人間、年齢を重ねれば記憶力というのは落ちてきますが、
幼い子供の記憶力には、驚かされる事がしばしばありますよね。
子供は聞いているだけで本を丸暗記できてしまったり、
興味があると、車の名前だけでなく、メーカーまで全部覚えていたりという、
大人には真似できない記憶力を発揮する事があります。
一度会っただけの人も、完璧に覚えてたりしましてね。
「・・・お姉さん、こんにちは」
「まあ、知らない人にも挨拶出来るなんて、ケンちゃん偉いわね」
「あの人、パパの三人目の愛人だよ」
これくらいしっかりしていれば、たとえ両親が離婚するような事態になっても、
立派に成長していってくれそうですよね。
一方で、子供たちの活字離れなんて事が言われてまして、
要するに本を読まなくなったという事ですね。
小説なんかの味わい方なんて物を知りませんから、『行間を読みなさい』と言われて、
文章と文章の間を火であぶってたなんて子もいるそうでしてね・・・あぶり出しじゃないんですからね。
「もう!マンガばっかり読んでないで、少しはためになる本を読みなさい!」
昔の子供は、そう言って親に怒られたものですが、
『最近の子供たちは、マンガを読めないのではないか?』などという事が言われてましてね。
ある漫画家が出版社の人から、
「今の子供たちはマンガを読めないので、ひとつのコマに、二つ以上の行動を入れないで下さい」
と言われた事があるそうですね。
例えば【ハッとなって、振り向いて、『何だって!?』と叫ぶ】という場面は、
漫画的にはひとコマで済むけれども、三つの行動をしているので、
三コマ必要になるんだそうですね。
確かにマンガには、特有の表現や、読むために知っておくべきルール的な物が存在します。
マンガには【吹き出し】という物がありますが、
この吹き出しの形で台詞とモノローグを区別するなんてのは、
読みなれた方だったら常識です。
コマを右から左、上から下に読むという基本の作法さえ、ある程度訓練が必要なんですが、
その訓練をしていない、もしくは訓練しても習得できない子供が
増えているのではないかと言われてるんですね。
ですから主人公が衝撃を受ける場面で、背景に稲妻が走ると
『いつの間に、そんな悪天候に?』とマジに受け取ったり、
憂鬱な気持ちになった人物の額に縦線が描かれると
『そんなアザあったっけ?』と勘違いしたりするんですね。
【サザエさん】を見ても、
『何年経っても、年を取らない気がする』とか思っちゃうわけですよ。
想像力の欠如という事になるんでしょうかね。
実際の人間も、マンガ化されたら面白いですよね。
喋るとその人の横に、吹き出しが出て、独り言も文字で見えちゃうんですね。
ケンカなどで激怒する場面では、背景に【ゴゴゴゴゴ・・・】なんて文字が出て、
瞳の中に炎が燃え上がりましてね。
でも、ケンカが盛り上がったとこで【来週に続く】なんて予告が出ちゃったりするんですね。
そしてその人の人気が無いと、カラーからモノクロになって
【打ち切り】になっちゃうという・・・そんな連載マンガの悲哀まで、
感じる事が可能になってくるんじゃないでしょうかね。
微笑亭さん太
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