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2022年07月08日23:52

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゚Д゚) < Paa (父さん)

求職活動中の男性 自身の履歴書を読んでもらうために起こした行動が「クリエイティブだ」と話題(印)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=103&from=diary&id=7027168

 なかなかに、発想の斜め上っぷりがブリリアントながら、そのネタに使われた企業の返し方も実にエレガント。
 この辺の皮肉の効いていつつ、ポジティブに話題を拾ってくるあたりに、インドのイギリス連邦加盟国としてのイギリス人との共通性が見えてくるような気はしている。どっちも、わりと皮肉屋だしね。…方向性は違うにしろ。

 なもんで、イギリスがインドを舞台にした映画撮ったり、インドがイギリスを舞台にした映画撮ったりしてるのも「さもありなん」と微笑ましく眺めてしまう自分もいる。インド人から見た、イギリスへの屈折した片思いも透けて見える感じもするしねえ……って言うと、めちゃくちゃ怒られそうではあるけれど。うん。




Paa (父さん) 2009年 133分
主演 アミターブ・バッチャン(製作も兼任) & アビシェーク・バッチャン(製作も兼任) & ヴィディヤー・バーラン
監督/脚本 R・バールキー
"それは、とても珍しい父と息子の物語"

https://www.youtube.com/watch?v=exc2Ila_fS4

 ラクノウのキング・エドワード小学校50周年記念式典に招待された青年政治家アモール・アーテーは、そこで特別賞を獲得した早老症の生徒オーロと出会う。
 そのオーロから授賞式の話を聞いた産婦人科医の母ヴィディヤーは、TV取材されているその式典の様子を見て衝撃を受けるのだった…!!

 12才のオーロは、その機知溢れる発想で学校の人気者ながら、外見は70才の老人のように老け込んでいる先天性早老症(ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群)。
 かつて、英国留学中のヴィディヤーがアモール・アーテーと愛し合いながらも、妊娠が発覚したヴィディヤー1人が帰国して、政治家を目指すアモールにその事実を知らせないままオーロを生んで、早老症と診断されて以降彼女と母親だけで育ててきた。そのオーロが、知らずに実の父と会っていたとは…。

 式典のTV放送以後に取材陣に殺到されたオーロは、メールでアモールに怒りをぶつけたことをきっかけに彼と連絡を取り合うようになる。
「他になにかできることはないかい?」
「…大統領官邸に連れってって欲しい」
「いいとも。今度デリーに行く時は一緒に行こう」
 その様子を見るヴィディヤーは、オーロに父親のことを明かすべきかどうか決めかねている…。


挿入歌 Mudhi Mudhi Ittefaq Se

https://www.youtube.com/watch?v=LVJAip8ybRU


わーい(嬉しい顔) 早老症の息子とその両親とのすれ違いの関係性を描く、ヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)映画。

 主役父子を演じたのは、実際に父子のアミターブ・バッチャン(息子オーロ役)とアビシェーク・バッチャン(父親アモール役)父子。「パッドマン(Pad Man)」のR・バールキー、2本目の監督作である。
 映画は、インドと共にイギリス、アイルランド、オランダ、アメリカで同日公開となった。

 とにもかくにも、67歳(公開当時)のアミターブ・バッチャンが12才の少年役を演じるというだけで「なんだそれ!?」ってなる映画なんですが、その早老症の主人公オーロの魅力たっぷりの立ち居振る舞い、周りへのユーモアたっぷりの切り返し方もあって、映画そのものの魅力のほとんどを持って行っちゃうほど高感度爆上げ。ポスターでの気合の入った早老症メイクに「んー説教くさくてお涙頂戴の難病モノ映画だとヤダなあ」とか思ってた自分をしばきたいでございますことよ。
 こう言う題材の映画によくある、難病ロマンスとか、学校のいじめ問題とかが全く除外されているにも関わらず、しっかり家族ドラマとしてもロマンス劇としても友情劇としても、ヒューマンドラマとしても盛り上げまくる劇進行に感心しまくりですわ。

 早老症のオーロのメイクアップを担当したのは、「パッション(The Passion of the Christ)」でアカデミーメイクアップ賞を受賞しているクリスティン・ティンスレイと、「ロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings)」などで活躍しているドミニー・ティルと言うハリウッドの精鋭と言う布陣。
 一方、公開当時30歳のヴィディヤー・バーランが、アミターブ演じるオーロの母親役として貫禄の演技を見せているかと思えば(メイキングでは、アミターブと母子のノリでバスケに興じる姿も見せている!)、ヴィディヤーの母バム役のアルンダティ・ナーグは劇中と同じく私生活でもシングルマザーと言うシンクロ具合。アモールの父親を演じているパレーシュ・ラーワルも、劇中と同じく政治家として有名を馳せていた時期もあるし、舞台裏を知っていると、演者と劇中登場人物とのねじれたシンクロ具合(相反具合?)もメタ的な見所になったり…する?
 報道の暴走による政治や一般生活の混乱が前半にクローズアップされるのも、そんなメタ的な要素を強調するためか、早老症による主人公の老けた外見と子供心溢れる中身とのギャップとを対比させるためか。

 03年に原因遺伝子が特定されたと言うプロジェリア症候群は、それでもなお現在も根本的な治療法がなく、肉体の老化促進によって発症者の平均寿命は13年と言われる。
 コメディ的要素のある本作ではあるものの、劇中ではその難病に対して強く人生を歩もうとする母と子、それを見守る友人知人たちの姿勢が、各登場人物たちの芯の強さによって暗く憂鬱になる事を退け、生きることの喜びを前面に押し上げていく。
 実の父の事を明かされた後、主人公オーロにとっての関心が父親のひととなり、母と父の関係修復へと向かう中、そのすれ違いドタバタ劇を爽やかに見せつつ血のつながりを意識しない親子関係を繊細に描いていくシーンの美しさも必見。最後に死期を悟ったオーロが自分を中心に両親が手を繋いで回るよう指示する(=正式に結婚していない2人の結婚儀礼)シーンに込められた様々な感情の渦はホントに凄まじい。その後にスコールの中で悲しみを共有する2人の情景もあわせて、「儀礼」「手を繋ぐこと」「雨」「祈り」「聖火」のイメージ喚起力は、まさにインド映画の真骨頂ですわ。

 まあ、ヴィディヤーがシングルマザーの道を進む事を決意するあたり、アモールになにがなんでも出産の決意を伝えとくべきだったんじゃないかとか色々思うことはあるけれど…。


挿入歌 Hichki Hichki

https://www.youtube.com/watch?v=th7Nbf2mH6M

挿入歌 Halke Se Bole

https://www.youtube.com/watch?v=EKmnn7DFCvs

プロモ映像 Paa Theme (Remix)

https://www.youtube.com/watch?v=n65LNZyoE8M




受賞歴
2010 Filmfare Awards 主演男優賞(アミターブ)・主演女優賞(ヴィディヤー)
2010 National Film Awards 主演男優賞(アミターブ)・助演女優賞(アルンダティ・ナーグ)・注目ヒンディー語映画賞・メイクアップ賞(クリスティン・ティンスレイ & ドミニー・ティル)
2010 Star Screen Awards 主演男優賞(アミターブ)・主演女優賞(ヴィディヤー)・子役賞(プラティーク・カターレ)・助演女優賞(アルンダティ・ナーグ)・ベストカップル賞(アミターブ&アビシェーク)・BGM賞(イライヤラージャ)
2010 Stardust Awards 男優・オブ・ジ・イヤー賞(アミターブ)・助演男優賞(アビシェーク)
2010 IIFA(International Indian Film Academy) Awards 主演男優賞(アミターブ)・主演女優賞(ヴィディヤー)・メイクアップ賞(クリスティン・ティンスレイ & ドミニー・ティル)
2010 Matri Shree Media Award 作品賞
2010 Priyadarshni Academy Awards 主演女優賞(ヴィディヤー)
2010 Screen Weekly Awards 主演男優賞(アミターブ)・主演女優賞(ヴィディヤー)
2011 Apsara Film Producers Guild Awards 主演女優賞(ヴィディヤー)
Lines Gold Award 主演男優賞(アミターブ)・主演女優賞(ヴィディヤー)
FICCI Frames Excellence Awareds 主演男優賞(アミターブ)・主演女優賞(ヴィディヤー)



・本作と同じR・バールキー監督作でもある、日本公開作「パッドマン(Pad Man)」はこちら
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969566984&owner_id=3570727



・Paa を一言で斬る!
「メディア攻撃に対して、特別番組で反論するアモールに最初に拍手を送る報道センタースタッフ、監督夫人のガウリー・シンデー(本作ののち、「マダム・イン・ニューヨーク(English Vinglish)」で監督デビューする人!)に見えるけど…?(違ってたらメンゴ)」
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