「お前って、メチャメチャ足が速いんだって?」
「うん、速いよ。小さい頃から足が速くて、学生時代には陸上部で、随分優勝したもんだよ」
「凄えな〜。俺なんか足遅いから、お前が羨ましいよ」
「いい事ばかりじゃないよ。そのお陰で、俺はいつも懐が寂しくて困ってんだから」
「いつも懐が寂しい?どういう事?」
「毎月、給料日が俺のスピードについてこられないんだよ」
誰しもお金は欲しいでしょうが、
本当にお金持ちかどうかの判断は、なかなか難しいところもありますよね。
ただ『お金持ちをどう考えているか?』というのが判る質問というのはあるそうですね。
「あなたの家には、エッグスタンドがありますか?」
こう問うてみる事だそうでして、ご存知の通り【エッグスタンド】というは、
食卓のテーブルの上で『卵を置くためだけにある器』の事ですね。
本来なら、器なんて何でもいいわけですし、
普通の小皿であれば、卵に限らず何だって置く事ができます。
しかしエッグスタンドは『卵のためだけ』にしか使えないわけですから、
余分と言ってしまえば余分な物のわけです。
「エッグスタンドくらいあるでしょう」
当然のようにこう答える方というのは、そんな物を買う余裕があるわけでして、
『余分な物を買える人こそ、お金持ち』というように思っているという事でしょうね。
お金持ちというのは、贅沢な食事をしていて、
お寿司なんかでも、高級店にしか行かないみたいなイメージがありますが、
貧困にあえぐ若者たちは、回転寿司にすら満足に行けないなんて事もありましてね。
「お前、回転寿司って行った事ある?」
「いや、ないよ。
寿司の回転についていくため、行くんだったら、動体視力を養ってから行くべきだって話だよ」
「素人が迂闊に行っちゃいけないんだね。
俺も行こうとしたら、親から『危ないから止めろ』と必死の形相で言われたよ」
「聞いた話だと、寿司の値段によって回る速度が決まっていて、
値段の内訳はレーンの燃料費に使われてるらしいよ」
「高級店は店ごと回るらしいしね。
それからさ、高い寿司は止まって見えるってマジ?回ってないって話だけど」
「そんなのは都市伝説だよ。
高級な寿司は、回るのが早すぎて、止まって見えてるだけだよ」
こんな会話が交わされてるかもしれませんね。
微笑亭さん太
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