政敵であるウィクラマシンハ(当時)首相の追い落としに成功したマヒンダ・ラジャパクサ元大統領は、弟ゴタバヤを大統領に据え、自らも首相に就任。さらに主要閣僚も一族で抑えて、スリランカ政界を完全に牛耳るに至った。
しかし、その後にコロナによる経済危機と農業政策の大失敗で、外貨がショート。国民生活が破綻してしまい、国民の怨嗟はラジャパクサ家に集中。スリランカ国内で反政府デモが頻発するようになった。
国民の不満を抑えるために内閣改造が行われ、マヒンダとゴタバヤを除いて、一族を閣僚から排除。しかし国民の不満は収まらず、マヒンダとゴタバヤの排除を要求して、デモはさらに過激化。これまでマヒンダを支えてきた与党からも造反者が次々と現れ、与党は過半数を割った。
デモ隊がラジャパクサ一家の邸宅を襲撃するに至り、マヒンダは治安部隊に発砲などを許可。しかし、これに激昂したデモ隊の一部はさらに過激化。治安部隊やデモ参加者に死傷者が相次ぐようになる。
スリランカ新首相にウィクラマシンハ氏が就任、連立協議へ
https://jp.reuters.com/article/sri-lanka-crisis-idJPKCN2MY2AY
とうとうマヒンダが首相を辞任し、代わって首相になったのが かつてマヒンダが追い落としたウィクラマシンハだったというオチ。一周回った感がある。
もっとも、デモ隊過激派はゴタバヤも排除する気満々だし、ウィクラマシンハも経済危機を解消する魔法の弾丸を持っているわけではない。スリランカはまだまだ荒れるだろう…みたいな流れ。
ちなみに、この騒乱で与党議員が一人死亡するに至ったのだけれども、その死に方が「自身の運転する車に群がってきたデモ参加者を二人射殺して、その後に自殺」という想像の斜め上の展開だった という話。まるでゾンビ映画だなと。
検索してみたところ、スリランカは銃の所持が違法ではない という10数年前のブログ記事があった。今現在の法律はどうなっているかは分からないが、たとえその後に規制されたとしても、隠し持っている連中は山ほどいるのだろうと。銃を持っている市民相手に治安維持をするのは、非常に難しいことだなと。
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