■アヤナミ可愛いよ！
アヤナミレイ（仮称）、可愛かったですね。彼女は第三村で多くの人に触れ合い、急速に自我と情緒が発達していきます。いろいろなものに興味を抱き、美味しい物を食べ、生きる楽しさに目覚める。このアヤナミの可愛さは、幼い子供に感じる可愛さです。目をキラキラさせて犬や猫や赤ん坊に接するアヤナミに悶絶です。そしてアヤナミが滞在するのは、鈴原家。トウジとヒカリが結婚して、ツバメが生まれたばかり。これは、旧作や破まではついに描かれることのなかった、父が居て母が居て子供を慈しんでいる、とても普通だけどこうあって欲しいという、理想の家族がいる家です。でもシンジにはそんな暖かい家族を見るのは辛くて辛くてしょうがない。自分が不幸にしたはずの人達と一緒にはいれない。見かねたケンスケに連れられて、シンジは一人暮らしの相原家へ。
■アスカはおせっかい
ところが相原家には、なぜかアスカの姿が。理由があって人前に姿を現せないアスカは、第三村滞在中はずっと相原家に居候。シンジに大して出てくるのは嫌みばかり……。しかしそれでもアスカは口では拒絶を示しつつ、シンジに対する干渉を辞めない。シンジはここからも逃げ出さざるをえません。でなんか、アスカがケンスケとくっついたと憤慨している人がいるらしいですけど（別にそれでもいいと思いますが）、少なくともこの時点でアスカはケンスケと恋人関係になんかなってませんよ？ ケンスケのアスカへの二人称も『式波』とそっけないですし。実はアスカは、愛だの恋だの言ってられる状態じゃない、もっと悲惨な境遇なのです。この件は長くなるので後で書きますよ。どうでもいいはずのアヤナミレイ（仮称）に対しても、あいつは今も消えないで活動しているのか？ とわずかな気遣いを見せています。本当に優しい、いい子だよ。
■シンジの癒やし
で最終的には、シンジはアヤナミをきっかけに癒やされます。『誰か僕に優しくしてよ』と叫んでいたシンジが今作では『何で誰も彼も僕に優しくするんだよ』と叫びます。罰が欲しいのに第三村では誰も断罪してくれない（事情を知らなかった時期のヴンダーでは、みな蔑んでくれてたのに）。しかし、かつての友人達が自分を責めないのはシンジに好意を持っているから、友達だから、ということでシンジ君はあえなく陥落。他人から拒絶されていたのではなく、他人を拒絶していたのは自分だったと気付いたからには、これまでの父親やミサトとの関係にも可能性を見いだしたかもしれない。さらには『ここにいたい、そのために名前が欲しい』『ここが好き、でもここでは生きられない』と消えてしまったアヤナミを見て、父親と対峙して何らかの決着を付けなくてはならない、と復活します。長かったねここまで。
■なぜ14年なのか
エヴァパイロットのチルドレンは14歳だから、区切りの良い数字だから、というのは勿論なのでしょうが。でも旧作であった14歳って年齢、新劇ではそこまで強調されていませんでしたね。正直、5年でも10年でもある程度の時間が流れていれば何でも良かったとは思うのですが、いくつか事情が考えられます。
まず、かつての同級生が成長し、大人になるための時間。倍の年齢というのは確かに区切りでしょう。ツバメが生まれたばかりというのは、トウジとヒカリが連れ添った時間に比べると遅い生まれに感じますが、窮乏した状況で計画外の妊娠は親子共に不幸になりかねませんから、慎重だったのでしょう。あとはリョウジ君。ミサトは最終的に擬似的なシンジの母親役を務めることになるので、ミサトがシンジに実子を重ねて見るために、リョウジが14歳前後まで成長する必要があったのかな。サードインパクトの被害規模に比して第三村の生活が安定するまでには、相応の時間が必要だったというのが、最も大きな理由でしょうか。
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