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2021年11月04日17:29

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モーリタニアン 黒塗りの記録(The Mauritanian)

 悪名高きグアンタナモ収容所に収監されたモーリタニア人の青年と、彼を救うべく奔走する弁護士たちの姿を、実話を基に描いた法廷サスペンスドラマ。モハメドゥ・ウルド・スラヒの著書「グアンタナモ収容所 地獄からの手記」を題材に、「ラストキング・オブ・スコットランド」のケビン・マクドナルド監督がメガホンをとった。弁護士のナンシー・ホランダーとテリー・ダンカンは、モーリタニア人青年モハメドゥの弁護を引き受ける。アメリカ同時多発テロに関与した疑いで逮捕された彼は、裁判すら受けられないまま、拷問と虐待が横行するキューバのグアンタナモ米軍基地で地獄の日々を送っていた。真相を明らかにするべく調査に乗り出すナンシーたちだったが、正義を追求していくうちに、恐るべき陰謀によって隠された真実が浮かび上がる。ジョディ・フォスターが敏腕弁護士ナンシーを演じ、第78回ゴールデングローブ賞で助演女優賞を受賞。軍の弁護士ステュアート中佐をベネディクト・カンバーバッチ、モハメドゥを「預言者」のタハール・ラヒム、テリーを「ダイバージェント」シリーズのシャイリーン・ウッドリーが演じた。(映画.comより)





<2021年10月31日 劇場鑑賞>

 2001年9・11事件の事件の後、何年後かははっきり覚えていませんが、キューバのグアンタナモ基地で、ひどい拷問や違法な取り調べが行われていたことは、日本でもニュースになっていましたね。個人的には、まだ19歳かそこらの女性兵士が、とんでもない暴言とともに囚人に危害を加える映像が公開されたのが記憶に残っています。少なからずショックでした。まだ子供のようにあどけない女の子だったのに。

 ともかく、あの時読んだ記事をわかりやすく映像化したもの、そんな映画でした。例の女性兵士が出てくるわけではありませんが。アフリカ大陸内の小国モーリタニア。9.11事件の2か月後、この国の青年モハメドゥが突然逮捕されます。彼はドイツに留学していましたし、数か国語を話す教養人でした。そのため「欧州にいるときに若者たちをアルカイダにリクルートした」嫌疑をかけられます。本人にそんな記憶はありません。もちろん、他国で同胞に会うことがあれば快く招き入れましたし、友人に「同胞を泊めてやってくれ」と頼まれて引き受けたこともあります、そいつがどんな奴かよく知らなくても。でも、リクルートなんて身に覚えはありません。

 しかしながら、モハメドゥは、まともな裁判を受けられなかっただけではなく、アメリカ軍が作ったシナリオ通りに自白するよう、言語を絶する拷問を受け続け、そしてその事実を隠蔽されていたのです。一度自白すると「自白した」ってことになってしまいますから、人権派の弁護士もなかなか真実にはたどり着けないわけです。しかも、請求した資料がやっと公開されても、ほとんど黒塗り。読めるところはほとんどありません。素人目にも「公開する意味ないだろ」ってシロモノです。それでも、ジョディ・フォスター扮するベテラン弁護士は、「たとえ本当の犯人であっても、正当な裁判を受ける権利は有している」と、前に進むのです。このジョディ・フォスターがよかったですね、本当に。貫禄があって、思慮深さを体現していて。

 これは史実ですから、彼が裁判に勝つことはわかっています。しかし、勝訴したはずのモハメドゥは、実際はその後7年も収監されつづけるのです。アメリカのような法治国家でもこうなんですから、世界を見渡せば、きっともっと信じられないことも行われているのでしょうね。そんなことも考えた作品でした。
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