mixiユーザー(id:22439974)

2021年02月11日18:34

672 view

本 ”ふたりみち”  山本幸久

”ふたりみち” 山本幸久

本年1冊目は好きな山本氏の3年前の作品。
昨年末に文庫化されたのでお買い上げ。

函館から津軽海峡をフェリーで渡る67歳の野原ゆかりは、元ムード歌謡の歌手。
借金返済のため、営業の旅に復帰したのだ。
その船内で知り合った12歳の家出少女森川縁(ゆかり)が、
なぜかゆかりの後をついて来る。
八戸、仙台、石川、島根とツアー先で起きるトラブルや
55歳の歳の差を乗り越えて、いつしかふたりは固い絆で結ばれていく。
そしてたどり着いた最後の会場、東京。
そこにはゆかりの悲しい過去が刻まれていた…。(BOOKデータより)

今回も主人公二人の軽妙なやりとり、行く先々でツアーが中止になる珍騒動、
若干ベタで強引な展開もありましたが、終盤に様々な伏線を見事に回収、
そして最後の一行の感動、楽しませてもらいました。

実はシャンソン歌手を目指していたポジティブな性格のゆかりさん、
苦労の多かった歌手生活とその後の人生だった。
起死回生を期しブランクを超えて自らの営業でなんとか企画したツアーなのに、
それがどこも笑えるぐらいトホホなトラブルだらけ。
それでも縁をはじめ昔からのファン、周り人たちの協力で乗り越える様は、
山本氏得意のお仕事小説そのものでした。

ラップバトル、マルチ商法、動画拡散、パワハラといったトレンドのトラブル、
山本氏お馴染みのアヒルバスニヤリとし、
そして恩人のカメラマンやバンドマスターとの古くからの絆、
ゆかりと縁の友情、縁の母の思い、ゆかりの秘めた苦悩でホロリとさせられ、
いつものように喜怒哀楽てんこ盛りで大満足。

恒例の文庫本でのスピンオフ追加は、二人のコロナ禍の中での
その後が描かれていて、変わらぬ二人に安心しました。

ゆかりの唯一のヒット曲、コブシ効きまくりの”無愛想ブルース”、
そしてゆかりのデビューのきっかkとなった絶品のシャンソン名曲”愛の讃歌”が
聞きたいです。
キムラ緑子あたりで映画化してほしい!

3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年02月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28