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2022年05月20日10:48

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2022年4月15日男女の賃金格差は5000万円 開示制度で改善なるか

男女の賃金格差は5000万円 開示制度で改善なるか
編集委員 中村奈都子

中村 奈都子
2022年4月15日 5:00 [有料会員限定]

新年度が始まり大学では新入生を歓迎する様々なイベントが開催されている。大学進学者数は年々増加傾向にあり、学部学生に占める女子学生の割合は2021年度に45.6%と過去最高を更新した。性別に関係なく男女がともに学ぶ環境は整いつつあるが、果たして社会に出てからも同じようにキャリアを積むことはできるのだろうか。
大卒女子=高卒男子?
Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。
男女共同参画社会に向けた施策をきちんと進めるために設けられた内閣府の計画実行・監視専門調査会。1月の会議で提示された資料では、同じ大卒・正社員でも、その年収は男女間で格差があり、年齢が上がるにつれその差が広がることを示していた。
大卒女性の賃金上昇はむしろ、高卒男性と似ている。生涯賃金は大学・大学院卒の正社員でも、男性2億6920万円に対し女性2億1670万円と、5250万円の差になるという。出席した委員からは「息子と娘を同じように育てて大学に進んでも、娘だけがマイナスを食らう社会が果たしていいのか。絶望しかない」との意見が出た。
男女の賃金格差は先進国共通の課題だ。男性の賃金を100としたときに2020年時点で女性の賃金は経済協力開発機構(OECD)の平均で88.4。日本は77.5とさらに低い。格差解消に向け、各国は賃金透明化ツールの義務化を進めている。


OECDが昨年秋にまとめた報告書によれば、英国やイタリア、オーストラリアなどの9カ国が「賃金格差報告制度」を採用し、男女間賃金格差のデータを定期的に報告するよう義務付けている。公表を怠った場合、罰金などの罰則が科される可能性もあるという。

英国では政府専用のウェブサイトなどで企業の男女間賃金格差を公表している
英国では17年以降、従業員250人以上の雇用主は毎年、男女別の賃金およびボーナスの平均値と中央値を査定し、男女間の賃金格差を企業および政府の専用ウェブサイトで公表しなければならない。
カナダやフランスなど9カ国は賃金格差の実態報告だけでなく、原因の分析や行動計画の策定を求める「同一賃金監査制度」を導入している。報告書では、簡素な報告制度より男女間の賃金格差の縮小効果は大きいとみられる、としている。


日本では女性活躍推進法に基づき、女性役員比率や男女の平均継続勤務年数の差異といった情報の公開を求めているが、その中に賃金は入っていない。
離職はブランクか?
男女の賃金格差については、様々な理由が指摘される。例えば、結婚や出産で一時的に仕事を離れたり、仕事を続けても働き方を変えたりすることで生じる差だ。厚生労働省によれば、格差の要因で最も大きいのは役職の違い、次いで勤続年数の違いだ。年功序列が残る企業組織では、一度職場を離れると再びキャリアを築くのは容易ではない。
メルカリグループのメルペイで働く田中マヤHRビジネスパートナーは、夫の海外転勤を理由に仕事を辞めて3年間タイで暮らした。日米で育ち日本語も英語も堪能で、日本では通訳や秘書の経験をもつ。ビザの関係で仕事ができなかったため、3年間は語学学校に通ってタイ語を習得し、現地NGOの広報責任者を務めたり、子どもの学校のPTAなどに従事した。
自分なりに経験を積んだつもりだったが、帰国後に就職活動をすると「3年のブランク」や「子どもがいるから残業が難しい」といった理由でほとんどの会社は履歴書段階で門前払い。知人の紹介で受けたメルカリグループで職を得たが、「一度レールから外れると戻れないんだと不安と不満でいっぱいになった」。

ブランクを経てメルペイで働く田中マヤさん(東京都港区)
メルカリグループでは21年秋から出産・育児、介護などで仕事を辞めた人を対象としたキャリア再開支援策「メルカリ・リスタート・プログラム」を始めた。有給インターンとして3カ月程度かけて仕事を学び、その後、希望すれば選考を経てメルカリグループに正社員として入社することも可能だ。
格差メカニズムの詳細な分析を
たとえ働き続けても企業の中には様々な格差要因が存在し、同期でも10年、20年と経つにつれて男女間で役職や給与の差が顕著になるケースは珍しくない。19年のG20大阪サミットでの首脳宣言をもとに発足した民間アライアンス「G20 EMPOWER」では、採用から役員登用までの各段階で男女差を確認することを提案する。
日本共同代表の塚原月子さん(カレイディスト代表取締役)とアキレス美知子さん(SAPジャパン人事戦略特別顧問)は23カ国・地域のグローバル企業139社の事例を活用し、人事プロセスの主要ポイントをジェンダー視点で分析するジェンダーレンズ・チェックリストを作成した。
例えば、能力開発プログラム参加者の男女比を確認し、参加者に女性が少ないならばその原因がどこにあるのかを探り改善する。「入り口(採用)と出口(役員)の数字ばかりを追いかけがちだが、なぜ差が出るのかというメカニズムを明らかにしないと問題は解決しない」と指摘する。
岸田文雄内閣が掲げる新しい資本主義は「女性の経済的自立」を中核に位置づけ、3月8日の国際女性デーにあたり、岸田首相は男女の賃金格差を是正するため企業の開示ルールを見直すと発言した。開示によって企業の意識を変え、改善に向けた取り組みを促す。
具体的には女性活躍推進法に関して男女別の賃金水準の公表義務付けと、有価証券報告書の中で企業の多様性に関する指標として男女間賃金格差の開示が議論されている。
データ開示を意味あるものにするためには、明確なガイドライン作成や企業の負担を最小限に抑える仕組みづくりが求められる。6月にも決定する「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)」に内容を盛り込み、早ければ来年度から実施する方向だ。
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