岸田政権は、防衛問題に関して、
敵基地攻撃能力などを認める政策を転換しようとしていますが、
今度は原子力政策に関して、政策の大転換を図ろうとしています。
昨日、政府は、
原子力発電所の60年超運転や次世代型原発への建て替えを柱とする
脱炭素社会の実現に向けた基本方針を決めました。
2011年の東京電力福島第一原発事故後、
政府が「想定していない」としてきた原発建設といった
積極活用策を盛り込む内容になっています。
この基本方針は、22日の脱炭素社会の実現に向けた産業転換などを議論する
「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」で決定しました。
今回の決定は、東京電力福島第一原発事故の
反省と教訓をなきものにしたと言わざるを得ないのでしょう。
事故から11年9カ月がたった今も人が住めない地域が残り、
少なくとも2万人以上が福島県外での避難生活を余儀なくされています。
増高する防衛費の財源として、所得税の税額の2.1%を上乗せしていた
復興特別所得税を使用する案も出ていました。
岸田政権としては、福島の原発事故を忘れたいのかも知れません。
ロシアのウクライナ侵攻による世界的なエネルギー問題により、
電力需給が逼迫している事は間違いありませんし、
地球温暖化対策として、脱炭素化が急がれている事も間違いありませんが、
それを原子力発電と短絡に結び付けているような気がしてなりません。
更にいうと、ウクライナの原発が攻撃を受け、破壊される虞がいまも続いています。
現在の原発は、攻撃を受けた場合に守る方法がないとされています。
日本が攻撃を受ける可能性があるからこそ、
敵基地攻撃能力を備えようとしているのでしょうが、
攻撃された場合甚大な被害を及ぼし守る術のない原発を
何故、性急に政策の大転回をしようとしているのか、
どうも支離滅裂のような気がします。
電力逼迫の状況は緊急な課題であるのはわかりますが、
再稼働には必要な手順があり、供給力が急に大きく増えるわけではありません。
運転延長や建て替えは、効果がでても10年以上先の話です。
実現性も不確かで、急いで決める根拠に乏しいような気がしますが、
何故前のめりになって、今回方針を決めようとしているのか理解できません。
更に、使用済み核燃料や放射性廃棄物の扱いは、
地中深くに埋め、数万年以上隔離する必要があると言われていますが、
立地など、依然として全く見通しが立っていません。
今回の決定は、余りにも拙速な感じがします。
原発は、国論を二分してきたテーマです。
防衛の問題とともに、岸田総理は強引な方針転換が好きなのかも知れません。
【今日の一句】
増えてます 国債残高 防衛費
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