第六話「小○急線」
承前
始めてエヌに会いに行った時は失敗しました。
小○急線になぞ乗ったこともなかったモグラは、うっかり「各駅停車」に乗ってしまい、約束の時間に大幅に遅れてしまったのです。
急行と各停にあんなに時間差があるとは知りませんでした。(おまけに、バスの時間は大嘘が・・・、まあいいです。)
とはいえ、モグラが「そこ」に行くのは、もうかれこれ5回目です。各停以外の電車なら大差ないことは学習出来ていました。
地下鉄から新宿西口に回り「急行」と書かれた電車にすべり込みます。
モグラは最後尾の車両に乗り込んだのですが、そこで少し興味深い出来事に出会いました。
お年寄り、と云う程ではないのかも知れませんが、体格の良い男の方が、駅員に支えられるようにして車両に入って来られたのです。
髭を生やして眼鏡をかけて、誰かに似てるなあと思ったらショーン・コネリー(笑)。
いや、勿論日本人なのでしょうが、その方は身体が大層不自由な上に言葉も囁くようにしか発せられないようで、駅員さんは口元に耳を近づけては、その方の意思の確認をとっておられました。
所謂「障害者」と呼ばれる方と思われますが、その横には「お土産」と思しい荷物が袋に一杯あります。
「ああ、こんな方々でも普通に買い物に出かけられる世の中になっているんだなあ。都会は凄いや。」
そう思ったモグラだったのですが、この方が降りるシーンでは、若干複雑な感想を持ってしまいました。
駅に停車すると連絡が行き届いていたと見えて、駅員さんが3人、その人の所へ駆けつけて来られました。
一人は介護用車椅子を持ち込み、一人は荷物を持ち、一人はその方を抱えます。
見事な連携プレイに感心したのですが、首を捻ったをはその男の人の態度でした。
その方は長い杖を持っていたのですが、駅員に車椅子を自分の希望の位置に置かせるのに、杖で車椅子を何度も叩いて指示したのです。
ムカッと来ました(笑)。
モグラが見ていた限りでは、その男の人は一度も笑顔を見せなかったばかりか、駅員さん達に対して感謝のそぶりも見せませんでした。
正直な感想を言えば・・・、止め(爆)。
そんなことは見なかったことにして、電車は「そこ」に到着しました。
これで4回目となるホテルは、駅のすぐ傍です。
チェックインは16:50。風呂に入る時間は充分あります。
三階に上がって部屋に入り、直ぐに着ている物を全部脱いですっぽんぽんになったモグラだったのでした。
続く
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