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2021年03月23日00:12

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作家繚乱

若者の本離れという事が言われて久しいですが、
今は本当に本の売れない時代を迎えています。
比較的判りやすい大衆向けの小説ですら売れないわけですから、
【純文学】などは、言うに及ばずです。


以前、お笑いのピース又吉さんが書いた小説『花火』が、
驚異的な売り上げを見せて話題になりましたよね。


芸能人が本を出版すると、
売れたとしても内容の評価は今いちみたいなパターンが多いですが、
彼の小説は、作品としての評価も高かったです。


冒頭の文章が
『大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重なり響いていた。
熱海湾に面した沿道は白昼の激しい陽射しの名残りを夜気で溶かし、
浴衣姿の男女や家族連れの草履に踏ませながら賑わっている』
・・・いかにも【純文学】という匂いがしますよね。


これ要は『熱海湾に面した沿道は祭りで賑わっている』ってだけの事を、
これだけの豊かな表現力で書いているわけです。
純文学というのは、文章に芸術性を求めたものですから、これで正しいわけでして、
さすがは芥川賞作家の中村文則さんに『ちょっとした作家よりも本を読んでる』と
言わしめただけの事はありますね。
水嶋ヒロさんが裸足で逃げ出す文章力ですよね。


この『花火』は三島由紀夫賞の候補にもなったわけですが、
この三島由紀夫という方も、なかなか個性的な方でしてね。


様々なエピソードをお持ちなんですが、
一番有名なのが【カニ嫌い】という事でして、カニが苦手だったようですね。


『カニは不倶戴天の敵』などとして、カニを見るとたちまち真青になって、
ブルブル震えて逃げ出したそうですね。
何しろ【蟹】という漢字まで嫌っていたそうですから相当ですよね。


では食べるなんてとんでもない話かと思うと、
殻から取り出して身だけになると平気で食べたらしいですから、
随分と都合のいいカニ嫌いですよね。
三島さんが落語家になっていたら、得意ネタは絶対『まんじゅう怖い』じゃないかと思いますね。


著名な作家さんというのは個性的な方が多いようで、
島崎藤村という方は、自分の姪を妊娠させて海外に逃亡したそうでしてね。
「島崎藤村はいつ逃げたの?」
「夜明け前」
これでは【島崎逃走】になっちゃいますけどね。


新しいところでは、遠藤周作さんが面白い方でして、
俳句を書く時のペンネームは【雲谷斎(うんこくさい)】だった方ですから、
エピソードにも事欠きませんね。


『ちびまる子ちゃん』でお馴染みのさくらももこさんが、遠藤周作さんと対談した際、
遠藤さんから『必ずかけてね』と言われて電話番号を渡されたそうですね。


彼女は失礼があってはならないと、律儀に電話したところ、
かかった相手は東京ガスの支社だったそうでして・・・これくらいの遊び心がないと、
良い作品というのは書けないんでしょうね。


微笑亭さん太
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