第十七話「海上にて」
沖に出ると同時に、それまで掛けられていたロープが外され艦内を自由に歩き廻れるようになりました。
提督:「じゃあ、艦橋に行ってみましょうか。」
近くの階段を指差しながら提督が誘います。無論“否や”はありません。
他のお客さん達に混じって我々も階段口に辿り着きました。
ところで経験者は判っていると思いますが、艦船の階段というものはかなり“急”に出来ています。
“急”ということは、スカートを穿いたお姉さんが目の前を昇っていると“何か”を期待してしまう愚か者が出現しないとも限らない、ということを意味します。
断っておきますが、モグラが何かを期待しているという意味ではないのでくれぐれも誤解のないようお願いします。
さて階段口までmumuさんを案内した提督が先に昇るのかな、と見ていると流石は提督です紳士です。
mumuさんを先に昇らせて自らはあらぬ視線の「イージス」宜しく後ろをガードしつつ階段を昇って行きます。
その後を、複雑な心境のままでモグラは提督のお尻を見上げつつ階段を昇ったのでした。
艦橋等は既に3回も見学したモグラですので軽く流します。
今回「ぶんご」と「はつゆき」ではメインで見せる物が違っていたようですが、「ぶんご」では主砲の説明なのでした。(「はつゆき」ではアスロック発射口が開閉されたらしい。)
思ったより大きな砲弾を見ながら薬莢がガラガラ転がる様を想像します。
甲板なので昔読んだT-34の車内の惨状よりはずっとましなようです。
順路に沿ってぐるりと廻りながら提督の解説を聞いている内に、ふと気が付くと再ちゃんの姿が見えません。恐らく活動限界を超えたのでしょう。
「エヴァンゲリオン」か「再ちゃん」かというぐらい単体で動ける時間は短いのです。
そうそう、2度に亘る「追い越しシーン」のことを忘れる所でした。
艦が追い越したり交差したりする時には「挨拶」があるのだそうです。
その際、艦長の階級が下位の艦が先に挨拶し(ラッパが鳴り響く!)、返礼として相手の艦からもラッパのお返しがあるのです。
カッコイイのですが、近くで聞くと結構耳に来ます。
「はつゆき」と交差する時に、かずやん・北野組を視認したのですが、こちらも舷側からという訳にはいかなかったので判らなかったかもしれません。
イベントを見尽くした後は2階(?)デッキの人が居ない場所で三人で少し話をしました。一人足りないのは重力に負けたタヌキです。
何やら薀蓄に富んだ話をしたような気もしないではありませんが、当然覚えてはおりません。残念です。
「ぶんご」は何時の間にか方角を変えて元来た港へと向っていたようでした。
話を終えた三人も1階甲板へ降りて再ちゃんと合流します。
再ちゃんは座れる場所を見つけてお尻を落ち着けていました。
提督:「鉄板の上って、結構足に堪えるんですよ。」
成る程、体重の軽いモグラでも何だか脹脛が草臥れたような気がします。再ちゃんが立っていられないのを笑う訳にはいきません。
そして、足腰だけでなく何やら「顔面」が熱いような気もします。
海の上の陽射しは思ったより強烈にモグラ(と提督)のおでこに当たっていたのでした。
体験航海は、そろそろ終わりを告げます。
続く
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