を投入し、
192本の強力なレーザーを使って水素燃料を加熱・圧縮し、
カプセルを太陽の中心温度よりも高い摂氏1億度まで加熱し、
地球の大気圧の1000億倍以上に圧縮したとの事です。
今回の実験でレーザーで2.05メガジュールのエネルギーを加え、
3.15メガジュールの核融合エネルギーが出力されたと説明したと報じられています。
核融合を起こすのに必要なプラズマ状態の維持が難しい問題で、
これまでは、プラズマ状態を作り出すためのエネルギーの方が、
そこから取り出すことの出来るエネルギーよりも小さいという状況でした。
その意味では、今回の結果は、核融合に向けた大きな一歩だとの事ですが、
ただ、複数の専門家は、
核融合が一般家庭用の電力を供給できるようになるにはまだ課題があるとの事です。
久しぶりに核融合の話を聞きましたが、
画期的と言う割には、まだこの程度の段階かとも思いました。
核融合技術が完成すると、世界の様々なシステムを変えてしまう可能性があります。
果たして生きている内に見られるでしょうか?
【今日の一句】
また溜まる 食っちゃ寝続きで 贅肉が
ログインしてコメントを確認・投稿する