名護市辺野古の新基地建設に伴う沖縄防衛局のサンゴ特別採捕許可申請に対し、農林水産相が許可するよう県に是正指示したことを「国の違法な関与」とし、県が取り消しを求めた訴訟の判決が3日、福岡高裁那覇支部であった。大久保正道裁判長は「県が申請を許可しないことは裁量権の逸脱で許されない」と判示。農水相が「許可せよ」と迫った是正指示は適法とし、県側の請求を棄却した。県は判決を不服として上告する方針だ。
判決後の会見で玉城デニー知事は「大臣が許可、不許可を判断できることを認める判決で、地方公共団体の自主性を著しく制限して問題がある。納得できない」と問題視した。
辺野古を巡る県と国の9度目の訴訟は県側の全面敗訴となった。県の判断を前に国が「許可せよ」と迫る手法を司法が追認したことで、軟弱地盤の改良工事に伴う埋め立て変更承認申請にも影響を与えそうだ。
上告すれば、来年度の早い時期に判決が確定する見込み。県が判決内容に従わなければ、国が県を相手に訴訟を起こす可能性もある。
判決で大久保裁判長は、国の申請後、通常必要な期間を過ぎても県が判断しなかったことを違法と認定。仲井真弘多元知事の埋め立て承認で造成工事の実施は確実との前提に立ち「サンゴ類の死滅は免れず、採捕は公益的な必要性がある」とした。変更承認申請の承認が得られなかった場合は「無益な工事になったとしても、護岸の造成工事を妨げる法律上の根拠は存在しない」と指摘。県は工事が進む前提で申請の許否を判断する必要があるとの認識を示した。
その上で、水産資源保護の観点から移植が必要なのは明らかだと強調。県が判断しないだけでなく、許可しないことも違法と踏み込んだ。是正のため農水相が許可するよう指示したことは適法とした。
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