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2021年08月30日22:28

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『アウトポスト』 2021年49作目 ☆☆☆★ フォーラム仙台

『アウトポスト』 2021年49作目 ☆☆☆★ フォーラム仙台
https://klockworx-v.com/outpost/

 アフガン戦争で実際にあった激戦を映画化。
 アフガン戦争とイラク戦争をテーマにした映画は何作もありますし、実話ベースの作品もありますけれどアフガン戦争は「地形」が厳しいのと「部族社会」なのが特徴ですね。
 イラク戦争を扱った映画にはバグダッド等の都市部での話や、よくある「CIAの陰謀」とか創作も多いですけど、アフガン戦争の映画は「実話」が多いですね。
 今作も実話がベースです。

 輸送路上の拠点なので前線基地を置いたのは良いけれど、場所は谷の底。
 四方を山に囲まれていて東西南北何処からでも見下ろされる。
 軍事的には「陣を敷いてはいけない場所」に前線基地を置いちゃったもんだから、敵に囲まれて死ぬ目にあった部隊の実話。

 これ駄目でしょ。
 自分から囲まれにいってる。 
 何でこんなとこに前線基地置くかな?

 作中では新任の部隊長が到着するところから始まります。
 地元の部族との話も何とか纏める頼りになる新任の部隊長なんだけど、上から「輸送用のトラックをすぐに戻せ」と命令が来て、「夜間は危険です」との副官の助言を無視して「俺が運転する。夜の方が襲撃を受けない」と夜に狭い夜道を軍用トラックで走ってたら、案の定崖下に転落して殉職。
 事故死なんてあり?
 二人目の隊長さんは「自分の目で任地を確認する」とパトロールに同行したら、仕掛け爆弾で爆死。
 自ら任地を確認するのは上に立つ者として当然の行為だけど、爆弾恐ろしい。

 二人の部隊長の話は作り話かと思っちゃうぐらい出来た話なんだけど、「上に立つ者」はこうあって欲しいね。
 特に強く思った。
 何で「特に強く」思ったかと云うと、三人目が只の腰抜け。
 ゲリラの襲撃が怖くて小便は自室でペットボトルにして部下に処分させてて、大便する時は部下にトイレの警備をさせる。
 部族の長が「お前らのせいで娘が死んだ」と、明らかに米軍の責任じゃない死体を持って来て因縁吹っ掛けたてきたらあっさりと見舞金を渡す。
 抗議に来た時に基地で飼ってた犬にかまれたら「犬に噛まれるのは最大の侮辱だ」との因縁に屈して犬を撃ち殺す。
 只の腰抜け。チキン野郎。
 当然、兵士達が「腰抜け」呼ばわりすると、副官が「部隊長は歴戦の勇士だ。侮辱するな」と叱りつけるんだけど、副官も大変だね。
 幾ら部隊の士気、規律の為とは云えあんあ「腰抜けチキン野郎」を弁護しなきゃいけないなんて。
 敵に囲まれた時も、迫撃砲の射撃許可をすぐに出さなかったり、腰抜けもいところ。
 兵士が拷問ごっこで遊んでて、「部隊長なら1分持たないな」とか云ってたら「俺はイラクで3分持った」とか云ってくる(時間はうろ覚えです)。
 居るよねこう云う「腰抜け上司」って。
 外のいちゃもんに弱くて、何かしようとすると規則だ何だかんだでなかなか許可出さない奴。
 ほんでこういう奴に限って上には良く思われてる。
 作中でもさっさとどっかに移動してる。
 実話ベースの作品で、戦闘で全滅しかけた部隊の話でこんなに長々と「腰抜けチキン野郎」の話をしたって事は、よっぽど気に障ったんだと思う。

 個人的に「腰抜けチキン野郎」が不快だったので長々と書いちゃったけど、個々の兵士の描写も細かくて見応えがあった。
 兵士は「危険な基地」に配属されてるのに危機感が薄く、アホも居るのが「そんなもんだよね」と妙にリアルだし、「軍隊の背骨」である下士官は頼もしかった。
 士官は…三人目の腰抜けチキン野郎以外は上官として頼れる人達でした。

 ゲリラの襲撃の時にトイレに居たり、寝てて裸の兵士が慌ててベストだけ着てうろうろしたり、機関銃の弾が切れたから「弾取って来い」云われて急いで取ってきたら弾の種類を間違えたり、戦闘が終わってたりするのが妙にリアルだった。
 アフガニスタン人の通訳が毎日「ゲリラが来る。囲まれてる」と騒いだり、糞尿の処理で燃料と装薬で燃やしたり、兵舎や食堂で下らない無駄話してるのもリアルに感じました。
 日常の描写がリアルに感じるので余計に戦闘の過酷さもリアルでした。
 機関銃の故障しやすいのと、機銃座に予備の弾を置かないのはあまり見ないけれど、そう云うものなのですね。

 最後のゲリラの一斉攻撃は凄まじかったけれど、航空支援があったとは云え基地内に侵入したゲリラを撃退出来たのは軍は凄いな。
 装備が充実してるのも有るでしょうけど、個々の兵士、下士官の訓練の賜物ですね。 

 この戦闘では多くの勲章受章者が出て、中でも「アメリカ合衆国最高の栄誉」である「議会名誉勲章」受賞者が2人も出る激戦になったそうです。
 エンドロールでは実際に闘った将兵が映されます。
 戦死した者。生き残った者。叙勲を受けた者。
 非常にリアルな作品でした。

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