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2022年01月14日15:32

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おうちで阪妻まつり

『忠臣蔵 地の巻・天の巻』
監督:マキノ正博 製作:1938年

浅野内匠頭 / 立花左近:片岡千恵蔵
脇坂淡路守 / 清水一角:嵐寛寿郎
大石内蔵助:阪東妻三郎
吉良上野介:山本嘉一

吉良が、寄進物がしょぼいやん、どゆこと?ってとこから始まるので、
なんで嫌がらせをするのかわかりやすい設定。
嫌がらせは、畳と、内匠頭が烏帽子姿の方々の中を裃で逆流するシーン。さらっと。
あと、切腹に行く時の桜舞う庭で、片岡源五右衛門と内匠頭は言葉交わしてる。

内蔵助と立花左近のシーンもたっぷり。
白紙の身分証明書を見た左近が、自分が名を騙っており、実は大石内蔵助だと言う。
涙や、握手など、わかりやすい展開。

討ち入りで、「萱野三平」と書かれた長い布がたなびく槍で敵を打つとこがあって、
なんでそんなにわかりやすく名前が書いた槍が大きく映るのかな、と思ったのですが、
萱野三平は討ち入り前に自害されていたのですね。なるほど。
あと、屋敷内に討ち入って敵を倒している最中の堀部親子の会話、
安兵衛が父を気遣うセリフに、弥兵衛が「楽しみの邪魔をするな」みたいに言って安兵衛が笑う。この日のために生きてきた弥兵衛がいい。何気に軽妙。

監督が撮りたいシーンだけを、じっくり撮った感じ。
それにしても、志村喬っていつでも地味ーに目立つな。


『狐の呉れた赤ん坊』
監督:丸根賛太郎 製作:1945年

喧嘩好きで、虎の刺青を入れた、人足という仕事に誇りを持ってる寅さんが阪妻。
狐が出たという街道にいって、赤ん坊を拾う。
最初狐が化けてると思って持ち帰るけど、それが本当の赤ん坊で、さて弱った。
人足仲間とあやしたりするが、好きな酒も博打もできなくなり、また捨てようとする。
けど、捨てると泣き出し捨てきれず、人の良さと意地と質屋の隠居の悟りなどで、結局育て上げる。
で、それが、大名の妾の子で、殿になる血筋の子だった、という話。

拾われた子供は、沢村マサヒコ、のちの、津川雅彦。

寝不足の寅さんが川渡り中ずっこけて客が濡れる。でも子を拾って育ててる話を聞いて笑って済ませる客。いいよな、いい時代。
その客が毎年寅さんに会いにきて、子供の善太に相撲人形をくれる。相撲人形・・・流行ったのかな。

なんつっても、落語に出てくる大工みたいな、仲間と毎日仕事して(神輿のように人を担いで大井川を渡る人足)酒飲んで暮らしてる風情の阪妻の様子、表情がめっちゃいい。
意地っ張りだけど、素直で、やさしい顔して笑う。
最後、子供を肩車し大井川を渡るシーンも、カラッとしていて気持ちいい。


『怪傑紫頭巾 總輯版』
監督:マキノ正博 製作:1949年

『佐平次捕物控・紫頭巾』と『佐平次捕物控・紫頭巾 解決篇』を再編集して1本にまとめた總輯版(総集版)

役人の横領を隠すための冤罪で佐渡の洞窟に監禁されているおじいさん。日本海の波が打ち寄せる洞窟の冷えた映像。
無実の罪を晴らそうとする娘。そこに肩入れする紫頭巾(阪妻)。状況を知り、お上に楯突くことになることを覚悟の上で紫頭巾を助ける目明し佐平次(大河内傳次郎)。
紫頭巾は、能役者として世間にいるのですが、能役者の時の阪妻の声が、いつもと全く違う。雅。すてき。
しかし、加東大介も、いっつも、地味に目立つよね。桂宮治さんを思い出す。


『勝海舟より あばれ獅子』
監督:大曾根辰夫 製作:1953年

のちに、勝海舟になる勝麟太郎の青年期の話。
町内の世話役で人望があるけど貧乏な男、勝小吉を阪妻、その妻おのぶを山田五十鈴。

喧嘩っ早くて人情に厚い江戸っ子まんまの小吉と、引くとこは引くけど、最後にばしっと言う妻おのぶ。まー、いいご夫婦。
で、剣術はもひとつだけど頭のいい子供、麟太郎。

麟太郎が近所に住む大店の娘、深川の芸者に惚れる。
「芸者なんかだめだー!」と大店に乗り込んでゆき、その娘と対峙したら、すっかり惚れて帰ってくる様とか、ほんと、かわいらしい。「おきゃん」という言葉はこの頃から使うのですね。
あと、夫婦で向かい合って、アイロン(火鉢のようなとこに先が平たい鉄になった棒を突っ込んで、それが熱くなったのを確認して着物をのす)をかけつつの談笑が最高によい。

立ち回りもあるけど、違う人に吹き替えられている(立ち回り以外でも)。体調がだいぶ悪かったのかな。

というわけで、阪妻の遺作。
阪妻と、山田五十鈴の表情、それだけでしあわせになる映画。

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