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2021年05月12日09:22

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特許事務所の明細書作成業務はリモートワークになり得るか

★知財なはなし。コミュのテーマ「特許事務所の明細書作成業務はリモートワークになり得るか」についてのコメントをメモ(記録)と致します。

柱書:

特許事務所の明細書作成業務はリモートワークになり得るか



tomtomさんのご記述内容

2021年05月11日 14:06

コミュニティのメンバーの皆さん、こんにちは。新型コロナウイルスの変異株のまん延が進む中、元気で業務に携わっておられますか。さて、こんな中、「特許事務所の明細書作成業務はリモートワークになり得るか」という問題を考察してみたいと思います。業務の内容だけから判断すれば、十分リモートワークになりうる、つまり在宅で明細書作成はできるといっていいでしょう。その意味で、特許事務所の業務は比較的リモートワークになじむ業務であると言えましょう。

ところが、この「明細書作成業務」という業務、弁理士の資格を持っていない特許技術者が行う時は、ちょっとやっかいな問題が発生することはみなさんご存知の通りです。というのは、クライアントからの依頼を受けて、業として特許出願手続代理業務(明細書作成業務を含む)を行うには、弁理士の資格を持っていることが必要なのです。弁理士の資格を持っていない人が、クライアントからの依頼を受けて明細書作成業務を行うと、その明細書作成をしている無資格の特許技術者の明細書作成行為は、弁理士法75条に抵触する可能性があります。

また、その無資格の特許技術者に明細書作成を命じている(雇用主の)弁理士は、その「明細書作成を命じる行為」が、弁理士法31条の3の「名義貸しの禁止」の規定に抵触する可能性があります。しかし、特許事務所業務の現状では、特許事務所の弁理士が、従業員の弁理士資格を有さない特許技術者に明細書作成を命じることは日常茶飯事に行われています。

では、この法律抵触をどういう方便で対処しているかというと、「無資格の特許技術者の明細書作成行為は補助業務である」という方便を使っているわけです。つまり、無資格者の明細書作成行為も、弁理士の「適切な指示及び監督」の下で作成されたものならば、その明細書作成行為は補助業務のカテゴリーに入り、名義貸しの禁止規定に抵触しないとしているわけです。

そうすると、特許事務所の弁理士としては、このリモートワークで明細書作成業務をしている無資格の特許技術者に対しても、「適切な指示及び監督」をしなければならないということになります。ここで仮に「適切な指示及び監督」をせずに、あたかも明細書作成業務を外部業者に丸投げ発注しているかのようにやらせていたとします(リモートワークだとそういう図式は発生しやすくなりましょう)。すると、これは、外部発注する弁理士側の発注行為が名義貸しの禁止規定に抵触する懸念がでてまいります。また、特許技術者側も、その明細書作成業務をあたかも個人事業主が受注して行っているかのような就労形態で行うと、その無資格の特許技術者の業務受注行為が弁理士法75条に抵触してしまうと考えられます。

しかしそうはいっても、特許事務所の経営者は、事務所所員の新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からは、やはり、所員にリモートワークで明細書を書かせるオプションは、ある程度は避けて通ることはできないのではないかと思われます。しかしそこには、弁理士法75条や弁理士法31条の3への抵触のリスクが潜在しているので、注意が要るのではないでしょうか。



[1] モリオバッハ

2021年05月12日 09:18

tomtomさん

おはようございます。

私がサラリーマン時代、28年間、特許管理に従事してきて、20か所の弁理士事務所と付き合って参りました。

弁理士1人と女性の事務員1人から、弁理士20人と男女の事務員50人まで、種々の特許事務を処理していました。

大半は、弁理士が、数人の事務員に、出願(明細書作成)から、中間処理、登録に至るまで、任せていました。

明細書の原稿は、事務員が作成し、弁理士が、それを診て、明細書の文章の加除、言い回し、書き換え等々を指示して、出来た原稿をクライアントに送って、クライアントの意向、意見を尊重し、出願を支持・指示してきました。

大半の事務員は、弁理士資格を保持されておらず、事務所内で、弁理士と話合いながら、コンセンサスをとっていました。

このようなスタイルの弁理士事務所が、一般的なのではないかしらと想っています。

サラリーマン時代、特許侵害訴訟事件(東京地裁・高裁)を、28年間実体験してきて、弁理士と顧問
弁護士先生に対して、反論理由を明確化し、主張点のベースを、私が考え、弁理士と弁護士が、合意の基に、答弁、審尋の書面を作成して貰い、毎回、地裁・高裁に出席しました。

今では、弁護士を伴わないで、弁理士が、資格を有すれば、裁判で、答弁・審尋が出来る様になり、便利になりましたよね!!

出願明細書よりも、特許・意匠・商標侵害訴訟事件の対応の方が、面白かったです。

本件のリモートによる明細書の作成も、基本的な考え方・診方は、同様な様相と想っています。

何事も、リスクがあれば、弁理士の責任で、処理すべき問題と考えています。

如何でしょうか?

感謝。

追記:


[2] tomtomさん

2021年05月12日 14:01

>>[1] モリオバッハさん

>明細書の原稿は、事務員が作成し、弁理士が、それを診て、明細書の文章の加除、言い回し、書き換え等々を指示して、出来た原稿をクライアントに送って、クライアントの意向、意見を尊重し、出願を支持・指示してきました。

コメントありがとうございます。明細書の原稿は「事務員」が作成するというお話、大変興味深く伺いました。この場合の「事務員」は技術のバックグラウンドを持っている人を指すのでしょうか。例えば大学の理工学部卒業程度の学力があるとか。そうでなく、全くの事務員であるとしたら、とてもユニークな仕事の進め方ではないかと感じました。

ま、要は、出願手続きに入るまえに弁理士がチェックをして、明細書の内容に弁理士が責任を持てるのなら全然問題は無いと考えます。リモートワークによる明細書作成でも、弁理士がチェックする前の段階の原稿を無資格の人がリモートワークで作成し、その作成された原稿を弁理士がチェックするのなら、問題はないでしょうね。



[3] モリオバッハ

2021年05月13日 06:51

>>[2] tomtomさん

おはようございます。

早々のご返信ありがとうございました。

私が記述した出願原稿の作成から出願に至るまでの流れは、一般の大企業での特許(知的財産)管理部と弁理士事務所との間では、普通の様相であったことも、特許協会(現、知的財産協会)の各部会や商標協会の各部会で、各大企業の特許部長や課長からヒアリングして、ほぼ同様であったことが検証出来た次第です。

出願を依頼する側のクライアントは、特許事務所から診れば、お客様であり、特許事務は、クライアントの意向に沿って、明細書を作成して貰えました。

大企業でも、自社に社内弁理士がいて、自社内で明細書を作成して、社内弁理士の責任で、出願したいる企業や、弁理士に一切依頼せずに、社内の特許部の出願担当者が、明細書を作成して、特許庁へ直接出願している企業もありました。

ご質問された件、下記に回答しましたので、ご参照戴き、ご参考情報となれば幸いです。

Q1:明細書の原稿は「事務員」が作成するというお話、大変興味深く伺いました。この場合の「事務員」は技術のバックグラウンドを持っている人を指すのでしょうか。

A1:弁理士事務所の事務員は、大きい事務所程、明細書を専門に作成する人もいれば、中間処理を専門に対応する人、特許庁に出願する人、事務所の種々の経費担当等々、分かれていましたが、小さい事務所は、明細書作成事務員が1人で、その他の諸事務を1人でされているところも多々診て来ました。

明細書作成事務員は、普通、技術的な要素が求められますから、当然、技術的な分野で、機械・電気・建築・土木・化学等々の出身者(理工学部、工学部の大学、高専)が採用されていました。

普通の事務職では、明細書作成は出来ません。

サラリーマン時代、勤務していた特許部では、大半が工学部出身者で理系が占め、事務職は、普通科の文系がでした。

事務職で、意匠図面の作成や商標出願(出願〜中間処理〜登録手続き)を手伝って貰っていたこともありました。

特許(知的財産)のセンス(感性)を身に着けて貰うために。

特許部では、特許出願の大半を弁理士事務所に依頼し、意匠や商標は、自社出願して参りました。

意匠や商標の中間処理で、困った場合、弁理士に相談したり、複雑な場合、途中で、弁理士に依頼してきた次第です。

まあ、中間処理で、拒絶理由に対する意見書の作成で、しばしば、特許庁の審査官と面談して、どのように対応すれば登録出来るかを教えて貰うことも出来ました。

昭和末期から平成時代にかけて、ペーパー紙出願、社長印の捺印から電子出願となり、印鑑を使用することもなくなり、様変わりしましたので、出願に関した件で、特許庁の審査官や審判官との面談する機会も減少しました。

特許&実用新案の中間処理で、モデル(模型)やサンプル(見本)を持参して、審査官と面談し、審査官が、出願図面では、判明出来ない点を、立体物で、説明したら、よく理解出来たと言って喜んで貰えました。

このようなケースでは、公告・登録査定が直ぐに送付して貰えました。

どうぞ、リモート時代、テレワーク時代、今や、特許庁の近所に弁理士事務所を置かなくても、どこでも明細書を作成することが出来る時代を有効に活用され、明細書の作成に励んで戴きたいです。

感謝。


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