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2022年04月18日00:12

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鉄道運賃変えやすく 国交省検討、時間帯で柔軟に ピーク緩和で投資負担抑制

鉄道運賃変えやすく 国交省検討、時間帯で柔軟に
ピーク緩和で投資負担抑制

新型コロナ
2022年4月18日 0:00 [有料会員限定]


航空などと比べて硬直的だった鉄道運賃の仕組みが見直しに向けて動き出す。国土交通省が検討に着手しており、実現すれば混雑する時間を高くし、早朝は下げるといった柔軟な値決めがしやすくなる。コストの増加を理由にした値上げが容易になる可能性もある。利用者の納得できる仕組みづくりが焦点となる。



国交省は6月下旬にも審議会で新制度の方向性をまとめる。鉄道運賃制度について定める鉄道事業法の改正も検討し、早ければ2023年度に現行制度を変更する。

運賃改定の手続きを簡素にし、審査を早めたり届け出制にしたりする案がある。今の運賃は各社が国の認めた上限の範囲内でしか設定できない「上限認可制度」と呼ばれる仕組みだ。例えばJR東日本の山手線は11〜15キロメートルまでの上限が消費税など含めて200円に設定されている。

上限を超える値上げには煩雑な手続きが必要で、実現まで1〜2年かかる。今年は東急電鉄と近畿日本鉄道が料金改定を申請したと発表しているが、実施はともに23年春を見込んでいる。

JR本州3社は旧国鉄の分割・民営化によって発足した1987年以降、実質的な運賃改定をしていない。改定は消費税の導入や税率引き上げ時に限られてきた。

曜日や時間帯で運賃を変える変動運賃制のルールも整える。鉄道事業に必要な費用の合計に適正な利潤を加える「総括原価方式」を維持しつつ、事業者の総収入を変えない範囲で自由に動かせる仕組みを想定する。

見直しの背景には鉄道利用を巡る変化がある。一つは新型コロナウイルスの感染拡大下で、混雑緩和を求める声が強まったことだ。混雑時は高く、すいた時間は安くし、通勤客らを分散できれば「密」になって感染が広がるリスクを減らせる。

午前は在宅、午後はオフィスで勤務といった柔軟な働き方も広がり、すいていた時間に乗客を誘導しやすくなった。



コロナ下で鉄道経営の厳しさも増した。国交省によると、1カ月あたりの乗客数は20年1月に21億人だったが、一時ほぼ半減した。在宅勤務などテレワークが広がり、22年1月でも16億人弱までしか戻っていない。JR本州3社は21年3月期にそれぞれ過去最大の最終赤字を計上し、赤字額は合計1兆円を超えた。

柔軟な値決めでラッシュ時の乗客を分散できれば、ピークに合わせた人員の配置や車両などの設備投資によるコスト負担を抑えることができる。

鉄道会社の間ではポイントサービスで分散を図る動きもある。JR東日本は定期券の利用者に対し、平日朝の混雑ピーク時間帯を避ければ、駅ビルでの買い物などに使えるポイントを与えるサービスを導入している。

需要に応じた自由な値決めは航空運賃で進み、長距離バスにも広がってきた。国交省は鉄道でも自由度を高め、ピークからの分散を後押しする。

英国やドイツの鉄道運賃は日本に比べて柔軟な制度となっている。英国では政府が物価上昇率を踏まえて改定率を設定するが、ほぼ毎年改定している。英国では時間帯で変動する仕組みがあり、ドイツでは都市間鉄道の運賃が個別の列車の需給に応じて上下する。米国の長距離鉄道は、全米鉄道旅客公社(アムトラック)が自由に決める。

日本の現行の上限認可制度は、生活インフラとして定着している鉄道で、過度な値上げを抑える目的で続いてきた。審議会では消費者団体が「透明性の高い制度」として現行制度維持を求めた。会合の座長を務める山内弘隆・一橋大名誉教授は、制度変更について「社会的な理解を得ることも必要だ」と強調する。

地域の交通を独占する事業者が不当な値上げをしないように、利用者保護にも目配りした制度設計が必要になる。


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