噴き出した批判に習近平は黙っていられるか!?世界のアパレルを席巻する「SHEIN」、劣悪な「労働環境」が次々に明らかになっていた…!
2022.12.15
福島 香
豊富なファッションアイテムと驚くべき「低価格」をウリに世界の若者に浸透しつつあるアパレル・ネット通販の「SHEIN」。その企業価値は、ユニクロを展開する「ファーストリテイリング」をしのぐ13兆円以上と言われる。
しかし、いま欧米メディアだけでなく、中国メディアまでもが、同社のネガティブ情報を盛んに報道している。SHEINの下請け企業の劣悪な労働環境は、ESG(環境、社会、ガバナンス)を無視し、世界の持続可能性を重視するSDGsの機運にも逆境すると批判が高まっているのだ。
SHEINはイノベーターなのか、それともクラッシャーなのか…。
疑われる「ブラック」な環境
おりしも10月、英国ドキュメンタリーチャンネルの「チャンネル4」が、SHEINと契約する二つの小規模縫製工場に潜入し、その劣悪な労働環境を告発する番組を放送した。それによると一つ目の工場では基本月給4000元で一人、1日あたり500着の服の製造をせねばならない、とワーカーが証言している。
しかも最初の一か月の工賃は「保留」。もらえるのは働きはじめて二か月目からとも。もう一つの工場ではワンアイテム作って、ワーカーがもらえるのはたった4セント(6円弱)。元でいえば0.3元くらいか。二つの工場とも一日の労働時間は18時間で、休みは月一日で、これは明白に中国の労働基準法違反だ。
また、検品が結構厳しく、1日当たりで縫製ミスなどで3分の1が不良品として省かれるので、その分、工場側が負担をしいられ、そしてワーカーに対する罰金などの懲罰になっている。
中国メディアにもこのSHEINの下請け工場いじめの実態に関する報道がいくつかあり、特に新興SNSメディアの燃財経がSHEINの製造実行システム(MES)による管理の厳しさについて詳報していた。
恐ろしい「下請けいじめ」の数々
それによると、まずシステムの導入や入力、管理などは工場側の負担とされ、広州の伝統的小規模縫製工場はこのシステム導入の段階で苦労させられた。
こうしたことから、最初の受注100件分は工場は事実上、無償で行うという。同じデザインで色や素材を変えて繰り返し受注を受けることでようやく利益が出る、という。
このシステムで工場はがちがちに管理され、デザインから納期までの日数が極めて短く、たとえばデザインを渡されてから納品まで工場に与えられた猶予は3日、長くても5日。
納期に間に合わなかったり、検品ではねられる製品が多かったりすると、そうした下請け工場に対してはブラックリストランキングに入れられて500元-1000元の罰金を科されるという。
当然、体力のない小規模縫製工場はつぶれるわけだが、SHEIN側はこれを質の悪い工場の淘汰、と見ているという。広州の縫製工場の半分はSHEINの下請けであり、いまやSHEINの要求に逆らえる工場などいない。工場に対する圧力はますます厳しくなっているという。
燃財経では、SHEINの下受け縫製工場の中ではかなり大規模な月あたり受注数20万件を請け負う例について紹介していたが、それでもSHEINが工場側に与える利潤は一件あたり良いときで4-6元で、悪い時は1元程度。
また、120人のワーカーを抱える工場では月あたり生産量は16万件で平均コストは一件10元で、利潤は5元以内。一件1元のものもあるという。
とすると広州の番禺などによくあるワーカー数十人レベルの小規模縫製工場の利潤が一件1元程度であれば、ワーカーの工賃が一件あたり6セントというチャンネル4の報道とも矛盾しない。
中国国盛証券の2021年のリポートによれば、10〜15ドルで売られているワンピースのSHEIN側の利益は5-10%、つまり3.4元から6.8元。そこで下請け工場側の利益が1元、ワーカーの得る工賃が0.3元ということになる。
当然、ここに本来ならデザイナーに対するデザイン・企画料がコストに含まれるはずだが、一週間あたり4~5万件の新しいデザインを出すSHEINは、事実上、デザインにお金をかけない。当然、ネットで見つけたよいデザインを勝手に借用する「パクリ」行為が多く、米国だけでも40件以上の知財権侵害訴訟を抱えている。
ブルームバーグが11月21日、ドイツの研究所の調査結果として、SHEINが米国に輸出した衣料品に中国の新疆ウイグル自治区で生産された綿が使われているとことが判明したと報じた。
さらに2018年、SHEIN顧客642万人分の電子メールアドレスとパスワードが漏洩する事件があり、顧客データ管理が雑だと指摘されている。
インドでは、SHEINのアプリがプライバシー保護の観点で危険として、他の59のアプリともに使用を禁止している。また、素材にケミカル汚染の問題が指摘されたこともあった。
11月25日のEuronewsによれば、ドイツの環境NGOグリーンピースが、SHEINの47種のアパレル製品を分析したところ、およそ15%がEUの基準値を超える危険ケミカル成分が検出され、健康被害の可能性がある、という。
つまり欧米中国の報道を総合すると、SHEINはESG上、問題だらけの企業であり、アパレル界のイノベーターというより、アパレル業界クラッシャーではないか、ということになる。
労働環境の改善は可能なのか?
さて、そんなネガティブな報道に対して、ずっと正面からの回答をさけていたSHEINがこのほど、今後3〜4年の間に1500万ドルを製造工場に投資することを含め、ESGに絡む問題への取り組みを打ち出した。
1500万ドルの資金は300以上のサプライヤー工場の労働環境改善に充てる、という。具体的にはまず、11月初めまでサプライヤー20工場に6万平方メートルの工場を建てる、らしい。
また、11月29日、英国著名ファッションメディアのDrapersの単独インタビューでは、SHEINのシンガポール代表のレオナルド・リンが、指摘されてきた問題にどのように取り組むかを回答した。
ちなみにレオナルド・リンは今年2月にシンガポール・ソブリン・ウェルス・ファンドからSHEINに転籍した人物で、シンガポール国防省でも6年働いたことのある著名投資家。西側から攻撃されがちなSHEINが、グローバル事務対応のために雇った人物だ。
彼によれば、SHEINは昨年7月から「SHEIN’s Responsible Sourcing」と呼ばれるワーカーの労働環境を評価するシステムを導入し、第三者機関と協力して、サプライヤーに対する抜き打ち調査を行い、ルールに合致しているかを審査するという。
問題があれば、そのサプライヤーに対し処罰し、最終的には契約を切るという。2021年10月から2022年9月まで、すでにサプライヤーに対してのべ2600回の審査を行ったとか。
また、著作権侵害の批判に対しては、2021年1月から、グローバルな新鋭デザイナーのために独自ブランド設立支援のためのプロジェクトを発動したと語り、デザイナーが販売価格の10%を得られるように長期協力契約を行うという。すでに英国では80人以上のデザイナーがこのプロジェクトに参与しているという。
これはSHEINの知財権侵害問題を脱し、本当にグローバルな若いデザイナーを育成するための重要なプロジェクトだと説明していた。
SHEINはまた、ESG問題に対応するためのESGグローバルヘッドというポジションを昨年初めに作り、かつてウォルト・ディズニー社と米国アパレル小売りのJ.C.ペニーでESG領域で15年のキャリアを積んだアダム・ウィンストンが着任している。
SHEINを襲う低価格の限界
こうした状況を考えると、SHEINが今までは、広州地域の零細縫製工場を搾取してきたことは事実であろうが、いまや評価額1000億ドル企業と呼ばれるようになったSHEINは、ロイターが報じるように、来年にはニューヨーク上場を視野にいれて、身ぎれいにしようと懸命に西側から批判されている問題の解決に取り組んでいるということだろうか。
SHEINがベア・スターンズ出身の敏腕バンカー、ドナルド・タンを取締役副会長に招いたほか、アダム・ウィンストンやレオナルド・リンら業界の凄腕を集めているのも、そのためということか。
だが、それで本当にSHEINの「驚きの安さ」が維持できるのだろうか。
外資系アパレルメーカーが中国市場から撤退していったのは、中国で労働関連法が整備されるにつれ、ワーカーの工賃が他の東南アジア諸国と比べて割高になったからだ。
ではSHEINが、外資が撤退したあとの縫製工場の受け皿となって、中国の厳しい労働関係法を完全に無視して、搾取システムを構築できたのはなぜだろう。
単に納税額の多さのおかげで、当局が見ないふりをしていただけなのか。
労働搾取の問題その他を解決しようとすれば、結局のところZARAやH&Mやユニクロなどの価格帯とそう変わらなくなってゆくのではないか。ちなみに私の見る限り、品質は明らかにZARAやユニクロより劣る。
習近平は「SHEIN」をどう見ているのか?
そして次に気になるのは、あれほど民営企業の市場寡占を警戒していた習近平政権が、SHEINのニューヨーク上場や、外国人役員たちが経営戦略を差配することを黙って見逃し続けるのか。あるいは、応援し続けるのだろうか。
創業者のクリス・シューはシンガポールに永住権をとり、本部もシンガポールに移しているが、SHEINが今後、なんら中国の政治的影響を受けないということは言えないだろう。
そう考えると、消費者としても投資家としても、SHEINの魅力は次第に褪せていくかもしれない。
https://gendai.media/articles/-/103237
19世紀の欧米みたいな労働環境です。
まだまだマルクスが活躍できそうな環境状態ですw
ESGなんて意味無い事も、中共製品を買っちゃダメな事もよく分かりました^^;
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