第十話「モグラ・エヌ秘密会談Part2」
承前
「鰯の刺身」は頼みました。
「鱧の天麩羅」は美味かったです。
「湯葉の刺身」は漬け汁が古代調味料「炒り酒」風で、あんまり美味いと思いませんでした。あれ何だったんだろう?
エヌは結構食べるので、次から次へと注文します。
モグラは、出てきたそれを適当に摘みます。これで、二人のバランスは取れているのです。
生ビールは直ぐになくなりました。2杯目も気が付くとなくなっていました。
多分、そこら辺から「日本酒」に移行したものと思われます。
この店には、島根のお酒とか山形のお酒とか色々あって、注文すると、まずグラスが枡の中に置かれた状態で目の前に出されます。
一升瓶を抱えたお兄さんかお姉さんが、そのグラスに直接注ぐのですが、無論グラスから溢れた酒が枡から溢れる寸前までは注いで貰えるのです。
1杯900円也。
グラスが小さいので少し高めに感じはしますが、野暮なことは言いっこなしです。
そもそも、目の前に居る男と飲むために片道2万円を使い、1泊増やした上でここに座っているのです。
お金のことなんて、“少ししか”気にならないモグラだったのでした。
会談の内容は機密事項に属するため・・・、というか、そもそも覚えていないため明らかには出来ませんが、8月25日の18時から22時までの間に「クシャミ」が出た関係各位は、エヌとモグラの酒の肴になったと思って下さい。
覚えていないと書きましたが、多分、話はネットネタから歴史ネタ、家族の話もあれば教え子や思い出話もあったと思います。
が、気の置けない友と話す時間は、頭で思うより早く過ぎ去るものです。
速やかに4時間はタイムリープし、モグラが「ニュールンベルグ裁判て、東京裁判と同レベルのでっち上げだべさ?」などと言ってエヌに絡む頃には、既に22時近くになっていたのでした。
奥様に内緒で飲みに出ているエヌは、そろそろ帰らねばなりません。
エヌ:「かずやんさん、リミッター解除らしいから。」
モグラ:「ん〜、タヌキの陰に隠れてよう。」
最後まで訳の解らんことを言いながら、別れた二人だったのでした。
猶、補足ですが、モグラが出した万札を、エヌ先生は五千円札と両替してくれました。
万札では足らんだろうと思っていたのですが、折角なので甘えることに。
勿論、全て忘れたことになってますが・・・。
ホテルに帰り、今回はちゃんと鍵をかけます。(前回はドアに鍵を挿したまま倒れたモグラだったのです。翌朝フロントのおじさんに笑われましたが。)
こうして、旅の初日は無事終了したのでした。
続く
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