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2022年10月24日00:50

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【映画日記】『千夜、一夜』、『ヘルドッグス』、『線は、僕を描く』

 10月23日、日曜日。

 前日22時頃には床に就いたが、30分〜1時間刻みで目が覚めてしまい酷く憂鬱。身体が怠い。首がとても痛い。そんな状態で8時に起床。睡眠薬を飲んでコレは、ちと辛い。2時間ほどダラっとして、やや回復。

 東映株主優待券で観られる『ヘルドッグス』を観たい。おっ! なんばパークスシネマまで足を伸ばせば、30分空きで田中裕子主演の『千夜、一夜』も観られる。田中裕子は大好きな女優なので、コレは観たい。梅田でも上映しているが、パークスで観ると鑑賞ポイントが付与される。パークスは金曜日迄の上映だ。よし、難波に行こう!

 昼前に外出。まず梅田に出て、シネ・リーブル梅田と大阪ステーションシティシネマにて新作映画チラシを収集。さて、難波へ。


●『千夜、一夜』

【佐渡島が舞台。登美子(田中裕子)の夫が突然姿を消してから30年の時が経った。「彼はなぜいなくなったのか?」、「生きているのかどうか?」 それすらわからない。漁師の春男(ダンカン)が登美子に想いを寄せ続けるも、彼女がそれに応えることはない。そんな登美子の元に、2年前に失踪した夫・洋司(安藤政信)を探す奈美(尾野真千子)が現れる。ある日、登美子は街中で偶然、失踪したはずの洋司を見かけ……】というスジ。

 監督&企画&製作&編集は『家路』で劇場用長編劇映画デビューを果たしたドキュメンタリー畑出身の久保田直。脚本は同じく『家路』で久保田直と組んだ青木研次。尚、主役の「若松登美子」という役名は、『家路』で田中裕子が演じた役名と同じである。

 田中裕子が主演しているというだけで「観たい!」となった訳だし、プロットにも興味を惹かれる。尚、観客は1日1回の上映で日曜日の昼間にも関わらず7人……

 さてと、本編。

 真摯な姿勢で作られた作品で、決して駄作という訳では無いのだが、語り口がどうもしっくりと来ない。久保田直のドキュメンタリストとしての癖なのか作風なのか判然としないが、劇映画としてモタモタしている印象を受けた。田中裕子の<風>を志向する演技や、大ベテランの白石加代子の貫禄に演出が拮抗し得ていないのだ。切り返しを多用した会話シーンも、カットを割らずに引きで撮った方が良かったろうと思う。編集がイマイチだとも感じた。

 スジは悪く無いと思う。監督が仮に是枝裕和だったら……、と思い、次いで緒方明だったら、と感じた。緒方明は青木研次の脚本作『独立少年合唱団』、『いつか読書する日』という傑作をモノにしているためだ。何れにせよ、演出がボタンを掛け違えているように感じた。やや残念。


 煙草で一服してから、カウンターテーブルで新作映画チラシの整理をしたら、もう『ヘルドッグス』の上映時刻。


●『ヘルドッグス』

【復讐のために闇落ちした警官(岡田准一)が、関東最大のヤクザ組織への潜入捜査を命じられ、凶暴でサイコパスな相棒(坂口健太郎)と共に、組織内でのし上がって行く様を描く】と、ザクっと説明したらそんなスジ。

 原作は深町秋生の小説『ヘルドッグス 地獄の犬たち』(角川文庫:刊)。

 脚本&監督は原田眞人。編集は息子の原田遊人(←彼はチョイと出演もしている)。

 本編のタイトルには副題が付いていて、それが『THE HOUSE OF BAMBOO』である。作中に登場する朽ち果てた看板にも、同じ文字が。『竹の家』であるな。となれば、ここで連想するのはサミュエル・フラー監督の『東京暗黒街・竹の家』だ。思わずニンマリさせられた。

 出演は、他に、松岡茉優、MIYAVI、北村一輝、吉原光夫、酒向芳、大竹しのぶら。結構に豪華。(あと、脇で面識の有る方々がチョイチョイといらっしゃって、なんだかそれだけで嬉しくなった♪)

 こりゃあ面白い!!!

 <アクションのためのアクションではなく、物語に寄与するアクション>を志向するという原田眞人の方針が功を奏したハードボイルド・アクション・ドラマ。特筆すべきは原田遊人による編集の巧みさ。これまでは矢鱈と細かくカットを割ってばかりで、作品全体がガチャガチャしていて、それが苦手だったのだけれど、急に巧くなっている。ビックリした。

 俳優陣はこぞって適役。吉原光夫は歌うし。まあ歌わせるだろうな。そのためにキャスティングしているはずだもの。本作では、原田眞人らしいケレン味も作品から乖離する事無く機能していて、全編ワクワクさせられた。カラオケで『インターナショナル』を掛ける辺りは「ヤな趣味だねえ〜……」と思うが、コレは『バウンス ko GALS』に通じ、「おお、やってるねえ、やってるねえ♪」と嬉しくもなった。原田眞人、復調じゃあないか? 『関ケ原』、『検察側の罪人』の頃は、「もうアカンかも……」と落胆させられただけに僕は嬉しい!!(←何れも大ヒットしたけれど、僕は好きじゃあない)

 <サイコパス>という設定の坂口健太郎が然程にぶっ飛んでいるようには思えなかったのと、彼とイイ仲になる木竜麻生が中盤で消えたまま終盤出てこないのが悲しいとか、言いたい事もあるのだけれど、それらを差し引いても充分に堪能した。

 ただ、上映後の観客の反応は、「面白かった!!!」という声も有った反面、「めっちゃ寝た〜〜……」、「は? 面白かった? どこがぁ?」という声も有り、賛否がはっきりと分かれている模様。いや、でも僕は声を大にしてオススメしたいなあ。大竹しのぶの必殺仕事人振りとか、ワハハ♪


 ここから、九条に出てシネ・ヌーヴォで新作映画チラシを収集。この日は3館を回って、通常サイズが69種類。あと、小型&大型&変形が合わせて25種類ほど。一昨日に手に入れた分と合わせると150種程。多い……

 と、ここで、帰ろうかと思ったのだけれど、TOHOシネマズなんばでの『線は、僕を描く』を観るには丁度良い時刻であったので、そのまま難波にリターン。


●『線は、僕を描く』

 ポイント鑑賞。まだもう1本観られるだけのポイントが貯まっている。後日にとっておこう。

【大学生の青山霜介(横浜流星)は、水墨画の巨匠・篠田湖山(三浦友和)と偶然の出会いを果たし、唐突に弟子に迎えられる。その誘いを丁重に断った霜介だが、「それなら水墨画教室の生徒ということで」となり、湖山の下で水墨画を学び始める。戸惑いつつも、線のみで描かれる水墨画の奥深さに魅了されていく霜介。一方、湖山の孫娘で自身も水墨画家の千瑛(清原果耶)は、霜介に対して激しいライバル心を募らせるのだった。しかし、霜介は哀しい過去を背負って生きていた……】というスジ。

 原作は砥上裕將の同名小説(講談社文庫:刊)。

 評判が滅法に良いようである。監督&共同脚本が、僕の好きな『ちはやふる』三部作の小泉徳宏という事もあって期待もしていた。が、その割に観客は僕を含めて、たったの9名…… 大丈夫か……!?(‐‐;)

 確かに序盤は「秀作!」と思わせるものがあったが、中盤で弛緩。快い幕切れが清々しく後味も良いので、中弛みが非常にもったいなく感じられたが佳作ではある。情熱の煌めきがあって好感は持てた。

 横浜流星が良い。DV男を演じた『流浪の月』で、「今年の助演男優賞は彼に!」と思っているのだが、本作での清らかな男子大学生役との振り幅に驚かずには居られない。周囲を固めるベテラン勢=三浦友和、江口洋介、富田靖子も見事な好サポートを見せており、安心して観ていられた。

 一方で、中盤以降のスジが少し弱いと感じたのは、原作そのものが弱いのか、それとも本作の脚本が小泉徳宏の単独作品では無いためにまとまりに欠けてしまったのか……? 
 
 ただ、作品に込められた<心>は非常に気持ちの良い物であり、人間が大切にしなければいけない物だと感じた。即ち、<好きになる事。その持続。そして努力と情熱の尊さ>だ。もう一段の高みに在れば大いに推したい作品である。たまにこういう作品に出逢うと嬉しくなる。そんな1本だ。

 帰宅。入浴後、軽く食事を摂ってから入手した新作映画チラシを整理。

 本日のベストは『ヘルドッグス』! いやあ、面白かった!!

 というわけで、以上である♪

 
<左添付画像使用許諾:(C)2022映画『千夜、一夜』製作委員会>
<中添付画像使用許諾:(C)2022「ヘルドッグス」製作委員会>
<右添付画像使用許諾:(C)砥上裕將/講談社(C)2022映画「線は、僕を描く」製作委員会>
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