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2022年02月17日10:25

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疫学的な評価と一般的認識の違い

■コロナ第6波「ピーク越えた」=3回目接種、オミクロンに効果―厚労省助言組織
(時事通信社 - 02月16日 22:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6853775

一応,専門科目で疫学を学び,仕事でも疫学関係に関わったことがあるので,疫学的なアプローチから,流行を見ています。

今回,特に感じるのは,疫学屋の数理疫学やフィールド疫学のデータからの判断と,一般的な認識のズレ。
今回の流行の波については,疫学的には,1月の早い時期に予測されていたことと
,だいたい一致しています。オミクロン株の特性についてのデータと,過去の流行の波のデータの蓄積もあるので,かなり正確だったと思います。日々,あれこれ言う,メディアのコメントや一般からのネット上のコメントは,目先のことしか見ていないので,過去も先も読めていなかったり,場当たり的,感情的な話が多く,流行監視上は,あまり役に立つものがない,と言うのが現実でした。

流行の状態を掴む指標として,実効再生産数があることは,一般にも知られるようになってきましたが,実効再生産数は1月第2週ぐらいには下がり始めていて,その3〜5週後ぐらいには実効再生産数が1を割る,つまり,新規陽性数の実数がピークを越えるので,先週あたりに東京,神奈川ではピークを越えています。但し,大都市部のほうが流行の波がやや早いとか,病原体の感染力,人々の対応状況,さらに新しい変異株の出現など,さまざまな要因によって,収束のシナリオは動きます。現状では,今週〜再来週ぐらいに,大都市部以外の多くの地域でピークアウトし,しかし,第5波のように,一気に落ち着くのではなく,だらだら下がるような形になる可能性が,かなり大きいと見られます。
また,今回の流行は,新規陽性数がこれまでの波よりも遥かに大きかったことで検査のキャパシティを越えてしまっていたり,不顕性感染の多いウイルス株で,検査未受診の感染者が大幅に増えたことでの捕捉率の低下などで,もう一つの指標としている「検査陽性率」がとんでもないことになっています。東京では80%を超えています(みなし陽性も含めている,と言う理由もあります)。2020年時点では,検査陽性率が3%ぐらいでも警戒していたのだから,これはかなりの異常値です。大雑把な推算ですが,都道府県の公開している隔離療養中(入院,宿泊施設自宅療養の合計)の人数の,数倍〜10倍程度の人数が,ウイルスを持って市中を自由に動き回っていると推測されますので,東京都では,最大値で,街で自由に動いている人の約1割が,ウイルスを持っている可能性がある,と言う状態です。つまり,いつ,どこでウイルスに接触してもおかしくない。下手すると,既に自分は感染していて,はっきりした症状が出ないまま,ウイルスを撒いて歩いている可能性すらある。
ですから,今後の流行の収束に向けては,個人個人の感染対策(ウイルスを撒かない,受け取らないための衛生対策)を当面,継続してゆくことが重要,と言うことになります。「ピークアウトしたからもう大丈夫」と言うことではなく,ここで安心して気を抜くと,収束まで時間が掛かりますよ,と言うこと。

とは言え,多くの人がコロナ対策に辟易している状況で,しかも,この感染症の変化に対応できていない,正しく理解しきれていない人が多い現状。今後の収束にどれだけ手間がかかるか,メディアはまともに情報を伝えることが出来るのか,巷の流言やバズワードによる影響がどうなるのか,十分に気をつけて見てゆきたいと思います。

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