第十八話「『たかなみ』にて」
停泊から退艦までは意外に時間がかかりました。「ラッタル」が急で、お年寄りの足にはきつかったようです。
提督:「なってないなあ。私がこの艦に乗っていたらラッタル二ヶ所降ろすのに。」
そう、確かに待つ身には結構辛いものがありました。
実際停泊してから降りるまでに1時間近くかかってしまったのです。
まあ「アミューズメントパーク」ではないので無茶な要求はしたくありませんが、炎天下での“棒立ち”1時間は頭皮に堪えたことは事実なのでした。
さて、この時点で既に2時を廻っていたかと思いますが、当然のこと我々は「昼飯」を食っていません。
「ぶんご」を降りて、待っていてくれたかずやん・北野組と合流したら直ぐと「昼飯」コースと思っていたのですが、そこに立ちはだかったのが護衛艦「たかなみ」だったのでした。
「さあお兄さん、寄ってらっしゃい。」
モグラは正直“ゲップ”状態でしたが、かずやんさんや北野君がこの機会を逃す筈がありません。
当然全員乗り込むはめになった、と言いたい所ですがここでリタイア者が一人というか一匹出ました。再ちゃんです。
元々、出張をでっち上げて職場から脱走して来た社長なので、活動限界は別の意味で限られていたのです。
みんなが「たかなみ」に乗艦する中を、一人寂しく去っていく人間ランドマーク@再ちゃんなのでした。合掌。
お客さん達も草臥れて帰るだろうというモグラの予想を覆して、来るわ来るわ「たかなみ」大モテです。
隣には「潜水艦救助艦」の何とかいう艦が並んでいて見学も出来たのですが、我々は自重して「たかなみ」のみ軽く一周することにしました。
軽くとはいっても、それなりに“拘り”がある人は居ます。
主砲の砲弾のレプリカを見つけて、mumuさんが触らずに済む筈がありません。
結構重そうでしたが、係りの隊員さんの助けを借りて抱き上げた「砲弾」にスリスリして幸せそうなmumuさんなのでした。
さて、モグラは割りと飯を食わなくても平気な方なのですが、それでも些か腹が減って来ていました。
かずやんさんや北野君という“欠食タイプ”の人達が限界に近付いていてもおかしくはありません。
というか“不満”が出なかったのが不思議なくらいです。
提督:「じゃあ、そろそろ行きましょうか。」
ああ、やっと昼飯にありつけそうです。
考えてみれば、朝7時過ぎにサンドイッチを食べて以来水分すら口にしていません。
収穫した「パンフレット」をぶら下げて、我々はよろよろと自衛隊基地を後にしたのでした。
続く
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