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2022年12月16日07:19

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クルマ0354 唯一の市販モデル(LOMBARD AL3)

前回エレ・ニースのことを書きましたが、彼女が使っていたブガッティ・タイプ35B/Cは8気筒、本稿 0182で採り上げた(0023でも若干)アミルカーC6は6気筒、今回のロンバールAL3は4気筒。いずれも1920年代中盤に登場したフランスの傑作車です(ブガッティはイタリア車あるいはドイツ車であるとの解釈もありますが)。

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サルムソン社の営業部長の職にありながらコンペティションで優秀な戦績を収めていたAndré Lombard(アンドレ・ロンバール)は、技術部門を統括していたÉmile Petit(エミール・プティ、本稿0253のサン・セバスチャンを設計)とウマが合わず、1923年に同社を去ります。
辞職にあたって、5年間はコンペティション活動を行わないとの契約を結んだロンバールは、クルマを開発することで気を紛らわしていました。
しかしサーキットでのバトルの魅力には勝てなかったと見え、その契約を反故にしています。即ち、5年を待たずして彼自身を名前の頭文字をとって1台のみ製作されたAL1でモンレリー・サーキットに現れているのです(1927年)。
この契約違反にどのようなペナルティが課されたのかは定かではありません。

AL1のシャシーに空気抵抗を少なくしたボディを纏ったAL2も2台製作されています。これらAL1とAL2は試作車でしたが、続いて開発されたAL3は市販を前提にしており、1926年10月に開催された第20回パリ自動車ショーで展示発表されました。
梯子型シャシーのフロントに搭載された水冷直列4気筒DOHC1083ccエンジン(スーパーチャージャーも装着可能でした)には3速ギヤボックスが組み合わされていました。既に4速は実用化されていましたが、長らくフランス車はスポーツカーと言えど3速が普通でした。極力ギヤチェンジを減らしたかったためでしょう。

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AL3はパリ近くのピュトーという街で1927～29年に94台のみ生産されました。1927年のモデルはマークⅠ、1928～29年はマークⅡとされていますが実質的な違いはありません。

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このモデルに続いて市販が検討されたAL4(1928年)・AL5(1929年)はいずれもプロトタイプ1台のみに終わりました。
そして1929年にBNC(Bollack Netter et Compagnie)に身売りして消滅しました。つまりAL3はロンバール唯一の市販車になったということです。

なおコンペティションでは目立った結果を残しておりません。1929年3月18日に行われたオーストラリアGPで、Bill Lowe(ビル・ロウ)が3位(1100ccクラス優勝)になったのが目に付く程度です。

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94台しか生産されなかったAL3の中に、1927年にDuval(デュバル)というコーチビルダーが架装したクーペが1台のみありました。そのクルマは1950年代にオープンボディに改造された状態で発見され、古い写真を基にしてイギリスのOliver Way(オリバー・ウェイ)という人が当時の姿を再現しています。

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