下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【28】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1981223451&owner_id=5019671
mixi日記2022年05月17日から
質問サイトに〈「人」と「名」の使い分け〉という質問が2つあった。
テーマサイトは下記。
【文章中、どんな場合に使い分ければ良いのか?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12963138.html
===========引用開始
質問者:miracara2質問日時:2022/05/24 07:07回答数:2件
文章中、人の数を示す言葉に、「数名」「●名」と、「数人」「●人」がありますが、どんな場合に使い分ければ良いのでしょう?
===========引用終了
首をかしげてしまった。
1つ目のBAの趣旨は
1)〈人(個人)を特定できる場合は、「名」〉
2)〈人(個人)を特定できない時は、「人」〉
3)〈丁寧にいう時は「名」〉
【「○○人」と「○○名」の使い分け】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12963231.html
===========引用開始
質問者:mota_miho質問日時:2022/05/24 08:57回答数:4件
どのように考えたらいいのでしょうか?
同様のご質問(解決済み)を拝見し、あらためてお尋ねしてみたくなりました。
質問者からの補足コメント
ひょっとしたら「正解」がないのかもしれません。ここで締め切らせていただきます。ありがとうございました。
===========引用終了
先行コメントを踏まえた質問のはずなのに、話し合いらしきものがないうちに締め切っている。
ここでも1つ目のBAのような説が出ている。
〈特定できるなら「名」で、特定できないなら「人」〉なんだ。
ということは、飛行機事故で多数の死者が出たとして、身元がわからないうちは「人」で、身元が判明したら「名」なの?
100人のうち50人の身元がわかったら、50人と50名なの?
こういうことになる理由が予想できるような気がして、ネット検索してみた。
【「人」「名」使い分け】
https://www.google.com/search?q=%E3%80%8C%E4%BA%BA%E3%80%8D%E3%80%8C%E5%90%8D%E3%80%8D%E4%BD%BF%E3%81%84%E5%88%86%E3%81%91&rlz=1C5CHFA_enJP933JP935&oq=%E3%80%8C%E4%BA%BA%E3%80%8D%E3%80%8C%E5%90%8D%E3%80%8D%E4%BD%BF%E3%81%84%E5%88%86%E3%81%91&aqs=chrome..69i57j0i546l4.24526j0j4&sourceid=chrome&ie=UTF-8
約 51,700,000 件
関係ないものもあるみたいだけど、このヒット数の多さは何?
検索のトップはTBSテレビ。
https://www.tbs.co.jp/konosa/old/20180410.html#:~:text=%E5%80%8B%E4%BA%BA%E3%82%92%E7%89%B9%E5%AE%9A%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%E5%A0%B4%E5%90%88,%E3%81%AF%E3%80%8C%E5%90%8D%E3%80%8D%E3%82%92%E4%BD%BF%E3%81%86%E3%80%82
===========引用開始
専門家:山口謠司(大東文化大学 准教授)
この差は…
個人を特定できるかできないか どうか
個人を特定できない場合は「人」、個人を特定できる場合は「名」を使う。
〇どのような時に人数を「人」で数えるのか?
個人を特定できない場合。例えば携帯ショップの待ち人数は、順番待ちの段階ではどんな人が待っているのか個人を特定できないので「8人」。ライブの観客数は一人ひとりの名前を確認したりできないから「7,000人」。ドラマのエキストラ募集人数はどんな人が集まるのか募集の時点では個人を特定できないから「1,000人」などと「人」を使う。
〇どのような時に人数を「名」で数えるのか?
個人を特定できる場合。例えば飲食店の順番待ちの人数は、店員がお客の顔を見たり待機リストで名前を確認したりして個人を特定できるので「2名」。ライブの出演者は一人ひとり名前がわかっていて個人を特定できるから「46名」。TBS社員数は誰が社員なのか個人を特定できるから「1,072名」などと「名」を使っている。
〇もともと日本ではすべて「人」で数えていた。
昔、日本で人の数を数える時は、個人を特定できるかできないかに関わらず「人」を使っていた。奈良時代に成立した「日本書紀」では人数表記はすべて「人」。平安時代の法律がまとめられた「延喜式」にも人数表記は「人」が使われている。
〇いつから「名」が使われるようになったのか?
「名」が使われ始めたのは明治時代。陸軍を始めとする軍隊で使い始められたのではないかと考えられており、明治15年に定められた陸軍の報告書のひな型である”陸軍報告例”には、人数はすべて「名」で書くように示されている。
〇なぜ「人」と「名」を使い分けるようになったのか?
明治になって初めてできた陸軍は個人を特定できる組織だったため。明治5年に明治政府は国民一人ひとりの名前・年齢・住所を把握するため、壬申戸籍という「戸籍」を作った。この戸籍をもとに満20歳の男性に徴兵検査を義務付け、検査に合格した人が軍人となった。
明治になって初めてできた陸軍は個人を特定できる組織だったため、江戸時代の古い組織と区別するため、明治の陸軍は人の数え方を「人」ではない数え方にわざわざ変えたのではないかと考えられている。個人を特定できるということで、名前の「名」を取った「名」という数え方にした。
ただ、現在では「人」と「名」の使い分けが曖昧になっていて、単に丁寧な言い方をする時に「名」を使う場合もある。
===========引用終了
このあたりが根源ですかね。
この解説は相当おかしくないか?
だって、冒頭では〈個人を特定できない場合は「人」、個人を特定できる場合は「名」を使う。〉としている。
〈携帯ショップの待ち人数は、順番待ちの段階ではどんな人が待っているのか個人を特定できないので「8人」〉〈飲食店の順番待ちの人数は、店員がお客の顔を見たり待機リストで名前を確認したりして個人を特定できるので「2名」〉
いったいどういう法則性なんだろう。
その後に歴史的な変遷を書いて、結論は〈ただ、現在では「人」と「名」の使い分けが曖昧になっていて、単に丁寧な言い方をする時に「名」を使う場合もある。〉とのこと。
特定云々の話はどこに行った?
2番目は「日本広報協会」。
https://www.koho.or.jp/useful/qa/hyouki/hyouki02.html
===========引用開始
Q 人の数を表す場合、「○○名」と「○○人」とどちらがいいのでしょうか。
A 「○○名」と「○○人」という言い方を比較すると、「○○名」のほうが改まった言い方と言えるでしょう。理由は、改まった場面(格式張った場面)でよく使われるからです。例えば、次のような使い分けが想像できます。
「本日の会には○○名の方のご出席を賜りました」
「今日、出席してくれたのは○○人でした」
『大辞林』でも「名」の項に「人よりは丁寧な言い方」と書かれています。また、『新明解国語辞典』では、「特に、定員の有るものや定数の有る場合のほか、改まった表現をしようとする際は、「人」よりも「名」を使うことが多い」とあります。確かに、「定員○○名」などという書き方は目にすることがあります。これも形式的な表現ですから、改まった場合と考えることができます。
広報紙や新聞の記事などの場合、何も改まった表現をする必要はないケースがほとんどですから、より一般的な言い方=「人」のほうが好ましいといえるでしょう。
何かよほど改まった文章の場合は、「名」がふさわしいことも起こり得ます。
===========引用終了
これは辞書の記述も踏まえたまともな解説だろう。特定云々なんて話はない。〈定員の有るものや定数の有る場合〉と、個人を特定できるか否かは別の話。
細かい部分を見ると、疑問も感じるけどね。
たとえば〈理由は、改まった場面(格式張った場面)でよく使われるからです。〉って理由になってるのだろうか。とくに理由はないと思う。あえていえば「慣例」だろうか。そういう傾向がある、ってこと。
〈これも形式的な表現ですから、改まった場合と考えることができます。〉もどうなんだろう。「定員/○人」の乗り物(そうか、エレベーターも乗り物か)もあると思うよ。
あといくつか読んでみたけど、〈個人を特定できない場合は「人」、個人を特定できる場合は「名」を使う。〉という説が多い。多数あっても、まともな理由をあげているものは見当たらない。
例によって、このパターンですか。
『記者ハンドブック』(第14版のP533)をひく。
===========引用開始
【助数詞適用の基準】
助数詞は原則として、日常一般に使われている易しいものを使う。
1 人間
人 人間は「人」で数える。「名」は使わない。ただし「2名連記」などは別。
〔例〕1人死亡 3人が重傷 5人委員会 300人が集合
===========引用終了
はい、終了ー。
少し補足するなら、「名」のほうが丁寧な印象がある。「敬語」ではないが「改まり語」の類いだろう。
店が客の人数を確認するのに「何名様ですか」と訊くのはフツー。
客側は「○人です」がフツーだろう。
これだって例外があって、飲食店の席は「2人席」「4人がけ」などというのでは。こちらは「名」は珍しいのでは。
これは推測なんだけど、「名」のほうが「様」との相性がいいことも影響しているような。「2名(様)でお待ちの田中様」なんて言い方をする。
これを「お2人様でお待ちの田中様」はちょっと気持ちが悪い。
「4人」あたりだと「様」はつけられないのでは(笑)。
一方新聞はニュートラルを旨とするから、基本的に「人」を使う。それだけのことだろう。
下記あたりが関係する。
【「○○名」と「○○人」という言い方を比較すると】
https://www.facebook.com/akira.takahashi.14/posts/3866330780057301
【方 人 者 人 名 goo】2020-11-15
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12578029129.html
ちょっと笑ってしまった。
同じようなことを書いているのは当然かもしれないけど……。
===========引用開始
飲食店で、ウエイティング客がいる場合。「○名でお待ちの田中様」とか呼ぶ。「名」は「様」と相性がいいので「○名様でお待ちの田中様」なんて気持ちの悪い使い方も。
このあたりは、接客業特有の言い回しだろうな。こういうのも「商業敬語」と言っていいのだろうか。異和感があるけど、これに慣れると「○人」がゾンザイに感じられる。
===========引用終了
田中様って誰よ。
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