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2021年08月07日03:35

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゚Д゚) < メヘルジャーン (Meherjaan)

日本人はなぜ、「愛国」を語りたがらないのか=中国メディア
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=97&from=diary&id=6619802

 「愛国心はならず者の最後の逃げ場(Patriotism is the last refuge of a scoundrel)」
 …と、愛国なるものを一刀両断した人もいましたしねえ…。ある一定方向に思想を統一しようなんてのは、だいたい政治か社会がやばい時に意図的に行われるもんでありますよ。
 ま、「一定方向」をどこまでとするのか、そもそも「愛国」の定義はなんなのかってのも、それぞれの地域・国によって色々な気もしないではないけれど。インド映画はじめ南アジアのお話を見てると思う。「愛国」も、自分たちの知らない姿をしてる時もあるんだなあ…と。





メヘルジャーン (Meherjaan) 2011年 120分
主演 ジャヤー・バッチャン & ショイナ・オミン
監督/脚本/原案/デザイン/出演 ルバイヤト・ホッサイン
"歴史は、理論整然と語られるものではない"

https://www.youtube.com/watch?v=50u_vfev-UQ

 1971年。戦争。旅…。
 あの時代に多くのものを奪われ、私は記憶の扉を閉じた。それからは、彫刻家として生きることのみに慰みを求めて…。
 長い年月が流れた後、従姉妹ニーラ・アーメドの娘サラが訪ねてきた。…戦争中にレイプされたニーラが産んで、彼女の死後ドイツ人夫婦の養子となっていた娘が。彼女が訪ねてこなければ、この物語は永遠に語られる事はなかったはず…

**************
 独立戦争が始まったあの日、メヘルは戦場となったダッカを離れ一家で祖父の村へと疎開していた。そこに、憔悴しきった従姉妹のニーラがただ1人で祖父の家にたどり着く。彼女の身に起こったことについて、家の者は様々に語り出し、彼女の身を案じるのだったが…。

「その時、叔母さんは何をしていたの?」
「日記を読んでいたわ。私の日記…ニーラのことを書いてた日記よ」
「でも…変だわ。私が調べた限りでは、1971年に強姦事件の話は聞かなかった。バングラデシュの歴史では、そういった女性は沈黙しているように思えるんだけど…」




わーい(嬉しい顔) タイトルは、劇中でメヘルと恋仲になる相手が発した呼びかけで「愛しのメヘル」くらいの意味?(「ジャーン」で、ウルドゥー語の「人生」の意味になるとか)
 ルバイヤト・ホッサインの監督デビュー作となる、バングラデシュ映画。バングラデシュでの一般公開の後、世界中の映画祭で上映されている。
 日本では、2012年のIFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)にて上映。

 1971年のバングラデシュ独立戦争の渦中を舞台に、戦争に翻弄される家族たちを描く本編は、数々の映画賞を獲得しながら、しかしバングラデシュ国内では一般公開後すぐにその内容について問題視されて反発を招き(主に、主人公と恋仲になるパキスタン兵の様子と、ニーラの描写について)、公開中止が相次いだという。
 その中で、同年11月には米国ハーバード大学にて、ジェンダーと安全保障、人権に関するパネルディスカッションイベントにて上映されている。

 お話は、戦地から離れた地方のお屋敷を舞台に、敵兵士に凌辱された少女ニーラと、別の敵兵士を助け次第に心を寄せていく少女メヘルのそれぞれの視点を対比的に描きつつ、お屋敷に集まる家族親族たちに忍び寄る戦争の恐怖をじわじわと描いていく。その戦争当時の思い出を主軸に、年老いた現代のメヘルがそれを回想し、ニーラの娘であるサラにその体験を語る姿を部分部分で挟むことで、皆が沈黙を守らねばならなくなった悲惨な記憶との距離感をも同時に見せつけてくる。

 直接的な戦災や人権侵害的なシーンは描かれないものの、沈黙を守らざるをえなかった人々の姿を通して、戦争という時代が如何に人々を・弱者を・それぞれの人生を破滅させて行くかを淡々と語る静けさの内面に、様々な感情が渦巻いているさまを見せつける。
 バングラデシュから見れば「悪」でしかないパキスタン兵の中にも様々な人がいたと言う描写、それでも多くの女性たちが襲われながら記録に残る形でそれを告発できない現実、戦争の中で起こった事実が事実として語られていかない現実と、矮小化・肥大化されて語られて行く政治的偏向の奇妙さを突きつけようとでもするかのような内容が、バングラデシュ国内で大きな議論を呼んで攻撃されたと言うのも、いまだに戦争の傷跡がなお大きく国内に残っている証拠ということになる…のでしょうか。
 現代編でのメヘルがサラに戦争体験談を語る姿に、バングラデシュ独立戦争をめぐる多くの記憶が風化されようとしてる危機感をも感じるのは、穿ち過ぎか…?

 監督を務めたルバイヤト・ホッサインは、バングラデシュの政治家サイード・アブル・ホッサインの娘。母方の家系はインドでも有名なスーフィー聖者クワジャ・ユーヌス・アリ(別名クワジャ・エナイェトプリ)の家系だとか。
 サタジット・レイやリトウィク・ガタクに触発され、米国のニューヨークフィルムアカデミーの映画制作コースを修了。その他、別の大学で女性学と南アジア研究の学位を、ニューヨーク大学芸術学部ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アーツで映画制作の修士号も取得している。
 バングラデシュに帰国後、女性の権利保護のためのNGO団体で働き出す。短編映画を経て本作で長編映画監督&脚本デビューし、世界中の多くの映画賞を獲得。15年には2本目の監督作「Under Construction」を公開。これと同年に公開したドキュメンタリー「Bishkanta」でプロデューサーデビューも果たしている。いまや、バングラデシュで活躍する数少ない女性映画人の1人であり、若手クリエイターとして大きな注目を集めているよう。

 現代のメヘルを演じているのは、本作がバングラデシュ映画デビューとなるインド人女優ジャヤー・バッチャン(旧姓バドゥリー)。
 1948年インド連邦(47年のインド独立から50年の共和制移行までの期間に存在した国家。別名インド連合とも)中央州とべラールのジャバルプル(現マディヤ・プラデーシュ州ジャバルプル県内)生まれで、父親は作家兼記者のタロン・クマール・バドゥリーになる。
 15才の頃に、サタジット・レイ監督作のベンガル語(バングラデシュの国語にして、インド北東部の西ベンガル州とトリプラ州の公用語)映画「ビッグ・シティ(Mahanagar / 1963年公開作)」に出演して映画デビュー。FTII(インド国立映画&テレビ研究所)に進学して演技を学び、71年のヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)映画「Guddi(少女グッディ)」に主演デビュー。ベンガル語映画記者協会のヒンディー語映画特別賞を獲得する。以降、ヒンディー語映画界を中心に活躍し、数々の映画賞・功労賞を受賞。73年にアミターブ・バッチャンと結婚してからはバッチャン姓でクレジットされるように(アミターブの本名はアミターブ・スリヴァスタヴァ。"バッチャン"は父親のペンネーム由来の芸名だけども、彼以降"バッチャンファミリー"と呼ばれて定着している)。88年の「Shahenshah」では原案担当、93年のTVシリーズ「Dekh Bhai Dekh」や05年のベンガル語映画「Antarmahal」ではプロデューサーデビューもしている。92年にはインドからパドマ・シュリー(インドが一般国民に贈る第4等国家栄典)が贈与。
 04年にサマージワーディー党から国会議員に選出されて政界進出。06年から3期ウッタル・プラデーシュ州代表上院議員を務めている。

 少女期のメヘルを演じたのは、本作が映画デビュー作となるモデル兼女優のショイナ・オミン(本名モフムーダ・オミン・ショイナ)。
 サウジアラビアはメッカのバングラ系家庭に生まれ、1才半の頃に家族でダッカに移住。ダンススクールに通いながらモデル業・CM出演を経て、06年のTVシリーズ「Cross Connection」で女優デビューする。08年のTV映画「Mon Uchaton」を経て本作で劇場映画デビュー。以降、バングラデシュのTV界で活躍しつつ、12年の「Pita (The Father)」、15年の「Putro Ekhon Poysawala」と映画でも活躍中。

 インドのベンガル語映画でもよく見る、緑豊かな郊外のお屋敷を舞台にした家族の離散と結合を描く本編は、独立戦争当時の田舎の牧歌的生活の様子を丹念に描きながら、だからこそそこにやってくる戦争の狂気が恐ろしく切実にこちら側に迫ってくる。軍隊の近づく音を聞いただけで、家の未婚女性たちを物置や地下に隠れさせ、男たちは兵士たちを怒らせないよう出来るだけ低姿勢でご機嫌をとる。その手慣れた対処法のありようそのものに、日常生活と戦争が隣り合って存在する日々を送る人々の暮らしの哀しさ・諦観具合が見え、その人々が抱える不条理な現実に対する様々な想いの渦が伝わってくるよう。

 凌辱された体験から、自ら戦争に加担しその怒りを男たちにぶつけようとするニーラ。皆が恐れ憎むパキスタン軍から脱走してきた兵士を匿い、好奇心から世話を始めて惹かれていってしまうメヘル。両者の見た戦争はそれぞれに違うものであったはずなのに、歴史はその2人の体験を語らず、伝える手段も与えず、ただ過去へと置き去りにしてしまう。それを戦後世代のサラ(ドイツ人夫婦に育てられたと言いつつ、常に英語で会話している!)の聞く話として「今」になったからこそ語られる「あの時」の記憶は、今なおバングラデシュではタブーを含むセンシティブな話題なのかと言うギリギリな緊張感は、戦争体験世代と戦後世代の乖離と断絶をも象徴するかのよう…それは、振り返って日本もまた同じなんだろうなと思うと…ねえ…。




受賞歴
2011 Accolade Competition 撮影賞(ソミラン・ダッタ)・助演男優賞(オマール・ラヒム)・観客インパクト賞・主演女優賞(ショイナー・オミン)
2011 California Film Awards 外国映画賞
2011 Goldie Film Awards 注目作品賞
2011 Los Angeles Movie Awareds 注目物語賞・主演女優賞(ジャヤー・バッチャン & ルバイヤト・ホッサイン)・オリジナル楽曲賞(ニール・ムケルジー)
2011 Los Angeles New Wave International Film Festival 注目作品賞
2011 Moondance International Film Festival 音楽賞(ニール・ムケルジー)・注目外国映画賞
2011 Nevada Film Festival 注目映画部門プラチナリール賞
2011 River’s Edge International Film Festival 注目物語賞
2011 Silent River Film Festival 注目作品賞・主演女優賞(ジャヤー・バッチャン)
2011 Yosemite Internatinal Film Festival 外国作品賞

2012 Abuja International Film Festival 注目作品賞
2012 Bare Bones International Film & Music Festival 外国語映画賞・音楽賞(ニール・ムケルジー)
2012 Foursite Film Festival 注目作品賞
2012 Hoboken International Film Festival 撮影賞(ソミラン・ダッタ)
2012 Indie Gathering International Film Festival 台本賞(ルバイヤト・ホッサイン & エバドゥール・ラフマーン)・外国語注目映画賞
2012 International Film Festival for Peace, Inspiration and Equality 国際注目作品賞・批評家賞(ルバイヤト・ホッサイン)
2012 Jaipur International Film Festival 批評家賞(ルバイヤト・ホッサイン)
2012 Long Island Film Festival 注目外国映画賞
2012 New Jersey International Festival 作品賞
2012 Northampton Film Festival 注目作品賞
2012 Park City Film Music Festival 優秀業績賞
2012 Philafilm - Philadelphia International Film Festival 注目作品賞
2012 Sarajevo Bridge Fest 作品賞・注目作品賞
2012 Tiburon International Film Festival オーソン・ウェルズ作品賞





・Meherjaan を一言で斬る!
「舞台となるお屋敷の居間の扉部分に「喜喜」と書かれたすだれ的なものがかかってたけど、あれは…中国から買ったものなのか、バングラ周辺で出回ってるものなのか…?」
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