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2021年10月29日21:05

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良き作品とは「Violet Evergarden」

今週は仕事で廃人になってしまったので、
気分転換していた最新話の話。

来週から、もっと出勤が迫られそう。


■良き作品とは「Violet Evergarden」
(今回はちょっと備忘録)

プレゼンというのは、演劇。

良いプレゼンとは、
「相手を熱中させる仕掛け」
があること。

仕事として交渉とかを
毎日やっているからこそ、
それだ、という
「コミュニケーションの極意」は、
「愛」や「人とのつながり」を
描く作品には欲しい。

だからこそ、多様な立場の人が、
「どの立場でも共感できる仕掛け」
も期待したい。

「深さ」
といってもいい。

ガンダムが評価されているとすれば、
「正義はどちらも正義」
というところがあるから。

まさに、典型的な
「どちらの立場でも語られる」
という演出。

良いですね。

さらに、
日本のアニメ、特にアニメ映画が
大好きな理由としては、
単に画質や脚本だけではなく、
歌や声優まで全てで
「日本のエンタメ界で最も実力主義」
が見えることがあるから。

忖度ゼロ。
ひたすら実力。

実力を突き詰めた作品は、
100%、Bluray買って
絶対応援しています。

ところが、
どんなにカネや人をかけても
大量の駄作で溢れている。

なぜか。

まず、「どこの話か」から、難しい。

アニメやアニメ映画は
緻密な時代背景や時間軸の設定がカギ。

わかりづらくてもダメ。
わかりやすいと現実に近いけど、
幅が無くなる。

さらに現実よりも難しいのが、
「何をしゃべらせるか。」
「どう動かすか。」

そして、画力。
共感できたり、自分が入り込めたりする
精密で美しい画力も期待したい。


全部難しい。
だから、大半の作品は
「現実はドラマより奇なり」
と言われてしまう。

つまり、つまらない。

ただし、
僅かな名作中の名作を除いては・・・。


【Why Violet Evergarden】
Violet Evergarden。
全部で9時間超え。

どれ一つとっても、
「無駄がない」
といわれる5年越しの大作。

この10年間、売れているアニメや映画は
大体見てきました。

その中で、この10年間で
「あらゆる観点で実に素晴らしい!」
というレベルにあったのが、
「Violet Evergarden」。

日本よりも世界で評価されている、
と言っても良い。

まず、本編はとても良い。

さらに、京アニ襲撃という
醜悪な事件の後の2作品(外伝、劇場版)は、
もう、鬼気迫るといっても過言ではない。

全編を通して伝えたいのは一点だけ。

「道しるべとしての最愛の人の言葉」

どの登場人物にも、各話でも。
そして、主題歌、挿入歌でも。

よくも、こういうべたな本流を、
恥ずかしげもなく入れ込んだな。

とんでもない熱意。

そして、この10年で
最高レベルと言われる画力。

手抜きが全く見られない。

背景が評価されているのがジブリなら、
人の表現なら京アニ。

というほど。

ただ、両者の違いは、
「テーマが明確でごまかさない」。

いい加減な終わり方をして、
後は勝手に想像してください、
といった投げやりな部分はなく、
「完ぺきに演じ切る」
すがすがしさが売り。

個人的には、ジブリの何倍も
「腹落ちする」し
「感動が止まらなかった。」

仕事にも、毎日の生活レベルにさえも、
本当に支えになるほどの作品です。

ジブリも好きですが。


【おっさんなら、最後は少佐視点】
Blu-ray 1-4巻、外伝、劇場版の順で
何度も見ました。

2回目まではヴァイオレット目線。
文句のつけようがない
素晴らしい作品で、感涙。

ただ、ふと、
「なぜ、少佐はあんな小さい子を愛してしまったのか。」

腹落ちできなかった。

3回目からは少佐目線で見ることに。

あぁ、そうか。
これ、外伝が凄い伏線だったのか。

外伝は少佐側目線の導入編。
外伝の主人公は、
ヴァイオレットも少佐も関係ない第三者。

孤児のエイミーは、同じく迷い子のテイラーに
何とか生きてほしいと、別れを選び、
孤独の世界で生きる道を選ぶ。

恐らく、誰が見てもエイミーはラッキーだった。
しかし、何年も経ち、偽装結婚までさせられ、
カネはあっても、孤独しかない日々。

そこで、残してきたテイラーが
生きていたことがわかる。
自分の力で選んだ道を歩み始めて。

それが、支えている人経由でわかる。

その支えていた人こそが、
何年も前、自分がギリギリのときに
自分の心の支えの一番大事な人だった。

偶然に偶然が重なっただけですが、
重要なきっかけはヴァイオレットの無償の心。

(絵が完全に外国なのに、
どんだけお人よしな日本人なんだよ・・・)

それがわかったときのエイミーの感情が
流れるように入ってくるのが外伝。

スゲーとしか言いようがない脚本。

一見、本編にはリンクしない。
いや、かなり交わらない。

でも、外伝の主人公視点から、なぜか、
「今まで語られなかった少佐視点!」
と、誰でもわかるという仕掛け。

劇場編(最終編)の本編に戻る。

少佐が戦場で、
生きるのが精いっぱいで、
利害関係や時には裏切りもあった中、
どれだけ彼女のピュアさが
彼の生きる道しるべとなったのか。

生きるか死ぬかのギリギリの中で、
文字や言葉を教えるとは、
どういう感情が生まれることなのか。

誰よりも純粋だったヴァイオレットと
その成長が、あまりにも眩しかった。

そういう「言葉を伝える幸せと成長」が、
どれだけ彼の生きる糧になったのか。

大戦の最後、ヴァイオレットが
少佐を助けようとしたために、
ヴァイオレットの両腕が無くなったこと。
その結果、どれだけ少佐が鋼鉄のように
心を閉ざすようになるのかは、
容易に想像に至る、という仕掛けです。

そして、固くなった心を溶かすのは、
主人公ではない。
これも、凄い仕掛け。

大事なもう一人。
少佐の親友であり、
親友の宝だったヴァイオレットを
ずっと支えてきたホッジンズ。

ずっと主人公の保護者であり、
少佐の親友でもあるホッジンズが、
何とか少佐を探し出して会いに行ったとき、
いつでも、いつまでも、
決してヴァイオレットには怒鳴らず。

ひたすら優しく寄り添う。
ここは男性の包容力。

実は、ヴァイオレットエバーガーデンで、
殆ど「男性の包容力」がメインテーマに
出てきません。

そこだけは、ホッジンズ、実兄の大佐、
そして、少佐に集約させて、
焦点をぶらさない。

そして、親友に、ときには
怒鳴って叱るのも、劇場版だけ。

「男同士の本音のぶつかり合い」
として、がっちり描かれる。

そこまで計算して脚本されている。

凄い抑揚の仕掛け。

「男性の包容力」
の描き方も、普通とは逆。

普通、支える側は、
ヴァイオレットに動くように、けしかけ、
少佐の心の動きを期待する傍観者。

しかし、ホッジンズは違う。
男同士の話を男同士のやり方で
ちゃんと伝える。

あぁ、体育会的な本音のぶつけ合い。

痺れる・・・。


この話は、
元上官の少佐と主人公ヴァイオレットの話。

ギリギリの環境で言葉と愛情を与えた少佐は
確かにヴァイオレットの心そのもの。

でも、主人公がちゃんと育ったのは、
少佐がいなくなったあと、
親代わりのホッジンズ、そして、
時には敵対しながら、
最後は完全にサポートした少佐の実兄。

そして、先生や同僚、お客さんの人生
を通して得た、「人の愛情」。


【最高のシーン】
劇場版の最後のシーン。

あれだけ沢山の言葉が
書けるようになったヴァイオレットが、
たった一言が言えなくて、
手で太ももを軽くたたく。

ほら、声を出せ、と、
無言でたたき続ける。

でも、言葉がやっぱり、出ない。

観客は皆、心でこういう。

「ほら、あれだけ唱えた言葉。
声を出せばいいはずでしょ。」

でも、出ない。

そして、それを代弁した少佐の言葉。

この演出。

この間(ま)。

そして、この作品の最大のテーマだった
「言葉」
ってホント、凄い、と納得させる剛腕。

このシーンだけでも号泣、
共感、感情移入した人は、
たくさんいたはずです。


劇場版全編を包むのが、
TV版の第10話という、
超有名シーンがありますが、
「その数十年後から振り返る」
として描かれる、設定が生み出す、
何とも言えない切なさも、最高の演出。


一言。

「王道の完ぺきさ」。


国内外で感動させている。

これだけの想いをかけて、
もう一度作れるのか。

やはり、あの事件を乗り越えたい、という
強い気持ちも乗り移っていたとしか思えない。

そのメッセージも強烈。

今は、一言一言が直観的なだけで、
余計なシーンは全て自分の都合で
「飛ばして先送りする」
のがネット社会やYoutuber時代。

その結果、言われた方は
常に一方的に言われっぱなし。
そして、全く不本意な暴力や
京アニ自身、いわれもない、
放火・殺人にまでもさらされる。

その回答がこの作品ではないか。

とんでもないアンチテーゼを
良くぶつけてくれたものです。


【おまけ】
中国の若者楽団のこの応援。
国際交流に役立つのはアニメだよな、と。

https://www.recordchina.co.jp/b769370-s0-c30-d0052.html
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