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2021年06月27日02:18

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失語になっていた父が喋れるようになってきた


先々週に、脳梗塞による失語症で突然喋れなくなった父が、ゆっくりなら喋れるようになった!🤩何を言っているかは、ぜんぶ分かるようになった。
脳のブローカっていう言葉を音声にするところに血が通わなくなって喋れなくなっていたのだった。

先週からやっと、集中治療室から一般病棟に移り電話で話せるようになったから話したら、最初に話したときは、発症時よりは少しだけ良くなっていたけれど、言葉からリズムと抑揚が消えてしまったみたいな感じだった。何というか、反応の仕方とか声は完全に父なのだけれど、喋り方が機械のような感じで、父の代わりに父と同じ声のロボットが話しているような感じがした。書き言葉を一文字ずつ読んでいるような感じだった。音声再生ロボットが父の書いた文をゆっくり読み上げている感じ。

それで、「分、か、り、ま、し、た」などを言っていたのだけれど、父は、今まで私に「分かりました」なんて言ったことなくて、「分かった」とか「分かったよ」とか「うん」だったのだけれど、なんだか、何かを承諾したり理解したりしたときに、それを表す言い回しが、「分かりました」の一種類しかなくなっているみたいな感じがした。

普通、頭のなかで思っている意味と、口から発する言葉って、1つの意味に付き1つの言葉ではなくて、例えば「分かった」を表したいなら、相手が友達や家族なら「うん」「分かった」「分かったよー」「分かったわ」などで、目上の人には「分かりました」「承知しました」とかになるでしょ?でもそれが、父は、意味と言葉が一対一対応みたいになっているような感じが少しあった。1つの意味に対して、それを表す音声の種類がないみたいな感じがして、それがまた、ロボット的な、何かを承諾したり理解したときには必ず「分、か、り、ま、し、た」と言うようになっている、みたいな感じがした。

それが最初に話したときの印象で、とにかく話す言葉からリズムと抑揚が消えているというのがすごく分かったので、リズムを感じたほうが良いと思い、歌を聴くように勧めた。

あと、リズムに乗って言葉を言ってみたら良いのではないかと思い、まずリズム自体は取れるのかどうか電話で確認したら取れるようだった。
私が1、2、3、4とカウントして、それに乗せて一緒に言葉を言ってもらってみた。例えばその四拍子に乗せて、「ワンタンスープ」という発音を繰り返し、その後に続けて、それと同じリズムと音程を持つ言葉である「サンタクロース」を繰り返したら、言えていた。でもリズムなしで一人でただサンタクロースと言おうとすると、途中で詰まるようで言うのが難しい感じだった。なので、リズムを刻んでそれに乗れば、言えるのだということが分かった。リズムがない状態で言うと言葉のリズムが崩れてしまうけれど、一定のリズムを刻んでいれば途中で速まったりしないから。リズムは、伴奏みたいな感じ。アカペラでは歌えなくても伴奏があるとそれに乗って歌えるみたいなことはあるから、そういう感じに近いかもしれない。

なので、リズムに乗せて、同じリズムと音程の言葉を繰り返し連続して言う練習用の音楽を作った。「ワンタンスープ、サンタクロース、信託銀行、高速道路」これらは全て「タンタンタータ」というリズムで、音程は全て最初の3拍が均一に高く最後の4拍目で下がる。

「タタータ」ならば「飛行機、フルーツ、ステーキ、レシート、セ・リーグ、パ・リーグ」などが同じリズムと音程。そういうのを集めて順番に発音していくようにした。

それはどのくらいの効果があるかは分からないけれど、今日もそれを使って練習してくれていたそうだ。

父の話し方を聞いてすごく分かったのは、話す言葉と書く言葉の違いで、話す言葉には、リズムと音程があるというのを改めて実感した。言葉も音楽で、すべての言葉にはその言葉のリズムと音程がある。でも書く言葉には、そういうのはない。もちろん文章のリズムはあっても、見た目には、同じ間隔で文字が一文字ずつ並んでいる。でも話すときは、間隔が全然一定ではなくて、間があったりする。速くなったり遅くなったりもする。そのことで伝わるものがあって、喋りの場合は、もしかしたら言葉の意味と同じくらい、話すときのリズムや抑揚が、話している相手から受け取る情報量の大部分を占めているのではないかとさえ思う。

病院では、言語の訓練の他は、酸素を浴びる治療と運動をさせられているとのことだった。脳の血の巡りを良くさせるためだと思う。

先週初め頃は、何を言っているか分からなかったこともあったけれど、何日かしたら、何回か聞けば分かるくらいにはなった。

それで、今週、ちょうど発症から2週間後に、急激にそれまでと違っていて、部分的には、もうほとんど普通に話せるようになっていた。

まだ、ゆっくり一文字ずつ話したりはするけれど、時々、すらっと言えていることもあった。びっくりした( ゚□゚)!!🤯星
突然、見違えるようになっていたから。

それからは、ゆっくりではあるけれど、もう全部、何を言っているかは分かる。本人曰く、「ぱぴぷぺぽ」と「ぴゃぴゅぴょ」が言えないとのことだったけれど、コンピュータは言えてたから、それでいいんじゃないかと思う。とりあえず、「ぱぴぷぺぽ」が入る言葉を大量にリズムに乗って私が発音したものを練習用に渡した。「ぴゃぴゅぴょ」は、たぶん父は「かんぴょう巻き」くらいしか使わないからそれだけでいいと思う。

なんとなく、カタカナを言うのが大変そうだった。言うのが、というか、カタカナの言葉を頭のなかで音声に切り替えるのが大変そうだった。もっと難しい言葉はすらっと言えていても、カタカナがなかなか言い出せないみたいなことがあるようだ。

発症時から文字は書けているので、書いた文字を見ると、ほとんど合っていて、特に漢字は全て合っているのだけれど、カタカナのところだけが間違っていたりした。例えばコロナワクチンがコロナワチンになっていたり、トライアングルがトライアググルになっていたりした。
書いた文章の中で違っているところがある場合、それは全て、その言葉の文字の一つが抜けているか、繰り返されているか、希に前後逆になっているかだった。前後逆だったのは一回だけで、それは「○○しているので」が「○○しているでの」になっていた。「ので」が「での」になるというのは、なかなかしないような不思議な間違い方だと思う。これはやっぱり頭のなかで音声に切り替えるのが難しいことで起きるのではないかと思う。「ので」と「での」は、見た目はすごく似ているけれど、音にすると全然違う感じがするから。

従姉妹が医者なのだけど、リズムに乗って言葉を言う音楽を練習用に作った話をしたら、「画期的だ」って褒められたわーい(嬉しい顔)手(チョキ)
従姉妹曰く、実際に音楽療法で、右脳と左脳の両方を使って言語の訓練をする方法があるのだそうで、きっと上手く行くと言ってくれた。

確かに、右脳も使って言葉を話す訓練をすればいいのかもね。
ブローカは左脳で、話すときの言葉のリズムを取るのはその部分みたいなのだけれど、でも、ブローカがダメージを受けてブローカで言葉のリズムを取れなくなっても、リズム自体は感じれるわけだから、脳の他の部分でリズムを刻んで、それを言葉の部分と連動させれば、リズムのある話し方もできるんじゃないかと思うんだよね。父は、言葉からリズムが消えてしまったけれど、でもリズム自体は感じれているし、乗れるわけだから、それと発話を連動させたらいいんだと思う。

言葉を発音するもののなかで、歌はいちばんリズムがあるから、父も歌を歌ったほうがいいと思って、レコーダーに入れて持ってくからどの歌手がいいかと聞いたら美空ひばりが一番いいとのことだったので、美空ひばりさんの歌をいろいろ聴き直してみたところ、「愛燦燦」が、最も言葉そのもののリズムとアクセントを保っていて、テンポもゆっくりで、作品としても素晴らしいし美空ひばりさんの歌唱もさすが日本語の発音が大変美しく、本当に話しかけているような歌い方だったので、それを何度も聴いて一緒に歌ったら良いと思ったのでそう伝えた。父曰く、ゆっくりだから一緒に歌えるとのことだった。

とりあえず失語になったかたで、美空ひばりさんが好きなかたは、「愛燦燦」を一緒に歌えるようにがんばってみるというのをお勧めしたい。だって、「愛」も「燦々と」も、この身に「落ちて」も「恨んだり」も、「人は哀しい」も「人は可愛い」も「過去たちは」も「未来たちは」も、ぜんぶ、本当にそのように話しているのと同じ抑揚なんだもの。だから、この歌が歌えたら、もう歌詞に出てくる言葉は話せるし、それと同じリズムと音程の言葉も言えるようになれると思う。



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