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2021年02月21日13:27

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NHK大河ドラマ「麒麟が来る」最終回について

コーヒー日曜日という事で時間を自由に使えるのを利用して日頃の抱え込んだ感情を吐き出そうと思います。

とは言え、別にコンプライアンス違反を承知で職場の闇を書きなぐるとか‘怖い…’事をするつもりはないのでご安心して下さい。(がっかりされた方とはここまでのお付き合いですね。あせあせ

ふらふら今日、日記にでも書き散らさないと心の平穏が保てないと思った主題は、そう皆さんご存知の2020年NHK大河ドラマ『麒麟が来る』の最終回での「本能寺の変」の描き方です。

まず本能寺の変については日本で義務教育を受けて育った方ならいまさら説明する必要もないですが一応概略を説明すると、織田信長によって室町幕府最後の第15代将軍足利義昭が京都を追放され事実上幕府政権が崩壊した(その前にすでに京都を追放されて諸国を流浪した将軍が‘複数‘存在しているけど、そこは置いておいて…)後に中央政府としての権力を掌握した織田信長に対してNo1クラスの部下の明智光秀が軍事クーデター(謀反)を起こして織田信長を殺害した事件です。歴史的な意味ではこれ以上でもこれ以下でもない世界中でよくある出来事です。しかしこの事件は『日本史上最大のミステリー』として扱われています。なぜかというとクーデターを起こした明智光秀がその直後に同僚の羽柴秀吉(豊臣秀吉)によって鎮圧されてしまい結果的にはクーデターは失敗して明智光秀は破滅してしまったので、『明智光秀のクーデターの動機もクーデター後の政権構想も解らず仕舞い…』だからです。まず、いま述べた本能寺の変の概略を再確認してからここからの私の与太話にお付き合いしていただければ幸いです。

では2020年NHK大河ドラマ『麒麟が来る』での本能寺の変の描き方とはどの様なものだったのか。特に主人公明智光秀の謀反の動機とはどの様なものとして脚本化されたのかですが、ドラマではこれがよく判らないのです。それらしき事を表現しているのは織田信長の正妻「濃姫」に「製造者責任として不良品の織田信長は明智十兵衛(光秀)様が始末(殺す…)を付けなくてはなりません!」的な意味を明智光秀が教唆されるシーンのみです。あ、あと、時の天子正親町天皇にも似た様な暗示を受けていましたね、確か「月に昇る者たちは、だれ一人として元の場所には戻らない…」とか例えられて。なぜ織田信長が不良品の天下人として‘これ’らの人々から疎まれる事になったのかという理由は、朝廷を敬う心を失った粗暴な言動や敗死させた敵武将の首を足蹴にする様な野蛮な行動など信長の不安定な情緒についてだけです。そう、織田信長役の染谷将太さんの名演で描かれる「幼稚な織田信長」しか「本能寺の変」における明智光秀の動機が描かれていません。つまり、このドラマには、なぜ?「本能寺の変」を明智光秀が起こしたかという合理的な説明が一切されていないのです。
これでは明智光秀をわざわざ主人公にして1年もの期間に渡る連続ドラマを創る必要性が感じられないですね。NHK大河ドラマ『麒麟が来る』での「本能寺の変」の原因は端的に言えば、『織田信長が幼稚でバカだから先生の明智光秀が教師として責任をもって殺した!』という風にまとめて良いでしょう。泣き顔酷いね…

電球ここでNHK大河ドラマ「麒麟が来る」から少しだけ離れて「本能寺の変」の理由についていくつかある代表的な仮説を紹介したいと思います。

1、 明智光秀の信長に対する個人的な恨みが爆発した説
 ここに織田信長による明智光秀に対するいじめ説や、長宗我部元親との約定を無視されたなど多種多様な明智光秀のルサンチマンが語られます。

2、 朝廷、足利義昭、毛利輝元などの黒幕陰謀説
大河ドラマではこの中から正親町天皇の暗示だけ少しだけ描いているように見えなくもないですね。

3、 宗教問題に対する立場の違い説
ここでの宗教は比叡山延暦寺の天台宗や石山本願寺の浄土真宗などが対象ではなく、キリスト教それもイエズス会士の人身売買などの悪行を放置する織田信長に対する遺恨を覚える明智光秀という比較的新しい視点が提起されています。同様の事は明智光秀だけでなく松永久秀からも信長は上申されていたそうです。余談ですが明智光秀に政治ポリシーが近いと思える松永久秀は信長に仕える前の主君であった三好長慶にも同様の警告をしていたそうですが、織田信長も三好長慶も、「弾正(松永久秀)は存外に狭量だな。(笑)」と取り上げなかったそうです。この問題に中央政府が対処するのは豊臣秀吉の「イエズス会修道士に対する質問状」からなのでかなり先の事になります。ただし、松永久秀も明智光秀もこの問題に気づく点ではかなり良いセンスをお持ちですね。目

仮説がいくつもある事が証明するように「本能寺の変の原因」はいまだ日本史上最大のミステリーであり続けています。ここでもう一点見落としがちなのは、明智光秀が事件当時に高齢者だった事です。本能寺の変の時に67歳で織田信長とは18歳も年長者だった事は意外と忘れてしまう事ですね。ただしNHKの大河ドラマ「麒麟が来る」では逆にこの両者の年齢から類推される関係、「師弟関係に近い軍師明智光秀」をやや強調されすぎた気がしなくもないですね。


私ならば逆にだい4の仮説として…

4、 明智光秀の認知症説…
敵が備中高松城にではなく京都本能寺にいると勘違いしてしまった。げっそり

という仮説を思いつきます。

そんな事を考えながら何か関係がありそうな本を書棚で探してみたら、現代語訳「信長公記」太田牛一著 中川太古訳 角川書店 に気が付きました。

著者の太田牛一は織田信長の軍隊の古参で足軽隊(歩兵部隊)を指揮する中堅クラスの幹部を務め、その文才を評価されて信長の側で秘書役として仕えた人物です。ゆえに書かれている内容には一定の信憑性があると考えられています。
「信長公記」の記述では明智光秀の動機は土岐氏の傍流である明智の天下を望んだと分かりやすい野心として処理されています。

そんな中で私が注目したのは明智光秀が本能寺の変を起こす前に愛宕山に参詣し3度も御神籤を引いて運勢占いをしている事です。その晩は愛宕山に参籠しています。

私は‘この’愛宕山に引っかかるものを覚えました。

愛宕山は修験の霊場として有名で日本中の霊山に棲む48天狗の長兄格の「愛宕太郎坊」の棲家として知られています。とくに太平記の第27巻「雲景の未来記のこと」という太平記の物語本編から離れた山伏雲景が体験する怪異譚の舞台としてよく知られています。
この太平記の第27巻というのは、直前にあたる第26巻で南朝方の軍事力として最後の希望だった楠正行が討ち死にしてしまい、ほぼ北朝の勝利が決まってしまう。普通は戦争が終わり世の中も平和に収まるだろうと考えるところ、

「いや、そうではなくますます戦乱は激しくなるであろう。なぜならば、勝者の北朝方は足利直義と高師直の2つの勢力に別れて争いを激化させる…」

と世の人が絶望的になる話を『愛宕山の大天狗、愛宕太郎坊』が雲景という修験の山伏に語る場面です。(※話の趣旨とは関係ないのでオカルトファンが大好きな‘黄金の鳶’が舞い降りる天狗評定の場面は割愛します。)
つまり、何が言いたいかというと、「本能寺の変」直前に武田勝頼が戦死し戦国大名武田氏が滅び、今また西国の雄、毛利氏が備中高松城下で織田信長に降伏と臣従を誓いつつある中、普通は「これでもう大きな戦争は終わり世の中が平和になる!」と考えるところ、明智光秀だけは『愛宕太郎坊』に願掛けをしていた。という事を太田牛一は言いたかったのではないかと思います。あるいは、織田信長の天下を確信した明智光秀は、それでも「心の中の闇」と向き合い自分の野心を思いとどまらせてくれる最後の審判を仰ぎに愛宕山に登ったが、そこで山伏雲景と同じく古老の山伏(愛宕太郎坊)と出会ってしまったのかもしれないと太田牛一は想像したのかもしれないですね。

指でOK私も太田牛一の考えに近い事をここで再確認させてもらいました。

最後にNHK大河ドラマ「麒麟が来る」の最終回を見て「もやもや…」した不快感が胸を占めた理由は織田信長公が戦国時代を終わらし世の中を平和にしようとしていた努力を過小評価して、それをぶち壊した明智光秀を持ち上げる。しかも明智光秀の言い分はまったくといって取り上げずにただただ、織田信長がバカで幼稚だったからしかたがない…

こんな感想しか出てこないドラマは創るべきではないですよ。

泣き顔(この程度の吐き出しではまだ心の平穏は来ない。でも、何もしないよりは救いがある…)

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