mixiユーザー(id:12923117)
2021年04月21日11:21
122 view
『私というパズル』感想
〜ボストンで暮らすマーサは、パートナーであるショーンとの間に授かった赤ん坊を自宅で出産する準備を整えていた。助産師イヴ立ち会いのもと、壮絶な痛みを乗り越えて出産するが、赤ん坊はすぐに死んでしまう。計り知れない悲しみと喪失感の中で、対立の絶えないパートナーや高圧的な母との関係に苦悩するマーサ。やがて彼女は、世間から誹謗中傷を浴びせられる助産師イヴと法廷で対峙することになるが……〜＜映画.comさんより＞
そこそこ内容に触れています。ご注意を！
劇場以外で観た作品はこちらにはあまり感想を書かないようにしているんですが・・・今作はかなり余韻がきたので書くことにしました✍
主演のバネッサ・カービーはアカデミー賞主演女優賞にノミネートされているので（ベネチア国際映画祭ですでに女優賞を受賞）授賞式の前に観ておきたかったというのもあり、ネットフリックスで観賞。
絶対書かなきゃいけないのが、冒頭すぐの出産シーン。
長い、長いと思ってたら、なんと25分もあったとか！
で、もしかして、ノーカットの長回しだったかも・・・。
これだけでも、話題性というか、その勇気というか、すごくないですか？
破水から誕生まで。陣痛の間隔。担当するはずの助産婦が来れなくなって、代わりの助産婦さん登場。お互い、やや不安。
パートナーの励ましジョーク。途中お風呂。異常を感じつつもマーサの願いで自宅出産続行。痛みは更に激しく・・・ようやく産まれてくれたものの・・・赤ん坊の呼吸が止まってしまう。。。
ここからどう生きるか、なんです。
それはマーサ本人だけではなく、ショーン、マーサの母親、マーサの妹、いとこと、まわりの人々にも影響を与えていきます。
赤ちゃんはいなくても、産後の体は変化しています。
マーサは大人用オムツをつけていて、また小さな子供を見かけると、母乳が出てしまったりします。
張りを押さえるため、自宅では冷凍食品を胸にあてています。
こういう細やかな描写が、まず、好きでした。
娘の死因は特定できず。
そのまま葬儀の準備が始まるのですが、墓碑の名前の綴りが間違っていたことで、ショーンと対立。
マーサにとってはとっても大事な事なのに、ショーンは「細かいことを言うな」の一言。これは酷い。
いとこのスザンヌが法律事務所で働いていたこともあり、民事訴訟を起こすべきでは？という展開になっていきます。
とにかく早くこの事について終わらせたいショーン。
（なんとショーンはスザンヌと関係をもってしまうという・・・）
マーサの母親は家族を集めた食事会で、やはり裁判をすべきだと語ります。
マーサ「私の問題でしょ？」「賠償金が目当てなの？世間体なの？」
母親「あなたが自分と向き合うためよ」
マーサ「私は向きあってきているわ」
母親「“正義”を求めるべきなのよ」
マーサ「それはあなたの望み。私の望みじゃないわ」
母親「私の望み通りにしていたら、今頃･･･赤ちゃんを抱いていたはず」
「自分を恥じている。母親として娘を諭し立ち上がらせ、声をあげさせるべきだった」
そして母親は自分の出生の話をします。
「今のままでは立ち止まったまま。乗り越えなきゃ」
そしてなんと母親はショーンに小切手を渡して、マーサの元から去らせるという。。。
舞台は法廷へ。
ここからの終盤がまた素晴らしいんです。
しっかりと伏線が回収され、光が見えてくるエンディング。ひたすらホッ。
脚本最高です。不運にも子供を亡くしてしまった女性のやり場のない悲しみ、苦悩。
心と体のアンバランス。周囲の目。ひたすら共感。
マーサの心理描写に使われていたこれら３つがとにかく印象的
�ゞ供�
・ショーンは橋の建設の仕事をしていた。完成間近？
・スザンヌの事務所に飾られていた崩落した橋の絵。崩落の原因が判明しなかったが、どうやら’共振’よるものだと。
固形物の持つ固有の振動数が、外と内で一致すると振動が増幅され、共振し崩落したという説。これはまさに子供を失ったマーサとショーンの事なのでは？
・最後にショーンが携わっていた橋は完成している。そこからマーサが遺灰をまく。
�△蠅鵑�
「赤ちゃんに匂いはりんごのようだった」と法廷で語ったマーサ。
発芽の本を買って、りんごの種を冷蔵庫で発芽させようとしていました。その結果は？
そして、エンディングに出てくる
��バランスボール
妊婦のエクササイズに最適とあって、この家にも置かれていたんですが、ある時、マーサがそれを・・・。上手い！
�ぜ命織侫�ルム（現像）
※予告編
https:/
とにもかくにもバネッサが素晴らしい！！！
『赤い闇 スターリンの大地で』で初めて彼女を観たんですが、ここまで実力ある女優さんとは！やはり舞台出身の俳優さんは違うというか。
オスカーはフランシス・マクドーマンドだろなって思ってたんですが、いや、バネッサに獲ってもらいたいって思うように。
ショーン役シャイア・ラブ―フさんも母親役エレン・バースティンさんも素晴らしかった！
『グッド・タイム』の監督＆出演のベニー・サフディさんまで出てました。
監督は『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲（ラプソディ）』のコーネル・ムンドルッツォ。
ちょっと意外。いや、でも、わかるかも。
ほぼ100％、私好みの作品でした。
ひとつだけ気になったのは・・・階級問題。
マーサの母親は裕福。対してショーンはいかにも労働者階級出身者。
マーサとショーン、仲良かったのに・・・結局は元に戻らない、戻れない。あの描かれ方は悲しいものがありました。
男性の方であまり観たいと思われる方はいないかもしれませんが・・・でも題材だけでスルーされてしまうにはあまりにも勿体ない素晴らしきヒューマンドラマです。
限りなく満点に近い4.5☆
※自分用メモ
『私というパズル』は2018年に舞台劇として、ポーランドにて公演されておりコーネル・ムンドルッツォ監督は、舞台劇でも監督を務めポーランドの月刊誌「Teatr」にて、最優秀監督賞を受賞。
そこそこ内容に触れています。ご注意を！
劇場以外で観た作品はこちらにはあまり感想を書かないようにしているんですが・・・今作はかなり余韻がきたので書くことにしました✍
主演のバネッサ・カービーはアカデミー賞主演女優賞にノミネートされているので（ベネチア国際映画祭ですでに女優賞を受賞）授賞式の前に観ておきたかったというのもあり、ネットフリックスで観賞。
絶対書かなきゃいけないのが、冒頭すぐの出産シーン。
長い、長いと思ってたら、なんと25分もあったとか！
で、もしかして、ノーカットの長回しだったかも・・・。
これだけでも、話題性というか、その勇気というか、すごくないですか？
破水から誕生まで。陣痛の間隔。担当するはずの助産婦が来れなくなって、代わりの助産婦さん登場。お互い、やや不安。
パートナーの励ましジョーク。途中お風呂。異常を感じつつもマーサの願いで自宅出産続行。痛みは更に激しく・・・ようやく産まれてくれたものの・・・赤ん坊の呼吸が止まってしまう。。。
ここからどう生きるか、なんです。
それはマーサ本人だけではなく、ショーン、マーサの母親、マーサの妹、いとこと、まわりの人々にも影響を与えていきます。
赤ちゃんはいなくても、産後の体は変化しています。
マーサは大人用オムツをつけていて、また小さな子供を見かけると、母乳が出てしまったりします。
張りを押さえるため、自宅では冷凍食品を胸にあてています。
こういう細やかな描写が、まず、好きでした。
娘の死因は特定できず。
そのまま葬儀の準備が始まるのですが、墓碑の名前の綴りが間違っていたことで、ショーンと対立。
マーサにとってはとっても大事な事なのに、ショーンは「細かいことを言うな」の一言。これは酷い。
いとこのスザンヌが法律事務所で働いていたこともあり、民事訴訟を起こすべきでは？という展開になっていきます。
とにかく早くこの事について終わらせたいショーン。
（なんとショーンはスザンヌと関係をもってしまうという・・・）
マーサの母親は家族を集めた食事会で、やはり裁判をすべきだと語ります。
マーサ「私の問題でしょ？」「賠償金が目当てなの？世間体なの？」
母親「あなたが自分と向き合うためよ」
マーサ「私は向きあってきているわ」
母親「“正義”を求めるべきなのよ」
マーサ「それはあなたの望み。私の望みじゃないわ」
母親「私の望み通りにしていたら、今頃･･･赤ちゃんを抱いていたはず」
「自分を恥じている。母親として娘を諭し立ち上がらせ、声をあげさせるべきだった」
そして母親は自分の出生の話をします。
「今のままでは立ち止まったまま。乗り越えなきゃ」
そしてなんと母親はショーンに小切手を渡して、マーサの元から去らせるという。。。
舞台は法廷へ。
ここからの終盤がまた素晴らしいんです。
しっかりと伏線が回収され、光が見えてくるエンディング。ひたすらホッ。
脚本最高です。不運にも子供を亡くしてしまった女性のやり場のない悲しみ、苦悩。
心と体のアンバランス。周囲の目。ひたすら共感。
マーサの心理描写に使われていたこれら３つがとにかく印象的
�ゞ供�
・ショーンは橋の建設の仕事をしていた。完成間近？
・スザンヌの事務所に飾られていた崩落した橋の絵。崩落の原因が判明しなかったが、どうやら’共振’よるものだと。
固形物の持つ固有の振動数が、外と内で一致すると振動が増幅され、共振し崩落したという説。これはまさに子供を失ったマーサとショーンの事なのでは？
・最後にショーンが携わっていた橋は完成している。そこからマーサが遺灰をまく。
�△蠅鵑�
「赤ちゃんに匂いはりんごのようだった」と法廷で語ったマーサ。
発芽の本を買って、りんごの種を冷蔵庫で発芽させようとしていました。その結果は？
そして、エンディングに出てくる
��バランスボール
妊婦のエクササイズに最適とあって、この家にも置かれていたんですが、ある時、マーサがそれを・・・。上手い！
�ぜ命織侫�ルム（現像）
※予告編
https:/
とにもかくにもバネッサが素晴らしい！！！
『赤い闇 スターリンの大地で』で初めて彼女を観たんですが、ここまで実力ある女優さんとは！やはり舞台出身の俳優さんは違うというか。
オスカーはフランシス・マクドーマンドだろなって思ってたんですが、いや、バネッサに獲ってもらいたいって思うように。
ショーン役シャイア・ラブ―フさんも母親役エレン・バースティンさんも素晴らしかった！
『グッド・タイム』の監督＆出演のベニー・サフディさんまで出てました。
監督は『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲（ラプソディ）』のコーネル・ムンドルッツォ。
ちょっと意外。いや、でも、わかるかも。
ほぼ100％、私好みの作品でした。
ひとつだけ気になったのは・・・階級問題。
マーサの母親は裕福。対してショーンはいかにも労働者階級出身者。
マーサとショーン、仲良かったのに・・・結局は元に戻らない、戻れない。あの描かれ方は悲しいものがありました。
男性の方であまり観たいと思われる方はいないかもしれませんが・・・でも題材だけでスルーされてしまうにはあまりにも勿体ない素晴らしきヒューマンドラマです。
限りなく満点に近い4.5☆
※自分用メモ
『私というパズル』は2018年に舞台劇として、ポーランドにて公演されておりコーネル・ムンドルッツォ監督は、舞台劇でも監督を務めポーランドの月刊誌「Teatr」にて、最優秀監督賞を受賞。
7
6
ログインしてコメントを確認・投稿する