続きました。
◆2日目【活動時間/5:10、行動時間/3:25】
5:00/起床⇒5:40/朝食⇒7:50/涸沢小屋(標高2350m)チェックアウト⇒
涸沢ヒュッテ幕営場(標高2309m)へ移動＆集合(ここで不要な荷物を梅
さんのテントにデポ・今後の予定確認等)⇒8:25/ピークアタック開始、
北穂沢ルートへ⇒10:00/ゴルジュ(南陵取付き近辺の標高)で10:25まで
小休止⇒11:35/インゼル上部で12:10まで中休憩⇒12:45/松涛のコル⇒
12:50/北穂高岳(標高3106m)登頂(ここで写真撮影のため13:00まで滞在)
⇒北穂高小屋(標高3100m)でお昼休憩の後、チェックイン
◆写真はYAMAPへ↓
残雪の北穂高岳
https://yamap.com/activities/17100182
【涸沢小屋】
アイゼンを外して小屋に転がり込む。受付を済ますと案内された部屋は久々の2階部屋でした。ここ最近は毎回、石の階段を降りる地下(石垣の中なので地下っぽいけどホントは違うYO！)の部屋でしたからね。2階の相部屋は穂高岳山荘と同様、一人一人パーテーションで区切られておりました。いやー、料金は高いけどホントこれは快適ですよ。寝るスペースも荷物整理の場所も確保されてますからね。
荷物を降ろしたら急ぎ乾燥室へGO！レインパンツは大丈夫ですが、レインジャケットがびちゃびちゃでござるよ。と言うのもこのレインウェア上下、1O年使ってる年季モノでして、生地の表面が摩擦ですり減って何をどうメンテナンスしてももう、全く撥水しないのですわ。当然、新しいレインウェアの上下は買って持ってますがね、雪山の時はあえてこの古いレインウェア上下を使っているのです。元々引退したやつなので、滑落して擦り切れてもピッケルやアイゼンで穴を空けてしまっても構いませんから。ただ、先の通りウインドブレーカーとしては使えても、レインウェアとしての機能はほぼ役立たずです。晴天のみで使う想定なので、今回はホント参りました。
とにかく明日までに濡れて水が染みた生地を乾燥させないと。それとタオルも乾かさないと！いやさ、小屋の入り口にスキー場みたいにブラシを常備しておいて欲しいと思いました。吹雪のせいでザックの外側の色々な部分に雪が詰まってしまい、外付けにしていたヘルメットなんて中、雪がギュウ詰めですのよ。ある程度は外で払うも全部は取り切れない。残った雪は小屋の中の気温で融けて回りを濡らす。それを小まめにタオルで拭き取るので、タオルもびちゃびちゃになってしまったのだ。
時刻は14:50。あれ？あれれ？実は昨年9月の穂高岳縦走の時も全く同じ時間に涸沢小屋に着いたんですよ。今回の方が遥かに大変だったのに、なんで同じ時間に到着なんだ？出発時間が早かったからかな？でも早いといっても40分程度だからなあ。大変と感じたのは単に休憩無しで登ってきたからだろうか？まあいいや。
乾燥室から戻り、簡単に荷物整理をしたら談話室へと降りる。前回と同様、涸沢小屋で飲む予定だったのでお昼ご飯は食べていないんですよ。夕食までは2時間ちょっとしかないので微妙な感じではあるのですが、持参した酒と食糧を予定通り消費しないと、明日のピークアタックの際のザック重量が厳しくなってしまうのです。
それにしても小屋の中が寒い。そりゃあ当然、吹雪の外よりは暖かいけど、コロナ禍のせいで「常時換気」を行っているので足元がスゲー冷えるのだ。持参した衣類を全て着こむ。ダウンジャケットを出して下はレインパンツを履く。それでも寒い。でも寒くてもビールは飲むよ！喉乾いたからね！ハイドレーションはホースが凍ってしまって途中から水分補給出来なかったし。外は更に吹雪が酷くなっており、テラスからヒュッテのテン場を目視出来ないくらいホワイトアウトしている。こりゃあO野夫妻、後で小屋に顔出すって言ってたけど無理だなあ。
エリートベトナム人4人組(全員日本語ペラペラ、豊田通商・クボタ・ブラザーなど、国内の一流企業に勤務)と交流したり、一服するために命懸けで小屋の外に出たり、酒と食糧を予定通り消費する頃にはちょうど夕食の時間に。自分らは2回目のターンでしたが、一度に食堂に入る人数が10人前後と非常に少ないので、食事は相当な回数のローテーションのようだ。
夕食後はもう、談話室に降りる気力も体力もなく、18時過ぎには寝てしまいました。22時半過ぎに目が覚めるも、寒くて布団から出る気が全く起きない。そのまま朝まででウトウトと布団の中で時間を過ごす。全身が痛い。足も痛い。背中や腰が痛いのはホント久々です。やはり19kg背負うのが相当な負担だったんだろうなあ。体重も増えたままだし、総重量を考えたら完全なキャパオーバーだもん。テント組はみんな大丈夫かなあ？凍死とかしてないかな？ zzz・・・。
【5/3(火)ピークアタックじゃ！】
おはようございます。朝です。5時過ぎに布団を出て、まずは外の状況を伺いにテラスへ出てみる。
「うっわ、何コレ〜！え〜！」
真っ白である。真っ白。空は真っ青。雲一つ無い快晴。気温も全然寒くない。涸沢小屋のテラスから見下ろす涸沢ヒュッテの幕営地。モフモフ真っ白な新雪の中にカラフルなテントが見える。正面を見上げると前穂高岳と北尾根。トレースとか一切の跡が付いていない涸沢カールは雪というより片栗粉に見えるんだが。そう、ジオラマに誰かが上から片栗粉を零してしまったかのような・・・。
朝食は事前に2回目のターンと昨日、チェックインの時に伝えられており、予定時刻まではまだ30分近くあるので一旦、布団に戻る。
「HGさん、ONZKさん、今日これからどうしましょうねえ？結局昨日はO野夫妻とも1回顔合わせただけだし・・・。」
「そうですよねえ、梅さん達とも本谷橋で別れて以来、昨日は一度も会話してないです」
「スマホはau以外は怪しいし、昨日のO野さんの事前連絡、テン場キープしてますよ、ってやつ。あれも結局圏外でチェック出来なかったってことでしょ？」
「無線持ってる二人が一緒に居てもダメっすねえ。テン泊組の中にも一人、無線があれば楽なんですが」
3人で布団に入りながらブツクサ相談をしていると、朝食のアナウンスが流れたので階下の食堂に降りる。朝食を摂っていると突然、
「お食事中、失礼いたします！長野県警山岳救助隊です！お食事はそのまま、耳だけ傾けていただけますでしょうか？」
と、赤と黄色のジャケットでお馴染みの救助隊の人が2名、入ってきた。要は登山者への注意喚起をしに来たのであるが、内容をまとめると以下の通り。
・昨日の降雪は新雪20〜30cm。
・現在、快晴だが降りたての雪が落ち着いておらず、表層雪崩の危険性が非常に高い。
・本日、快晴予報で日中の気温はかなり上昇する見込み。表層雪崩の危険性が非常に高い。
・昨日、北穂沢ではインゼル近辺で約200mの表層雪崩が発生し、2名が巻き込まれて20m程流された。
・幸い、巻き込まれた2名の登山者に大きな怪我は無かった。
・本日、奥穂高岳方面または北穂高岳方面に登る登山者は、細心の注意を払って欲しい。
ふむ、概ね自分達の懸念事項と同じですわ。氷の層の上に新雪が積もって気温で緩めばそりゃ、表層雪崩おきますよね。さて、どうしましょう。
「アタックの可否は梅さん判断だし、取り合えず自分とONZKさんは準備だけして一旦、テン場に降りますかね」
「了解です」
見てるか見てないかわからないが、SNSで長野県警山岳救助隊の人からのアナウンス内容と、小屋泊組の3人は準備をして7時半頃にテン場に降りる旨を書き込む。テントにデポする不要な荷物をサブザックに入れたら、涸沢小屋をチェックアウト。テラスでアタックの身支度をしてアイゼンを装着したら、3人でテン場に降りる。一番手前のO野夫妻の隣には弟氏のテントが。昨日あれから、吹雪の中お引越しをしてきたようだ。梅さんも傍にいる。
「梅さーん、今日どうします？」
「どうしますって、行く以外の選択肢無いでしょ、見てよこの天気！予報通り快晴だよ快晴！」
「え、でもさっき県警の人が来て雪崩に細心の注意をって」
「そりゃそうよ、昨日の降雪に今日のこの気温！間違いなく雪崩れるっしょ。でもまあ、大丈夫だよ！」
まずO野夫妻は本日が下山の日。結局涸沢カールに3泊、テント張ったってことだね。今日はこれから上高地まで下山して、2人分だけ予約を残しておいた塩尻の健康ランドでもう一泊して、明日の早朝帰宅するとのこと。HGさんは昨日の宣言通り、本日これから涸沢を下山、横尾山荘泊の予定。で、何と弟氏からもまさかの撤退宣言！
「自分も今日はこれで降りますわ。昨日の吹雪で心が折れた。無理っす！疲労も全然抜けてないし、とてもじゃないけど北穂のピークアタックは無理だわ・・・」
「えぇ〜、マジですか！登らないんですか？」
と、驚くONZKさん。なおこの時、HGさんがアイゼンで弟氏のテントのフライシートを踏んづけて、5ヶ所も穴を開けてしまった模様。
「いやいや、ホント無理です。なのでこれ以上は無理しない。自分は横尾か徳澤でもう一泊、テント張りますよ。ちょうど持参した食料も大量に余ってるんで消費しないといけないし」
確かになあ。昨日は当初は晴れ予報だったんで、先行のO野夫妻と合流したらテラスで宴会しましょう、って話だったんだよねえ。それが想定外のあの吹雪でみんで集まることも出来なかったしねえ。
「じゃあアタックは自分・俺氏さん・ONZKさんの3人ね。自分のテントはちょっと離れているんで、案内するよ。デポする荷物持って、ついてきて！」
涸沢ヒュッテよりの一段下がった斜面に張った梅さんのテントにサブザックをデポして、O野夫妻と弟氏のテントまで戻ってくる。
「やっと全員(OG原さんだけいないけど)揃ったんで、出発前に記念撮影しよう！」
と梅さん。テン場から見上げる穂高の峰々。スゴイ、真っ白だよ。ザイテングラートなんて殆ど雪で埋まってるじゃねえか！先行したO野さんから送られてきた事前の写真だと、北穂沢はかなり雪が融けていて岩が露出、ゴルジュより下は土が出て黒いトレースが出来ていたんですが、それが全く見えないほど新雪が積もっている。残雪期でこんな量の雪を見れるなんて思ってもいませんでした。
「じゃあ、自分らは出発するね！明日は山頂から上高地まで一気に下山するのでかなり時間がかかると思います。適当に連絡を取り合い、横尾から上高地の区間のどこかで合流しましょう！O野さんたちは今回、残念だったけど、またの機会に！」
下山組4人の見送りを受けて8時半前、梅さん・ONZKさん・自分の一列縦隊でピークアタック開始です！
【上を向いて歩くのじゃ！】
今回、快晴とはいえ2019年の時よりは全然気温が低い。どういうことかと言うと雪が固いんです。新雪だけど朝のこの時間はサクサクしていて、アイゼン歩行がとても気持ち良い。前回はスタートの時からもう、雪が腐りまくっていて、三歩進んで二歩下がる状態だったのが、自分の歩幅・自分のペースで雪の階段を上がって行くようでとにかく快適。でも当然、新雪の上はラッセルが必要となります。ので、先行者のトレースを辿りグイグイと標高を上げて行く。途中梅さんから
「苦しくても上見て！可能な限り上見て歩こう！」
と、何度も振り返って声かけをされる。2019年の時にはこんなことは無かった。なぜ？と聞き返す間もなく
「雪崩！落雪！雪まくり！今回はさ、色々な物が上から落ちてくるよ！目で見て避ける必要があるから。下向いて歩いてると死ぬよ！」
とのこと。やっぱり。これは剱岳の時と同じ、「色々なことに同時に注意を払いながら」登らないといけないってことだ。めっちゃ精神力を消費するやつ！ゴルジュの上辺り、前回と同じくらいの場所で最初の大休止に入る。北横岳でデビューした「SnowClaw」を持参したのだが予想通りの大活躍。バケツを掘る作業、雪を押し固めて座面を作る作業、そして座る時の座布団と、素晴らしい働きです。
ここで一旦、無線を入れてみる。HGさんもOGさんも山行中はﾖﾝｻﾝﾏﾙのメインで待機となっているはずだ。HGさんのコールサインを呼ぶと直ぐに返答があった。一番最初に下山を開始して現在本谷橋、後から来た弟氏がちょうど合流したとのこと。するとコール前にOG原さんからも返答が。HGさんへの呼び出し、入感していた模様。OG原さんには今日の動きを手短に伝える。
「了解しました。したら自分はこのまま横尾で待機します！HGさん達と無事合流できたらまた、コールしますわ！」
いやー、無線。やっぱり便利やねえ。昨日みたいに吹雪でチームが分断、スマホもキャリアごとに圏内だったり圏外だったりすると連絡に難アリですが、無線はそういうの関係ないからね。特に今の段階では北穂アタック組と下山組と下でキャンプ組、それぞれに無線が分散しているのでとても安心です。
【耳を澄まして歩くのじゃ！】
さて、休憩を切り上げて行動再開。ここから先、インゼル近辺の通過は斜度50度に達する雪壁で北穂沢ルート最大の難所。すると梅さんから今度は
「上を向いて歩くのは勿論、耳も澄ましてね！特にサラサラ音がしたら要注意だよ、表層雪崩のサインだから。ここからのルートだとインゼルの上からではなく、南陵からの雪崩に注意して！」
「梅さん、雪崩れ来たら実際、どうすれば？」
「基本は雪崩の進行方向に対して扇形に逃げる、かなあ。表層雪崩なら飲まれることは無いと思うけど、巻き込まれたら安全に流されることを考えて！ただ、流れる先に岩場があったらアウトだけどね」
「全層雪崩だったら？」
「うーん、泳ぐ、かな。とにかく泳いで雪の上に出る努力をすること。それでもダメなら口の周りにエアポケット作るしかないねえ」
などなど、梅さんへ雪崩の質疑応答。実際の雪崩も警戒しつつ、インゼルの雪壁に取り付く。この時間になるとだいぶ雪が緩んできていて歩きにくい。トレースを辿ってもステップが直ぐに崩れてズルっとなってしまう。滑った下はカチカチの氷の層が。ピッケルもかなり力を入れてスピッツェを打ち込まないと保持力が足りない。
足元は今回、前回と違って前爪付きの12本爪アイゼンなので、下がカチコチでもフロントポインティングで安定して登って行ける。トレースを辿るが、単にフラットフッティングをするのではなく、トレースの中にキックステップをすることで足の踵側の雪が崩れずに安定して登れることを発見。
斜度的にはやはり、ピッケルが長いかも知れないねえ。縦走用のストレートシャフトのピッケルで北穂は登ったらアカンのかも知れん。前回同様、片腕のケインポジションだと厳しくて、両手でヘッドを持ってステイクポジションで登って行くが、シャフトが長くて打ち込み動作が大振りになってしまい、スゲー大変なんですよ。
仕方無いので途中何ヶ所は前回と同様、ハンマーのようにグリップを握ってピックを打ち込むトラクションポジションで登ることに。でもコレ、ホントはB(ベーシック)カテゴリのピッケルでやったらアカンのですわ、強度の問題でね。やるならT(テクニカル)カテゴリのピッケルじゃないと。特に自分はデブだし荷物重いしピッケルに架かる総重量がさ。
ﾌｰﾑ、あと5cm短いベントシャフトのピッケルが欲しいなあ、ベントならTカテかなあ？それともBカテで少し登攀要素の強いタイプの方が良いのかなあ？など考えながらコツコツと標高を上げて行く(無性に新しいピッケルが欲しくなってしまったんです)。
無事、インゼルの難所を抜けて上部で先に休憩している先行の2人に追いつき、ようやっと2回目の大休止に入る。SnowClawで雪壁に深めのバケツを掘って座り込む。眼下には真っ白な涸沢カール。驚いたのは人の少なさ。後にも先にも全然人が居ないのだ。カールからトレースを辿ってくる人数はほんのわずかである。快晴でもやはり、みんな雪崩を警戒しているんだろうか？そう言えば涸沢小屋でも、朝の県警からのアナウンスの後、予定を中止して撤退するって声が結構あったからなあ。これはもしかして、北穂高岳小屋でもキャンセルが出たりしてるんじゃねえの？
【てめーら！ラッセルするのじゃ！】
二度目の休憩を切り上げ再び行動再開。インゼルから上は斜度39度の雪壁を松涛のコルに向けてラストスパートです！すると梅さんから
「今までねえ、こうしてここまで登ってこれたのはね、先行者がラッセルしてトレースを付けてくれたからなんだよ。ラッセル、スゲー大変なんだよ、わかる？」
「はあ、そりゃ、まあ(梅さんどうした？急に？)」
「ってことで、いい？ここから上まで！左のトレースの隣に新雪のエリアがあるでしょ？ここを3人で3分の1ずつ、ラッセルします！」
「ええーっ！そうなの？」
「一番手は俺！まずはお手本を見せるよ！ラッセルがどれだけ大変か思い知るがいい！」
ちょっと、えー？どうした急に！何なの〜！
「はい、交代！二番手はONZKさんね、ラッセル！ラッセル！」
「梅さーん、雪崩れて全然登れないYO〜！」
「そうだよー、だから大変なんだよ。はい、そろそろ交代、最後は俺氏さん！」
「あひぃ〜！勘弁してｸﾚﾒﾝｽ！」
ってことなんですよ。下山ですれ違ったアンザイレンしている3人パーティー(3人ともロープで身体を結びあってる)に笑われつつ励まされつつして、知らぬ間に松涛のコルへ到着。ホントに知らぬ間なのよ、何故かと言うと前回と全然様子が違うんだもん。前回はもう、見た目がコル、ちゃんと稜線になってましたが、今回はとにかく新雪が積もっていてね。稜線が平じゃないんだよ。インゼルから上、スカイラインを目指して登って行くのは同じですが、コルの積雪量が多くて登り切ったのかどうかが全然わからなかった。
「はいはい、あと一息だよ〜！ここからはONZKさん先頭ね。俺氏さんは既に1回登頂しているから二番手以降ね！」
松涛のコルから山頂(北峰)までは岩と雪のミックスルート。一見雪のある部分もピッケルを刺すと直ぐ岩に当たり、力が強いとスピッツェの先が欠けてしまいそうで怖い。そうっとシャフトを差し込むようにしてバランスを取りながら登って行く。足元のアイゼンは元々雪岩ミックスのルート用なので、頗る歩きやすい。
「やった〜！登頂〜！ONZKさん、おめでとう！三度目の正直だねえ！」
「俺氏さん、梅さん、ありがとうございます！ホント、自分がこんな場所に居てもいいのか、って思ってしまいます！」
感激の登頂、まずは写真撮影タイムです。360度、青と白しかない世界。航空写真のような景観。3年ぶりに来たけど、それは変わらず。違いは雪の量。もうね、圧倒的に今回の方が多い。前回は残雪期らしく、雪景色とは言っても露出した岩とのツートンカラーだったのが、今回はもう、ホントに真っ白です。特に槍ヶ岳への稜線から飛騨側の山々。何一つ痕のついていない雪景色は、やはり片栗粉にしか見えない。山岳ジオラマに誰かが上から片栗粉を零したんだ・・・。
常念山脈はこの時期は雪が殆ど無いことでも有名ですが、今回は真っ白。前回は冠雪していたのなんて常念岳だけだったんです。流石に蝶ヶ岳の稜線は雪は少ないけど、今年は常念岳から横通岳・東大天井岳・大天井岳・燕岳と、稜線全てが真っ白でした。滝谷側も奥穂高岳への稜線も真っ白。まさか残雪期の登山でこんな厳冬期のような景色を拝むことができるとは・・・！「一回登ったからもういいや！」なんて思わなくて良かった！また来てホントに良かった！と心から思いました。
雪の切通しを降りて北穂高小屋へ移動、梅さんの元職場に到着です。時刻は13時少し前、ランチ提供時間にギリギリ間に合いました。自分とONZKさんは昨年9月の穂高岳縦走で北穂小屋へ立ち寄った際にカレーを食べたんですが、メニューにパスタがあるのに後から気付き、次回は絶対スパゲッティを食べよう、と話をしていたんですね。で、自分はミートソース、ONZKさんはトマトソースのスパゲッティをそれぞれ注文。梅さんはカレーでした。
今日の活動はここで終了、前回みたいにピストンする必要は無いので、無事登頂を祝って昼間っからビール飲んじゃうYO！いやー、うめえ！最高に美味しい！五臓六腑に染み渡る〜！景色も最高じゃないか。真っ白に雪化粧した大キレットから続く槍ヶ岳への稜線を眺めながら、雪を切り出したテーブルの上でビールを頂く。気温も暖かく風も殆ど無い。この時間、正にプライスレス！チェックインまではまだ時間があるので、しばらくはテラスでまったりと過ごす。
途中、忘れないうち無事登頂の報告を無線でコールするとHGさんが応答。何とか横尾まで下り、キャンプのOG原さんと合流したとのこと。弟氏はOG原さんと横尾でキャンプ、HGさんは横尾山荘にチェックインとのこと。明日は下山開始前に報告を入れる旨を伝えてこの日の交信は終了。
「さ、そろそろ気温が下がって寒くなるからさ、先にチェックインしちゃいましょう」
と梅さん。ピッケルとアイゼン、SnowClawは小屋の軒下に突き刺したままにして北穂高小屋へチェックインです。北穂小屋に来るのはこれで4回目ですが、お昼休憩で寄るだけばかりでして、実は宿泊するのは今回が初めてなのです。
その��に続く・・・。
■写真解説
�±疎凜劵絅奪討離謄鵐半譴�ら本日の目的地、北穂高岳を見上げる。写真に書き込んだ赤線が予定のルート、まあ先行者のトレースなんですが。しっかし真っ白やなあ！涸沢小屋の右側辺り、2日前の写真だともう、土が出てて真っ黒だったんですが。
�▲ぅ鵐璽訃緝瑤�ら松涛のコルへ向けてのラストスパート！この空に向かって登って行く感じ、斜度感、伝わりますかね？先行のONZKさんの膝が雪面に当たってますが、これで斜度は39度です。左側の3人パーティーはロープ出してますよね、そういうレベルの場所です。ちなみに北穂沢ルート最大の難所、インゼル近辺は斜度50度の雪壁ですYO！
��常念岳をバックに記念撮影。何だかんだで北穂高岳も今回で4回目の登頂です。ちなみに残雪期の登頂は今回が2回目っす。
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