第十七話「海自基地突入」
承前
タヌキ:「遅いよ。」
モグラ:「何言ってんだよ。計ったようにピッタリじゃないか。」
取り合えず、一番目立つ巨大物体とエールを交換し、左右に居る旧知の顔にご挨拶です。
夏の軍服に身を包み、男前度数8割増し状態のモト提督@ホストに敬礼。
かずやんさんとmumuさんに挨拶し、後ろで二人並んで静かに立っていた佐為老公とKABU導師に会釈します。
その頃には、当駅集合予定の人は集まったようで、しんしんさんは以蔵さんを出迎え、かずやんさんは北野君に手を振っています。
モト提督:「それじゃあ、そろそろ行きましょうか。」
どの人が本日行動を共にする人なのか、よく判らないまま、モグラもぞろぞろと歩く一団に紛れ込んで、海自横須賀基地に向ったでした。
十人以上は確実に居そうでしたが、二、三人ずつ固まって歩く様子を見ると、誰と誰が親しい知り合い同士かは理解出来ました。
しかし、人見知りするモグラは、知らない人とは怖くて話が出来ません。
目立たないように、再ちゃんとかずやんさんの後ろに隠れ、適当に話を聞いていることにしました。
それにしても、人出の多さには驚きました。
モグラは、横須賀基地に来るのは3回目です。
1回目は、完全なアポなしの飛び込みで、他に一般人は居ませんでした。ええ、モト提督の友人を偽装して潜入したのです。
2回目は、体験航海だったのですが、これは、前以って申し込んで当選した人しか乗れないので、異常に多いということはありませんでした。
しかし、今回は・・・、異常に多いような気がします。
入り口では、危険物検査がありました。モグラは、まだチェックインしてないのでカバンは持ったままです。
ファスナーを開いて、係りの隊員さんに中身を見せようとしていると、前を歩いていたKABU導師が覗き込み、一番上にあった「Will9月号」を見つけました。
KABU:「うん、危険物だな。」
確かに、ある種の人々にとっては、その通りかも知れません。
一団の中には、早々と基地までやって来て、「出し物?」を見学した人も居るとみえて、「ヘリが如何の」「ボートが如何の」と言っている声が聞こえます。
モグラも、時々海側に目をやるのですが、何しろ人が多いので、うっかり余所見をしてると他人の足を踏んでしまいそうです。
既に我等が一団は、何処に誰が居るのやら判らない状態になりつつありました。
そんな中を人並みを掻き分けながら、そろりそろりと前進し、「海軍カレー」のテント前に辿り着いた辺りで、提督が集合をかけました。
モト:「それでは、13:00まで自由行動とします。」
誰かから「ちょっと短い。」という声が飛びます。
モト:「では、13:30ということで、あの艦の前に、13:30に集合して下さい。以上、解散。」
中学生を修学旅行に連れて来た引率の先生のようでしたが、生徒達が中学生より大人しいかどうかは疑問です。
ともかくこれで、誰と何処を歩くかを選択しなければならない事態に陥ったことになるのですが、モグラは、こういう時は、一人でフラフラと歩くことに決めているのです。
早速群れから離れ、会場の様子を眺めつつ一同の行動を観察すべく、ポジションを取ったモグラだったのでした。
続く
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