スピーキングテスト対策

　今年度から本格導入された中3生向けの英語スピーキングテストが、今度の日曜日に迫って来ました。

　英語の入試のあるほぼ全ての都立高校では、このスピーキングテストが従来の1000点満点に20点分として加算されることになっており、都立高校志望の中3生にとっては気になるところですが、このスピーキングテストをどのように捉えれば良いのか、今日はその概略について簡単に書きたいと思います。

　うちの塾でも、該当の生徒を個々に呼んで、それぞれに対策を行いましたが、結論を先に言うと、あまりナーバスにならなくても良いということです。

　このスピーキングテストはA〜Dの４つの設問によって構成されますので、それぞれの昨年度のものについて簡単に触れておきます。こういうテストは急には変えられないので、ほぼ同内容になることは間違いありません。

　Aは読み上げの問題で、簡単な文章を読み上げていきます。

　これは◎○△×の4段階で評価されますが、○が全体の8割以上を占め、たどたどしくでも何となく読めれば○は取ることができるはずです。◎は7〜8％のため、◎を取るのはそれなりの発音やアクセント、抑揚が必要になると思われます。

　次にBは絵を見ながら3問の英語の質問に答え、最後の1問は逆に質問をするものです。

　こちらはそれぞれの問題ごとに○と×のみ、つまり正解か不正解ということです。正答率は１が42％、２が55％、３が90％、４が57％で、3問目の正答率がとても高いです。

　これは、サッカーボールや犬の絵など４つの柄のノートを見て、「Which　notebook do you like the best? 」という問題にこたえるもので、きちんとした分で答える必要はなく「Soccer ball．」や「Dog.」の一言で正解です。

　Cは4コママンガを主人公になったつもりで昨日の出来事として説明する問題で、こちらもそれぞれのコマごとに○と×、正答率は1コマ目79％、2コマ目34％、3コマ目28％、4コマ目48％になります。

　1コマ目を例に取ると、女の子がピアノを弾いているところを想像している絵になります。これは「I want to play piano yesterday.」「I want to the play piano.」「I wanted to playing the piano.」いずれも文法上の間違いがありますが、全て正解になるそうです。また本来は昨日のお話ですので、過去形で話さなければならないはずですが、実際はそこも問われないようです。

　最後のDは、質問に対して意見と理由を述べる問題で、こちらも意見と理由それぞれ○と×、正答率は意見が27％、理由が39％になります。

　質問は「学校は誰が掃除をするべきですか？」と「なぜそう思いますか？」というもので、そもそも聞き取れなかった人も多いと考えられ、正答率的にもこれが一番厳しくなっています。これは極端に言えば、出来なくても仕方がないでしょう。

　実際はB〜Dには前述の内容に加えて、音声が4段階、言語が5段階での評価がありますが、こちらは恐らく大きな点にはならないものと考えられます。

　最終的に、A〜Ｄの設問の評価が総合されて、Ａ(20点)、Ｂ(16点)、Ｃ(12点)、Ｄ(8点)、Ｅ(4点)、Ｆ(0点)となって、都立入試の点数に乗って来るということになりますが、データを精査して分かったのは、できる子とできない子に2極化するようなものではなく、普通にやればＣまたはＤは難なく取れるはずで、この2つの評価に相当数が集中するのではないかと思われます。

　さらに言えば、この20点と言う点数は英語のペーパーテストで言う14点分に相当するので、事実それほど大きな差にはなりません。

　一番心配なのは沈黙を貫いてしまうことで、間違っても良いので積極的に何でも言葉を発することは求められますが、まずは気楽に受けてみる方が良い結果になりそうで、私は中3の都立志望の生徒達に対してこのデータを使いながらそのことを説明しました。

　このスピーキングテストは、大手教育出版社が事業を全て請け負っており、それについての批判も大きいですが、塾業界でもこの程度のものに対して多額の費用のかかる講座を作っていたりで、あまり褒められた行動とも思えません。

　とにかくリラックスして普通に声を出してくる、それで十分だというのが私の結論で、うちの塾の生徒に限らず、中3生があまりこのスピーキングテストに心配し過ぎないように、当日体調を崩さずに元気に受けて来られることを願うばかりです。