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2022年07月22日23:15

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クルマ0333 水陸両用(SCHWIMMWAGEN)

知っている人は多くないと思いまが、イギリスには至るところに運河があります。水位に高低差があるエリアを船が航行するには、閘門(こうもん)という仕組みを設けなくてはならないのですが、それには幅が狭く作られた「ナローボート」が不可欠です。

かつては物資輸送に供されていたナローボートですが、鉄道ひいてはトラック輸送が主流になった昨今は、イングランドやウェールズに観光用として残るのみとなっています。

「ナロー」というだけあって本当に狭く、全長は長いものでは20m以上あるのに幅は僅か2mほどしかありません。
でもキッチンもリビングもベッドルームもトイレもシャワールームも完備されています。狭いからこそ居心地が良いんです。"cozy"という表現がピッタリ(comfortableにも「居心地が良い」という意味がありますが、cozyには「暖かくこじんまりして」というニュアンスが追加されます)。

朝起きたら狭い洗面所に行き歯磨きと洗顔をします。次に狭いキッチン(ダイニング)でイングリッシュブレックファスト(焦げ焦げの薄いトースト・固く焼いた目玉焼き・ベイクドビーンズ・素揚げしたマッシュルーム・焼いたトマトなど)を食します。そして狭いリビングで紅茶をすすりながら今日の行き先を確認。
ナローボートに宿泊滞在した経験はかの地に魂を置いていくには充分、いかにも「これぞイギリス」です。しかも水の上ってユリカゴに揺られているような気分になるものです。これが水陸両用車好きになった下地かもしれません。

水陸両用車は本稿0001でアンフィカーを採り上げましたが、今回はシュビムワーゲンです。昔プラモデルを作ったものです。
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第二次世界大戦(ヨーロッパ戦線)において、ドイツはポーランド進攻の際に国境の川(オーデル川とその支流のナイセ川)の渡河(とか)に苦労しました。そこで水陸両用の軍用車を導入することになり、1940年7月に開発が始められました。
本稿0230(2020年7月30日の日記 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1976455210&owner_id=9783394 路地て行き倒れたビートル - いい写真ですねぇ)で採り上げたポルシェ60「フォルクスワーゲン(ビートル)」から発展した軍用車のポルシェ82「キューベルワーゲン」をベースにして、開発開始からわずか2ヶ月後の1940年9月にポルシェ128「シュビムワーゲン」のプロトタイプが完成しました。軍用らしく驚くほどのスピードです。

キューベルワーゲンが空冷水平対向4気筒985cc(23.5馬力)エンジンを搭載する後輪駆動車であったのに対し、シュビムワーゲンは同じ型式の1131cc(24.5馬力)を積む4輪駆動でした。
車体最後端にはエンジンのクランクシャフトに繋がる「肛門」があり、普段は上にはね上げられている3枚羽のスクリューを連結させて水上航行することができました。
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陸上では最高速度85km/h、水上では同10km/hの能力があったと言われています。

ポルシェ128は熟成が進められ、1941年6月に166になります。大きな変更点は車体サイズで、ホイールベース2400・全長4200・全幅1620mm、車重1350kgから各々2000・3825・1480mm、1345kgに小さくされました。
モデルチェンジした166は好評でしたが、1944年8月に車体工場が爆撃・破壊されて14276台の生産に終-わりました。

ところで、2020年3月5日にアメリカ・フロリダ州のアメリア・アイランドで行われたオークションに、2006年に施されたフルレストア状態をよく保った素晴らしい1944年式の166が出品されました。落札価格は手数料込みで$145,600(約1530万円)でした。
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