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2022年04月18日09:55

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私大、4分の1が慢性赤字 先端教育投資に足かせ

私大、4分の1が慢性赤字 先端教育投資に足かせ
日経集計 定員割れも4割、再編急務

2022年4月18日 2:00 [有料会員限定]



私立大学の経営改革が行き詰まっている。全国600校以上ある私大の運営法人の4分の1が慢性的な経常赤字に陥っていることが明らかになった。大学が増える中で少子化が急進し、赤字校の7割は学生を計画通りに獲得できていない。デジタル化など時代の変化に対応する教育の実現には大学の安定した財務と適切な投資が欠かせず、再編も視野に入れた対策が急務となる。

日本経済新聞は全国572学校法人(616校)の決算情報をホームページから集計した。2018〜20年度の経常収支が3年連続赤字だったのは139法人で、15法人は負債が運用資産を超過していた。学生の定員充足率(総合・経済面きょうのことば)が低迷し、収入が落ち込むケースが目立つ。

私大の財務情報は20年度からインターネット上での公開が義務付けられた。以前は学校関係者らが求めれば閲覧できる仕組みで、外部からのチェックが効きにくかった。

千葉県内の学生3000人規模の私大を運営する学校法人の場合、20年度の収入約100億円に対し、支出は約120億円。定員充足率は7割だが抜本的な改革に距離を置く。同法人の理事長は「赤字であっても、教員を減らしすぎて学問の本質を見失った大学よりいい」と主張する。

理想の教育の追求は大学の務めだ。地域の資産という側面もあり、基金や準備金を備える学校法人は本来破綻しにくい。それでも、10年以降に20校以上が廃止届を出した。私大運営には年3000億円規模の公費も投入されている。

私大は新設規制が緩和された1990年代以降、約240校増加した。進学率の上昇で学生数も増えたが、18歳人口は最近20年で40万人近く減少。日本私立学校振興・共済事業団によると2021年度の入学者は46%の私大で定員割れした。

少子化で収入が先細る一方、資金需要は高まっている。デジタル化やグローバル化の浸透により「社会に求められる人材の育成には新たな投資が欠かせない」(私学創研の渡辺孝代表取締役)ためで、財務の脆弱性の解消は喫緊の課題となる。

改善のカギは学部再編など身を切る努力だ。文部科学省も経営の専門家の派遣など指導強化に乗り出した。就実学園(岡山市)の西井泰彦理事長は「他大学との授業の共有などはすぐにできる」と話す。青森県では柴田学園大学や弘前大学が消耗品を共同調達している。

大学側からは「国の規制が改革の幅を狭めている」(二松学舎=東京都千代田区=水戸英則理事長)と不満も漏れる。現行の大学設置基準では学生1人あたりの校地を10平方メートルとし、図書館や運動場の併設を求めている。

海外ではキャンパスを持たない大学も生まれている。米ミネルバ大学は「全授業をオンラインで実施して支出を抑えている」(大学関係者)。授業料は米トップ校の半額以下で、入学者の100倍近い受験者を集める。

日本の18歳人口は今後も10年ごとに10万人以上のペースで減少する見通し。収支バランスの健全化は各大学の対応だけでは追いつかない公算が大きい。官学が連携して高等教育の枠組みを再構築していく必要がある。

(北本匠)
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