ラブ・セカンド・サイト　はじまりは初恋のおわりから（Mon inconnue）

　「あしたは最高のはじまり」のユーゴ・ジェラン監督が、最愛の女性が自分のことを知らない、もう1つの世界に迷い込んでしまった男性を描いたフランス発のファンタジックラブストーリー。高校時代に出会い、一目ぼれから結婚したラファエルとオリヴィア。人気SF作家として多忙な毎日を送るラファエルと、小さなピアノ教室を運営するオリヴィアの夫婦生活はすれ違いが続いていた。オリヴィアと大ゲンカをした翌朝、ラファエルは見覚えのない部屋で目を覚ます。そこは夫婦の立場が逆転した“もう1つの世界”で、ラファエルはしがない中学教師、そしてオリヴィアは人気ピアニストで、ラファエルのことを知らなかった。主人公ラファエルを「私の知らないわたしの素顔」のフランソワ・シビル、オリヴィアを「最後のマイ・ウェイ」のジョセフィーヌ・ジャピがそれぞれ演じる。（映画.comより）







＜2021年5月16日　劇場鑑賞＞

　「ある日目覚めたら違う世界の自分」な〜んて、使い古されたネタ！と思ってたんだけど、意外におもしろかった。主人公のラファエルと親友は高校生役とおじさん役を同じ役者が演じるので、高校生の時は違和感半端なく（もちろん女優さんも同じだが、彼女は童顔なので違和感なし）、最初は高校であることが認識できなかった私でした。で、ふとした出会いから恋に落ちたラファエルとオリヴィアは、その後も順調に愛を育み結婚。しかし、作家として成功したラファエルと、ピアニストとして活躍するもその後順調に行かなかったオリヴィアは、次第にうまくいかなくなります。そして喧嘩した後、やけ酒を飲んで眠ってしまったラファエルが目覚めると、そこはあるはずのない世界が広がっていたのです。学生時代からアホばっかりやってた親友は、そこにいます。でも、成功したはずの自分は、彼と一緒にしがない中学校教師（国語）で、独身。彼女はいるし、女に不自由はしていないみたいなんだけど、オリヴィアは・・・？と思って探すと、彼女は超人気ピアニストだった。もちろん、ラファエルなんかに縁はなし。華やかな世界に身を置いています。うっそぉ〜信じられない！そんなバカな！ということで、なんとか元の世界に戻ろうとするラファエルの涙ぐましい努力が始まります。

　一人で変なことばっか主張して空回りしているラファエルに、周りはしらけるばかり。しかし、これは決してコメディではありません。大いに真剣なラファエル。でもね、彼女の好みを知っているつもりが、大好きなお菓子やコーヒーの銘柄も違ったりするのです。過去が違うのですから、好みが違うのは当たり前ですよね。だから、それを知っていることによって周りが驚き、だんだん認められる、という展開にはならないのですね。ただ、親友だけはやっぱり話の端々を信じてくれるようになり、そのうち協力してくれるようになります。でも、以前の記憶を頼りに、「あそこをこうすれば元に戻るんじゃないか」という試みは、ことごとくうまくいきません。見てる方も「もういいじゃん」って思いました（笑）。

　しかしながら、元の世界に戻るかどうかは別にして、ラストは素敵な展開を迎えます。「そうか、そうなのね」と、話の持って行き方に快哉を叫ぶ思いでした。実際は溜め息が出たわけですが。なるほど、よく考えられてます。素敵なラブストーリーでした。女優さんもとってもきれいでした。ちょっとジュリー・デルピーの若い頃みたいな。

　興醒めなこと言って申し訳ないのですが、個人的には、ころっと違う世界に生まれ変わって（？）、なんで同じ人を探すんだろうと思いました。男の人ですから「自分はもっと成功していた」という意識もあって戻りたかったのでしょうが、私ならせっかくだから違う人と新たに恋愛するなぁ（笑）。男には女にはない”所有欲”みたいなのがあるのかもしれんけど。ごめんなさい、あくまで個人的な考えです。

　大画面でなくても（DVDでも）いいかもです。