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2021年08月07日23:59

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脳の中で言葉の発話を司っている部分は手の動きの模倣も司っている


脳の中で、言語の「発話」の機能を担っているブローカ野(うち44野)は、それ以外に「手の動き」を模倣する機能も担っているのだそうだ。(*1)

そして手話を使う聴覚障害者が失語症になった場合も、耳が聞こえている人と同じように、手話をやるのが困難になるタイプの場合は、発話が困難になる失語症と同じくブローカが損傷していて、手話の理解が困難になるタイプの場合は意味の理解が困難になる失語症と同じくウェルニッケが損傷していたということが分かっているのだそうだ!!(*2)

もともと音声が聞こえていなくて、音での発話ではなく手話で話す人の場合に、頭の中で言葉の意味を音声にする機能を果たしているブローカが損傷した場合、どうなのかすごく気になっていたのだけれど、きちんとそれについて調査研究をしてくれていた人たちがいて、分かって本当に良かった。その場合でも、同じだとのこと。

この、「手話を使う人も手話の産出が難しくなる失語症の場合にブローカが損傷していた」ということと、「ブローカが手の動き(人のアクション)を模倣する機能を担っている」というのは、全然別な情報源から知ったのだけれど、とても関連があるように思う。

だって、まだ人間がここまで音声としての言語を使う状態に至っていない原始人だった頃は、たぶん、ジェスチャーで合図を送ったりすることで、他人とコミュニケーションを取っていたはずでしょ?

ということは、その当時の人間にとっては、音声も手の動きも、同じように言葉であったはずで、むしろ音声はまだそんなに複雑ではなくて体の動きで伝える情報のほうが多かったとしてもおかしくはない。何を伝えていたかは分からないけれど、手などの動きで、仲間に食料のこととか危険回避についてのこととか、いろんなことを表していたかもしれない。その中で、その動きを覚えるためには相手の動きを真似できないといけないから、相手の動きを見て模倣する能力が高まっていったのだろうね。その時からブローカ野は少しずつ発達して、同じ場所で音声も扱っているということなのではないかと思う。

まあ発声にしても手の動きにしても運動で、脳から唇や舌の動きを作る指令を出すことも、手を動かして特定のジェスチャーを作る指令を出すことも、身体的な運動を促していることには違いはないとも思うから、同じ部位が担っていたとしてもそんなに意外ではないかもしれない。最初にブローカ野が手の動きの模倣も司っていると見たときはすごく意外な気がしたのだけれど、原始人だったときの人間にとっては手の動きも発話と同じことだったはずだから、それは自然なことなのかもしれないと思った。

あと、だいぶ前にNHKで読字障害のことをやっていて、その時にブローカ野の話が出ていて、そこで人間が文字を読むときに頭の中で音声に変換しているという話を知って、そのとき自分は初めて、だったら音声を使わないで理解する手話の人はどうやって理解しているのか、というのをすごく気になって、でもその時には情報を見つけられなかったから、今回それに関連する情報が見つかって、ものすごくスッキリした。

今、NHKオンデマンドでもう一回、その時の読字障害についての番組を見返している。これも、ブローカ野の役割についてかなり出てくるし、読み書きをするときと、音声を聞いて理解するときと、自分から発話するときとで、脳の働き方と関連する部位がどのように違うのか知るための参考になる。

(*1) 44野にアクション(手の動き)を模倣する機能がある件については下記のページに掲載されている。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10639179/ これについては、窪田三喜夫先生の論文「脳内言語処理」で参照されていたため知った。

(*2) 手話と失語症については下記のページで知った。
https://www.nikkei-science.com/page/magazine/0109/brain_s.html




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