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2022年02月04日20:10

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ベガ立ち格ゲークロニクル

ベガ立ちとは!
主にゲームセンターで見かけられる、スト2のベガの如く腕を組んでゲームプレイを周囲から観戦するギャラリーの立ち姿を表す言葉である。
眺めてるばかりでなかなかクレジットを投入しないため、店からすればあまり良い顔をされないことが多い(賑やかし要員としてカウントしてもらえていればその限りではない)。



たまにある『頭の中で文章を弄り倒しているうちにそれをアウトプットしたくなるタイミング』というのが不意に訪れたもので、いついかなるタイミングで終わるかも分かりませんが、ベガ立ち勢として見つめ続けてきた自分の中の「格ゲー」について、整理して文面化してみようと思います。





第一章『格闘創世』編

『初めに、神はスト2を創造した。そして、人類は俺より強い奴を探し始めた。』



スト2こと「ストリートファイター2」はアーケードゲームとしてリリースされた、初の本格的対戦格闘ゲームです。
…と言っても、スト2より前にもその原型となるゲームはいくつか存在します。
「イーアル・カンフー」や「アーバンファイト」、「カラテカ」、そして何より「スト1」。
それらは格闘アクションとしての雛形ではあるものの、『対戦格闘ゲーム』というジャンルで考えると、やはり始祖はスト2であると言わざるを得ません(その理由は後述します)。
それはスポーツで言えば野球、サッカー、バスケ、バレーボール級のメジャー球技が生まれたことにも匹敵するようなゲームジャンルにおける大革命でした。
そしてその影響は今もって絶えることなく続いています。
危機はありましたがその都度息を吹き返してきました。
ゲームという文化がある限り、先述の球技が世から忘れ去られることがないように、格ゲーもまた遺り続けることでしょう。

ここで少し歴史を振り返ります。
スト2が稼働したのが1991年2月。
当時まだ小学生だった自分はその存在を「ベーシックマガジン」というPCの雑誌で知りました。
兄が購読者だったのですがこの雑誌、PC情報誌の皮を被った全方位型ゲーム雑誌のようなもので、PCゲーム(エロゲー除く)、コンシューマ、そしてアーケードまで、あらゆるゲーム関連情報をカバーしていました。
新作タイトル発売カレンダーはもちろん、ゲームサントラ情報やアーケードのハイスコア、果ては基盤の相場価格の一覧まで載っていたりと、とにかく情報量が半端ではないのです。
そんなものを兄と一緒に相当な歳月を通して読んでいたのだから、人生も狂うはずです。

ある時、このベーマガで超絶プッシュされていたのがスト2でした。
ヒットしたから特集されたのか、リリースのタイミングで特集されたのかは忘れましたが、誌面から並々ならぬ熱意を感じることが出来ました。
そして特集はしばらく続いていた…と思います。

ちなみに当時の自分にはゲーセンに通う習慣なぞこれっぽっちもありません。
そもそもゲーセン…いわゆるショッピングセンターのゲームコーナーではなく正真正銘のゲーセンというのは、少なくとも当時の感覚としては『ゲームが楽しめるプレイスポット』ではなく、さしずめスターウォーズ・エピソード4に登場したカンティーナの酒場のように「その一帯の荒くれ者どもが集う魔境」だったのです。
到底子どもの近づく場所ではありませんでした。

それでも子どもたちは前述のゲームコーナー等でアーケードゲームを目の当たりにし、ファミコンとは格の違うグラフィックに魅了されていました。
そしてそんなゲームコーナーや本屋、駄菓子屋などの軒先に筐体が置かれる形で、スト2やそれに続く格闘ゲーム群はゲーセンの外へと侵攻していくのでした。


さて、冒頭でスト2が対戦格闘ゲームの始祖であり、今なお影響を与え続けていると書きました。
それを証明するのは存外難しくありません。
現存する格闘ゲームのフォーマットがすべからくスト2を下敷きにしているのが明確だからです。

具体的に例を挙げると…


・バリエーション豊かなキャラクターの中から好きなキャラを選び、先に相手の体力をゼロにした方が勝ち…という基本ルール
・8方向へのレバー等による移動と、複数ボタンによる攻撃という基本操作
・上段、下段の切り替え式ガード方法
・ガードを無効化するが間合いの狭い投げ
・コマンド入力やボタン同時押し等による必殺技の存在
・画面上部に配置された体力ゲージと、その中心に置かれたタイムカウント…という画面レイアウト
・1人プレイ中にも乱入して対戦に持ち込むことができる


これらの要素が以降の対戦格闘ゲームでは法定化されたかのように取り入れられています。
スト2以前のものはあくまで1人プレイがメインであったため、ここまで整理されてもいなければキャラクターのバリエーションもありませんでした。
後発品の中には上記条件を逸脱したものも存在していましたが、多くは淘汰され、現存するシリーズには必ずスト2が骨格として埋め込まれていると言っても過言ではありません。
唯一例外として考えられるのはスマブラくらいではないでしょうか。
格ゲーとはちょっと違う気もしますが、非常に近い立ち位置ながら独自のシステムを確立した、唯一無二の存在だと思います。


スト2=格ゲーの持ち込んだ競技性の中で絶妙だなと思うのが『二種類のガード方法』と『多様な属性を持った攻撃方法』、この二つが組み合わさることで『スキルと知識と経験値がモノを言うジャンケン』を成立させたところです。
この辺りはいわゆるフレーム周り(1/60秒単位の攻防)に突っ込む話になり、少々面倒なので今回は割愛しますが、そういった緻密な戦略性というのが始めから仕組まれていたというのは驚くべきことだと思います。


ここで競技性は一旦置いておいて、次はある種一番分かりやすいキャッチーな要素「キャラクター」について解説してみます。


『スト2のキャラクターは誇大広告的国旗表現だ』

こんな内容の文言を見かけた時、言い得て妙だな、と感心したのを覚えています。

スト2のサブタイトル、The world warriorが表す通りスト2のキャラはワールドワイドな面子が揃っていて、多国籍感を強調しまくったデザインが施されています。

ただ、その強調の仕方がどうかしていて、強烈なところでは例えばブランカ。
ブラジル出身の彼は幼い頃に飛行機事故に遭い、アマゾンの奥地で野生児として生きてきたというバックグラウンドを持っています。
恐らく出身ベースで発想し、「ブラジル→アマゾン→野生児」というイメージの飛躍を経た結果生み出されたキャラなのだと思いますが、野生児だからといって別に体は緑色にならないし、髪がオレンジにもならないし、電気ウナギと戦った経験があろうが発電能力は普通得ません。
この野生児観は完全にビヨンドに到達していて、その証拠にスト2より後にも野生児キャラは色々出てきていますが(マッスルボマーのゴメス、ブレイカーズのライラ等)ブランカより全然大人しそうに見えます。
アマゾンの化身というよりむしろ魔界村の住人に見えるデザイン、この極端さがスト2のキャラ作りの特徴だと言えます。



原初にして頂点に立ってしまった例で言うと相撲キャラのオリジン・エドモンド本田も同じ枠組みに入ります。

ここでちょっと比較対象を見てみましょう。

https://www.virtuafighter.jp/vfes/ps4/character/detail/chara18.html

https://www.tekken-official.jp/tk5ps2/characters/ganryu.html

http://sf2.gamedb.info/wiki/?%CB%DC%C5%C4


上がバーチャファイターの鷹嵐、真ん中が鉄拳の巌竜、そして下がスト2のエドモンド本田。

どのキャラも相撲取りであることは誰が見ても明らかでしょう。
しかし、初見の人がチラリと見たとして、鷹嵐と巌竜の区別がつかなくても仕方がないのではないでしょうか。
何故なら、相撲取りを表す記号をどちらも持ち合わせているものの、それ以外がほとんどないからです。
巨体・大銀杏・ふんどし、の3つです。

一方の本田、そもそもその名前何だよ、四股名じゃないだろ、というところから始めなければなりません。
そして、三大要素のうちの一つ、ふんどしは素の状態では拝む(?)ことができません。
さらに顔には歌舞伎役者の如く隈取が施されています。
間違いなくこんな相撲取りはいないのですが、相撲取り以外の何者でもないし、恐らく鷹嵐・巌竜の区別がつかない人でも本田は一発で覚えられるんじゃないでしょうか。


他にも、世界中の結構な割合の人々に誤ったヨガ感を植え付けたダルシムはもちろん、改造チャイナドレス・白の編み上げロングブーツ・物騒なトゲトゲ腕輪という、後にも先にも見たことのない組み合わせで中国拳法の使い手を表現した春麗など、キャラデザインの魅力は語りきれません。

絶対的なインパクトと分かりやすさ、これもスト2のキャラデザインの偉大なところなんじゃないかと思います。

以前別の日記にも書きましたが格ゲーの第一義的な楽しみって必ずしも競技性にあるわけではなくて、要は色んなキャラを自由に動かすことの楽しさにあると思っています。
少なくとも、筐体を遠巻きに眺めているだけでワクワクが止まらなかった自分にはそう思えるのです。

格ゲーという地平がまだ開かれていなかった時代に、見た目一発で惹きつけ、そして「格闘してるゲーム」であることを瞬間的に理解させるルックス、一言で言えばキャッチーな魅力に溢れていたことが第一のポイント。
そして前述した競技性が第二のポイント。
これら二つが両立していたからこそスト2は超絶大ヒットを果たし、急激にシーンを形成させ、後世に続く一大ジャンルとなったのではないか…というのがスト2のなし得た『格闘創世』なのではないかと、ひとまずは結論付けたいと思います。

今回はここまで。

(次回に続く…かも)
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