投稿日:2007年 9月 7日(金)21時47分33秒
第七話「再会」
承前
帰り道は、まあ適当に歩いていたら着くだろう、と思っていたら迷子になりました。
といっても「岡山駅」方面の案内板は立っているので、特に問題はありません。
些か遠回りはしたでしょうが。
実は、5年前にエヌと歩いた道を再現しようと試みたのですが、どうもいきなり別路線へ紛れ込んでしまったようです。
後で訊いた話では、ほぼ同時刻にエヌもこの近辺をウロウロしていたようなのですが、流石にモグラとエヌの時空間が合致する偶然は発生しなかったようでした。
途中「酒屋 河内屋」とかいう怪しい店を発見しつつ、若干の遠回りを経て、モグラがワシントンホテルプラザに到着したのが15:40。
フロントのお姉さんに「エヌが来たらモグラのルームナンバーを。」と伝えて、モグラはよろよろと部屋に入り込んだのでした。
早速服を脱ぎます。
シャツがべっとり張り付きますが、引き剥がしてとりあえずすっぽんぽんになります。
それから湯船にお湯を溜め始めたのですが、順番間違ってませんよね?
さっさと汗を流し、まだ寝巻きに着替える訳には行かないので、脱いだ服を順次身に着けます。
エヌの到着予定時刻は、17時から18時の間。
それまでは、黙って本を読むしかありません。
モグラは、読みかけの「グイン外伝」に取り掛かったのでした。
室内電話が鳴ったのは、17:40。
エヌ:「お待たせ。今フロント。5分後に下に集合でいい?」
モグラ:「おみやがあるよ。ルームナンバーは?」
エヌ:「じゃ、直ぐ上がるから待ってて。」
エヌの部屋は、同じ階でした。
準備万端整っていたモグラが「鮎のうるか」を持って廊下に出るのと、エヌがエレベーターから降りて来るのとは殆ど同時でした。
エヌ:「や。」
モグラ:「よ。」
エヌは、荷物を部屋に放り込むと直ぐに出て来ました。
エヌ:「じゃ、行こうか。」
こうして、ようやくエヌとモグラの「岡山の夜」は始まったのでした。
続く
ログインしてコメントを確認・投稿する