mixiユーザー(id:356920)

2021年11月06日18:46

119 view

バンビになって豆腐を食べた話

好きな食べ物は。

問われれば、
焼肉、寿司、そば、この3つを答える。
他にもかぼちゃの煮付やかまぼこをしょう油とコショウで炒めたやつやほうとう、シャインマスカットも好きだ。

それでは今まで食べたもので一等おいしかったものは。

そう問われると、
行き付けた焼肉屋のミノでも日本橋の回らない寿司屋のウニでも戸隠まで出掛けて食べたそばでもない。

タカノフーズ(おかめ豆腐のメーカー)の豆腐「絹美人」だ。
3連パックで100円くらいだ。

2007年6月17日、日曜の昼過ぎ、しょう油も付けず、そのまま食べた絹美人は1パック30円くらいのくせにとんでもなく濃厚に大豆が香り、その半年前に旅行先の京都の背伸びして入った割烹で食べた豆腐よりはるかにおいしかった。

ただ、この絹美人を至極の一品に仕上げるには自分自身も究極に仕上げる必要がありそれが辛い。

2007年6月16日、夕方から小中のクラスメイト4人と、ぼくは地元の居酒屋で飲んでいて。
そう言えばその頃はまだレバ刺しもメニューにあったりした。
何杯飲んだかは数えはしないから分からないけれど、閉店の23時くらいまでずっと飲んでいたから中生10杯以上にはなっていたと思う。

で、その後がまずかった。
クラスメイトのうち女の子2人と別れ、男2人で駅前のバーへ向かったのだ。
バーでは最初、コロナを1本ずつ飲んだ気がする。
それからカレーを食べながらジャックダニエルを1瓶ラッパしたのだ。
大事なところなのでもう一度言う。

ジャックダニエル(ウイスキー、アルコール度数40度、700ml)をラッパしたのだ!

途中から当然記憶は無く、明け方4時過ぎの閉店時にはトイレの便座に腰掛け動けなくなっていた。
クラスメイトも相当に酔っていたけれど、ぼくの携帯からぼくの母親を迎えに呼んでくれた。
バンビだったぼくは一人で立ち上がれず母親と友達に担がれ車に乗せられ、後部座席に捨て置かれた。
酔いの残る友達がげらげら笑いながら「●●(←本名)くんは告白する前に振られちゃったんですよ」と余計なことを母親にしゃべっていたのを覚えている。

家に着くと吐き残しを全て吐いて、水を飲んでも受け付けずやっぱり吐いて、仕方ないからすっからかんの胃のまま居間で寝た。
昼に目が覚めたけれどまだバンビのまま、ふるふる震える足でやっとこさシャワーを浴び、体重計に乗ると44キロを計測していた。
ちなみにぼくの身長は171センチで普段は47キロくらいある。
44キロという背が低かった高1以来見たことのない数字に思わず苦笑いだったけれど、食べ物と水分が無くなると体重は3キロ減るのだな、ほほう、と思ったことを覚えている。

その後また、居間で寝転ぶぼくに、母から差し出されたのが至極の豆腐「絹美人」だったというわけだ。
すっからかんの身体で感覚もなぜか鋭敏になっていて、前述のとおり、たかが30円の豆腐に本当にこの上ない大豆の香り、風味を感じて。

もしこの時、絹美人ではなく近所の豆腐屋の作り立ての絹豆腐を食べていたらぼくの舌と脳は壊れていたかもしれない。

この先死ぬまで、ぼくはもうバンビになることは無いと思うので、至極の豆腐もやはりもう二度と、食べることは出来ないのだ。

1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年11月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

最近の日記

もっと見る