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2022年10月06日20:11

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アウトサイダー

「アウトサイダー」(The Outsiders)観ました。
2回目かな?と思います。
1983年に公開されたアメリカの青春映画、40年近く前の映画ですね。
監督は フランシス・フォード・コッポラで、脚本は キャスリーン・ローウェル。
出演、 C・トーマス・ハウエル、マット・ディロン、ラルフ・マッチオ等。
トム・クルーズが脇役で出演してます。
原作はS・E・ヒントン(スーザン・イロイス・ヒントン)の同名小説で、当時アメリカで人気のあったYA(ヤング・アダルト)小説のベストセラーとなった本、だそうです。
スーザンはなんと、これを15歳の時に書き始め、16歳で書き終えた、と。そして、
「この作品をはじめとするヤングアダルト(YA)小説は、新しい時代の青春小説として、幅広い世代から支持された。1988 年、YA文学に最も貢献した作者に与えられるマーガレット・A・エドワーズ賞の第1回受賞者となる。」
なんと!天才ですね。
「自らの高校時代の体験を元にタルサ大学在学中の18歳の時に、生まれ育った町タルサを舞台にした処女作『アウトサイダー』(The Outsiders, 1967年)でデビューした。」そうですよ。
いや、すごい奴がいるな、アメリカには。
・・・って、でもほんとにあんなことが日常的にあったってこと?オクラホマ州タルサの辺りじゃ?
それって、日本人から見たらちょっと信じられない、物語の中だけの話のように思えるけど。
たまきは7〜8年前に、「ウエストサイド物語」も観ましたけど、ちょっとそれを彷彿とさせるような話で、2つの不良グループの対立と抗争を描いてるんですね。
「ウエスト・・・」の方は、ニューヨークを舞台に、ポーランド系アメリカ人とプエルトリコ系アメリカ人の両非行グループの抗争について描いていて、なんとこれは、「ロミオとジュリエット」を基にした物語なのですって。
知らなかった・・・・
「アウトサイダー」の方は、特に何かを基にして描かれた、というわけではないんですね。ただ原作者の実体験を描いているわけだから、あんなナイフ持ったり、銃まで高校生が持ってて、そのせいで殺人事件にまで発展してしまったり、ということが当時あの辺りではあった、ということ?
いや、すごいですね。
勿論、物語性を強める為に、実際には起こらなかった殺人事件まで盛り込んだ、ということなのでしょうけど。
ちなみに原作のスーザンヒントンは脚本も共同で担当したそうですが、映画化に当たっては、彼女の友達がコッポラに手紙を書いて、映画化してくれるよう、頼んだそうですよ。
彼は原作を読み、これはやるべきだ、と思って制作したそうです。
コッポラって、あの不朽の名作と呼ばれる「ゴッドファーザー」シリーズの監督、そして脚本も担当した人なので、こんな15歳くらいの子供達の世界を描いたと知って、たまきは心底驚いた。
興行収入$25,697,647、とあるから30億円ちょっとでしょうか?
現在のトム・クルーズの興行収入には比べようもない額ですが、当時はけっこう人気のあった映画らしい。

「主役を演じたのはC・トーマス・ハウエルであり、それ以外に、後にYAスター(ブラット・パック)と呼ばれることになるロブ・ロウ、トム・クルーズ、ラルフ・マッチオといった若手人気俳優が出演した。」とあるから。
”ブラット・パック(Brat Pack)は、1980年代のハリウッド青春映画に出演した若手俳優の一団に付けられたあだ名。「小僧っ子集団」というような意味。日本ではYA(ヤングアダルト)スターと呼ばれることもあった。”だそうです。

ストーリーは・・・
オクラホマ州タルサでは、貧困層の若者のグループ「グリース」と、富裕層のグループ「ソッシュ」が対立していた。
・・・と。
ほら、この辺り、「ウエストサイド物語」を彷彿とさせるでしょ?
そして「ウエスト・・・」が「ロミオとジュリエット」を基にして作られたのだったら、この「アウト・・・」もそういう話か?と思ったら、ラブストーリーはほとんど関係ないんですね。ほんのちょっと、主役のトーマス・ハウエル演じるポニーボーイとダイアンレイン演じるチェリーがそれらしい雰囲気を醸す程度で。
でもポニーは貧困層「グリース」側、チェリーは富裕層「ソッシュ」側のお嬢様、というあたり、対立する2つのグループの敵同士の恋愛、という構造にはなるわけですね。
いやいや、偶然かもしれないにしろ、シェイクスピアの影響は大きい、とたまきは感じましたよーーあくまで個人的な感想ですが。

主題歌「ステイ・ゴールド」は、カーマイン・コッポラ作曲、スティーヴィー・ワンダーが作詞と歌を担当した、ということですが、カーマインはフォードコッポラのお父さんなんですね。
この二人は「ゴッドファーザー」でもコラボして、アカデミー賞を親子して受賞してます。

この主題歌が映画の冒頭で流れた時、たまきは歌詞に惹かれて、「ステイ・ゴールド」って、何のことかな?
とずっと考えてました。
映画の最後に、教会の火事から子供達を救い、その時負った怪我のせいで数日後に死んでしまったジョニーが、親友のポニーに残した手紙にその答えがありました。

それについては後で書くことにして、まずストーリーですが。
主人公のポニーや親友のジョニー、そして彼らの兄貴分のダラス達は下町に住む「グリース」(髪にべったり油をつけてるから)。そしてチェリー、ボブ、ランディ達は山の手に住むお嬢様、お坊ちゃま「ソッシュ」。
両親を亡くして貧しい暮らしのポニーや、家庭内暴力のせいでいつも「耐えられない、死にたい」と言ってるジョニー達はいつもソッシュ組にいじめられている。
ある日、2人とダラスの3人はドライブインシアターで映画を観ていると、チェリーとその友人に出会う。
彼女たちはソッシュ組だが、ポニーに興味を持って、一緒に歩いて帰る。
そこへチェリーのボーイフレンド(ボブ)と仲間が現れ、一触即発になるが、チェリーが上手く収める。
その後、家に帰りたくないジョニーと、兄と喧嘩して家を飛び出したポニーが空地で話していると、ソッシュ達に襲われ、ポニーはボブに殺されそうになる。
ジョニーは彼を助ける為、咄嗟にナイフでボブを刺し殺してしまう。
ダラスに相談すると、古い教会に身を潜めろ、と、1週間分の食料を買うお金を渡す。
教会で数日過ごす彼らは、「風と共に去りぬ」を読み、ロバート・フロストの「黄金の色はあせる」を暗唱する。
ここですね!
この映画のテーマとも言える「全ての物事はしばし輝き、やがてその輝きを失う」と、ポニーがジョニーに記憶のままに詩を朗読すると、ジョニーは感銘を受けるのです。

ダラスがやって来て、食事で外出すると、教会が火事になっていて、中に子供達がいる。
ポニーとジョニーは、ダラスの制止を振り切って中に飛び込み、子供達を残らず救出する。
が、ジョニーは深手を負って、病院に運ばれる。
この二人の(後でダラスも応援に駆け付け、合計3人)の犠牲的行為は地元新聞を飾り、彼らは街の英雄になる。
貧乏人、とクズ扱いされていたグリース達が英雄になったのが面白くないソッシュは、ボブが殺された恨みもあって、両グループ総出の喧嘩が始まる。
グリース組はその喧嘩に勝ち、入院中のジョニーに報告するが、ジョニーは自分が死にかけていることを悟り、「喧嘩はやめろ」とダラスに忠告し、ポニーに「ステイゴールド」と言って息を引き取る。

ジョニーの死に衝撃を受けたダラスは、「子供を助けた結果がこれか?」とやり場のない怒りで、衝動的に強盗を働き、結果、警官に囲まれて、弾丸の入っていない銃を警官に向け、彼らに射殺される。

ポニーはジョニーにあげた「風と共に去りぬ」の本を病院で受け取り、中にジョニーからの手紙を見つける。
自分の命を犠牲にして子供達を助けたことが、いかに価値あることか、そしてポニーに「決して変わるな」つまり「ステイゴールド」と書いてあるのを読む。

ここに答えがありました。
全ての人間の中にある「輝き」に気づけ、この世の、全ての物事の中にある「輝き」に気づけ。
そしてそれを失うな、ということでしょう。
つまり、「黄金色の輝き」とは、人の心の中にある、ということだろう、とたまきは自分なりに答えを出しました。

それにしても、トム・クルーズがまったくの脇役なので、がっかりします。
その前に「エンドレスラブ」にも脇役で出演してるらしいのだけど、これはレンタルショップにも全然置いてありませんね。

この「アウトサイダー」の出演者には、トム以外誰も有名な人がいないわ、と思っていたら、皆それなりに活躍してる、昔はけっこう人気のある俳優達だったことがわかってびっくり、です。
まあね、トムがこの直後くらいに、あまりにもビッグなスターになってしまったので、他の人たちには気が付きもしない、ということだったのかな?
今でも彼ら、結構いろんな映画に出てるんだけど、トムほどのビッグスターはいませんね。
この映画ではほんとに信じられないくらい出番の少ない、脇役に徹しているので、気を付けて観てないといつどこに出番があったのかわからないくらいですけど。
彼が20歳くらいの時ですね。
この同じ1983年には、「卒業白書」で主役を務め、大ブレークして、一躍スターの座についてるんだから、驚きです。
あんなに目立たなかった彼を見出し、直後に「卒業ーー」の主役に抜擢したプロデューサーの千里眼というのは、恐ろしいものがありますね。
「ハリウッドのプロデューサー並みの千里眼」という言葉があるくらいで、彼らの人を見出す能力は侮れません。
そしてたまきは、トムがこの「アウトサイダー」で大きい役をやらなかったことが、彼をその後、ビッグにした理由の一つではないか?なんて根拠もなく考えましたよ。
なまじこういうシリーズ化された(正確にはコッポラのYA三部作です)、人気青春映画で有名になったりすると、その後大きく羽ばたく為の足かせになる可能性、について思うところがあるので。
まあ、彼ならば、ありとあらゆるキャラクターを、ガラリと違うイメージで演じるのでーーーそれこそ正義の使者から極悪人、或いは「インタビューウイズヴァンパイアー」のような化け物までーーーどのみち今の地位を築いただろう、という見方もできますけどね。

たまきはこれ、トム・クルーズが出てる、というだけで観たんだけど、その期待で観るとがっかりするので、念のため。
彼はほんとの脇役です。
でもただ、トムという伝説的な大スターの、俳優としての軌跡を辿る、成長の過程を知る、という意味では大いに参考になるかも。
それを別にしても、映画自体も悪くないですよ。

Stay Gold・・・
人生100年時代に、いつまでも輝き続ける・・死ぬまで・・・
というのは難しいとは思うけど、その人なりに、自分にとっての「黄金の心」を失わなければ、幸福な人生、と言えるかも。

15〜6歳の女子高生の描いた、昔のアメリカの青春群像。
一見の価値あり、です。


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