『ドライブ・マイ・カー』 2021年84作目 ☆☆☆☆ フォーラム仙台
https://dmc.bitters.co.jp/
村上春樹先生の同名の短編小説を映画化。
村上春樹先生の作品は読んだ事が無いのですが、読んだ事が無いのに「実に村上春樹らしい」作品でした。
先ずもって上映時間。
179分。2時間59分あります。
3分で分かるとか、3行で纏めろとか、短さを要求される昨今に逆行する長さ。
しかも、じゃあ切りのいい180分で3時間。とはならない。
まるで「ページ数を決めて書くのではなく、書きあがった時のページ数が必要なページ数」と云わんばかりの上映時間。
映画自体もタイトルが出るまでのシーン、アヴァンタイトルが長い。
このアヴァンで娘さんと奥様と車の話が出るのですが、本編で台詞や回想と云った演出で処理してもよさそうなものを映像で見せてくれるので、長かったですがおかげで分かりやすかったです。
話自体は「著名な演出家が地方の演劇祭で役者のオーディションと舞台の演出をやる事になり地方に行ったら、規定で運転が禁止されて運転手が付けられた」と云う話。
これは骨格で、「妻は不倫していた」「不倫相手の若い男がオーディションに居る」が肉付けになって、ドライブを通して社内でのドライバーとのそっけない会話で自分を取り戻していく話。になるのかな?
舞台の演目がチェーホフの『ワーニャ伯父さん』で、作中の台詞が登場人物の心境とシンクロしてくる。
演出家を演じるのが西島秀俊さんで、専属の運転手が三浦透子さん。
西島秀俊さんは相変わらず静かな演技でした。
三浦透子さんは初でしたが、ニコリこともしない不愛想な役で、犬とのシーンがあったのでそこぐらい笑顔を見せればいいのに全く笑顔を見せない徹底ぶりが「村上春樹だなあ」と感じました。
『天気の子』でRADWIMPSと何曲か歌ったそうです。印象的な曲でしたが、女優と兼業だとは知りませんでした。
179分の時間。
チェーホフの戯曲。
笑わない女性。
これだけでも「村上春樹らしい」なのですが、
車がSAAB。
タバコを吸う。
のも「村上春樹らしい」ですね。
村上春樹先生の作品は、音楽、酒、タバコ、車は「銘柄で暗に物語る」そうなので、車の意味やタバコの意味を感じられればもっと深く読み込めるのかもしれません。
とても良い作品でした。
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