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2022年01月11日18:17

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くにざかい こっきょう 『雪国』絡みの例の話

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【27】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1980862166&owner_id=5019671
 下記の仲間でもある。
【ネットで見かけるデタラメ記事】
https://ameblo.jp/kuroracco/theme-10094266508.html

mixi日記2022年01月11日から

 テーマサイトは下記。
【川端康成『雪国』の冒頭は「こっきょう」か、「くにざかい」か】
https://www.mag2.com/p/news/214526

 知り合いがネットニュースに対して、かなりの毒を吐いていた。
 当方は「毒を吐くのはあまり得意でないが、がんばってトレースしてみる。

 この「MAG2」ってサイトは記憶にない。日本語関連のサイトではなく、雑学系のサイトらしい。
 だったらさぁ、妙なことは書かないほうがいいよ。

『雪国』の冒頭の「国境」の読み方にかんしては、昔から問題になっていた。
 結論から書こう。作者が明言してないなら、不明です。当たり前でしょうが。
 ところが、こういう態度では困ることがある。たとえば、古い時代の書籍を復刻するとき。旧字なんかがバンバン出てくると、ルビのひとつもふたつもたくさんもつけたくなる。まぎらわしいのは、作者に確認できないならあきらめてね。
 あと世の中には子どもの総ルビの本なんて因果なものもある。たしか某社では、子ども向けの書籍は総ルビだけど「日本」はルビなし、と聞いたことがある。たいていの場合、「ニホン」とも「ニッポン」とも読めるから。「私」なんてどうするんだろうね。古くからあるワタクシ」に加えて、近年は「ワタシ」もアリのはず。どうするんでしょ。

 たしか『雪国』の場合は、作者が言葉を濁していたはず。高島俊男先生が書いていたと思う。あの先生は、無能な編集者がやると間違いのもとだからルビなんかつけるな、と過激なことを書いていたはず。基本的に賛成。
 問題の「MAG2」には新説が提示されている。
〈興味深いのは、出典は忘れましたが、川端康成の弟さんが、「あの美意識の高い兄が、冒頭の一語に濁音を入れるわけがない」というのを書いてらしたのを見たことがあり、おおっと思いました。〉
 そうなんだ。どうでもいいけど、この一文の「興味深いのは」は、どこにつながるの。
 だったら作品名に濁音を入れるのもダメなのでは? 美意識低いのでは? 筆者名はどうするのよ。かわはたやすなりの『ゆきくに』ですか?
「わかはいはねこてある」「ほつちやん」のほうが美意識高いの? 漱石に謝れ。
 川端康成の弟ですか。「出典は忘れました」だからなぁ。
 で、Wikipediaをのぞいてみる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E7%AB%AF%E5%BA%B7%E6%88%90
 弟はいないんじゃない? 「弟子」の間違い? それなら「あの美意識の高い兄」はどうしてくれよう。
 どうしても濁点がイヤなら「くにさかい」でもいいじゃん。

 これはまだ罪が軽いのかなぁ。
 そのあとの記述も相当ヒドい。たしかに訓読みでも音読みでも意味がかわらない言葉は多い。そんなのはどっちでもいいよ。
 でも意味がかわる言葉も多い。たとえば「色紙」。「いろがみ」と「しきし」はちょっと違う。
「最中」は「さいちゅう」「さなか」はほぼ同じだけど、「もなか」は異質。
 詳しくは下記をご参照ください。
【複数の読みがある熟語 教えて!goo〈2〉】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12432062253.html

〈人気のないテーマパーク〉は「にんき」でも「ひとけ」でも結果的には同じようなもの?
 それは〈ちょっとした違いでいきなり雰囲気が変わることもあります〉では済まないのでは。意味が違う別の言葉なんだから。
 ちなみにこういうネタでよく出てくる「人気」は、「にんき・ひとけ」のほかに「じんき」もある。意味としては「にんき」に近い。詳しくは↑を見てね。
===========引用開始
出典:デジタル大辞泉(小学館)

じん‐き【人気】 の解説
1 その地域の人々の気風。にんき。「―が荒い」
2 人々の受け取りよう。気受け。評判。にんき。
「講釈風のレクチュアが妙に書生の―を集めた」〈魯庵・社会百面相〉
3 群集した人々の熱気。また、人々の気配。
「―ハナハダ熱シ」〈日葡〉 
===========引用終了

 ほかには、下記あたりもご参照ください。

【『雪国』の冒頭「国境の長いトンネルを・・」の国境の読み方を知りたい】(レファレンス協同データベース)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000001304
【「無理題」に遊ぶ 学者は何故主張するのかー『雪国』の冒頭「国境」の読み】
https://ameblo.jp/muridai80/entry-10395931063.html
【国境の長いトンネル】(ことばをめぐる/飯間浩明)
http://www.asahi-net.or.jp/~qm4h-iim/k020322.htm

https://www.mag2.com/p/news/214526
【川端康成『雪国』の冒頭は「こっきょう」か、「くにざかい」か】
===========引用開始
川端康成の有名な小説『雪国』の冒頭には「国境」という言葉が出てきます。この漢字には読みが2種類ありますが、『雪国』に関してはどちらが正解なのか、いまだにわかっていないといいます。このような読みが2つある熟語は意外と多く、それぞれがまったく違うイメージになるものも。無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では、そんな日本語の奥深さを紹介しています。


読み方が二通りある熟語
以前のメルマガで、川端康成の『雪国』の冒頭について少しだけ触れました。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

という冒頭の一文。「こっきょう」と読むのか「くにざかい」と読むのかというのは、実は決着がついていない問題なのです。

「こっきょう」は国と国の境目であって、日本国内で使う場合は「くにざかい」が正しいのではないか、という意見があります。

一方で、この小説の舞台となる場所である「上越国境」は「じょうえつこっきょう」と読むのが普通だ、という意見もあります。

当の川端康成はどう思っていたのか? というのは、「こっきょう」だったらしいというのはありますが、決定打はないようです。

興味深いのは、出典は忘れましたが、川端康成の弟さんが、「あの美意識の高い兄が、冒頭の一語に濁音を入れるわけがない」というのを書いてらしたのを見たことがあり、おおっと思いました。なるほど、そういう見方をすると確かに「こっきょう」のほうが切れがいい感じです。

これは「国境」が「くにざかい」とも「こっきょう」とも読めるのが原因ですね。ちなみに「くにざかい」というのは訓読み、「こっきょう」は音読み。一般に「訓読み」は和語で、日本語本来の言葉を読む時の音です。「音読み」は主に中国から入ってきた言葉を日本語に合うようにして読んだ音です。

このように漢字表記は同じなのに、訓読みなのか音読みなのかで印象がまるで違ってくる言葉は結構あります。

「風車」は「かざぐるま(和語)」と「ふうしゃ(漢語)」で二通り読めますねドン・キホーテが「腕をぐるぐる回す怪物」と見立てて向かっていくのは「ふうしゃ」であって、「かざぐるま」ではないですね。子供が遊ぶのはもちろん「かざぐるま」。

「草原」は「くさはら」と「そうげん」。なんとなく「そうげん」の方が広々とした感じがします。「春風」は「はるかぜ」と「しゅんぷう」とありますが、これは「はるかぜ」と読んだときに、柔らかさを感じます。

文脈で私達はうまく読み分けているのですが、ちょっとした違いでいきなり雰囲気が変わることもあります。



「閉園後の人気のないテーマパーク」というのは、たぶん「ひとけのないテーマパーク」と読む方が多いと思いますが、「閉園後」がないと「人気のないテーマパーク」で、「にんきのないテーマパーク」と読んでもおかしくありません。

日本語は、漢字があるので意味がすっと取れる便利な言語ではありますが、時々こうした「同じ熟語で読み方が2つある」というのもあります。言葉の印象がまるで違ってきますので、文章を書く時には誤解が生じないか、ちゃんと伝わるかを考えたいですね。

川端康成はどう思っていたのでしょうか。あえてルビをうたないことで世界を広げようとしたのかもしれませんね。 
===========引用終了
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