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2021年02月02日15:12

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さんかく窓の外側は夜

映画『さんかく窓の外側は夜』を観て来ました。
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原作はBE×BOYで連載していたヤマシタトモコさんの漫画。そう、これ、連載がBE×BOYなのですよ。ようは、分類するとBL漫画。でも、これ読んでBLって思う人いるのかな?と(^_^;)。いや、編集の人、よく、この連載にGOを出したなと。私が編集者だったら、「ヤマシタ先生、もうちょっとBL色を出して下さい。」と言っちゃいそうだよ。確かに、理人の三角への執着とかBLっぽい要素はあるケド、気付かない人は、そのままスルーよね。ヤマシタさんは絵にエロさがあるので、それでなんとかBLっぽく見えるかな?くらいで。
BL好きより、寧ろオカルト好きが嵌りそうだな…と。奥瀬サキさんの漫画が好きな人は好きなんじゃ…と思ったり(私もそうだけど)。

私は原作がとても好きなので、映画も観に行きました。実写映画化なのでハードルを下げて観に行ったのですが、そんなに酷い出来ではなかったよ。てか、あの話をよく2時間弱で纏めたな!!一応、物語の中の重要要素…これは伝えなければというのは、入っていたと思う。その代り、先生と非浦さんの関係とか、非浦さんと毒親の関係とか、そういう諸々はカットされていたケド(ここも原作では重要ポイントよね)。

ちょっと原作と違う部分もあったよね?非浦さんのお母さんって原作では生きていたよね?あと、映画の中の石黒は「先生」と呼ばれていたが、原作でいう「先生」とはちょっと違うのかな?と。(原作では、最終局面が先生VS理人になるよね)

ざっくり粗筋を言うと、冷川理人という青年がいて、彼は除霊が出来るのだが、彼が偶然、三角康介という霊視が出来る青年と出会い、半ば強引に理人は三角を助手にし、除霊屋を手伝わせる。そこで、非浦英莉可という、“呪い屋”をやる女子高生と関わり、そこから、謎の新興宗教団体の存在も明らかになっていき、この新興宗教団体と理人が実は関係があったと言うコトも分かって行く…という話。

これ、最初読んだ時は、よくある除霊屋漫画だと思ってたら、そうではなく、読み進めると某カルト教団を思わせるような新興宗教団体が出て来たり、そこであがく非浦さんやその親のコトだったり、もっと重いテーマが軸にあるのが分かる。

まず、実写化が決まった時、非浦さんを平手さんがやると知って「わぁ!ピッタリ!」と思ったのですが、やっぱり合ってました。可愛い女の子なんだけど、どうにも払拭出来ない影がある少女。神経質そうなところとか、勘が強うそうなところとか、平手さんかな?と。でも、実写の方が、より暗かったような気はした。原作の非浦さんは、お茶目なところもあるよね。私、非浦さんと、非浦さんを守ってるヤクザの逆木の関係がとても好きなのだが、映画だと、そこはあまり描かれてなくてちょっと残念だった。

志尊氏の三角君は、原作よりかなり暗めで陰の気質かな?と。ナイーブさもアップ。湿った感じのする青年になっていた。2時間だと、そのくらい大振りしないと決着がつかないと監督が言ってて、それはそうだな…とは思う。原作にないエピソードもプラスされてたよね?子供の頃のイジメみたいなやつ。ちょっと夏目友人帳の夏目君みたいだな…とも思った(ら、同じ映画館で夏目の映画もやってた。こっちも観たかった)。

岡田氏の理人も合ってた。何考えてんだかまるで分からない感じとか、妙にエロく笑う(と言っても、口角をクイッと上げるだけの笑い方だが)仕草とかね。

で、出色が、半澤刑事を演じた滝藤賢一氏。私、日本版コールドケースを観てて、そこでも、滝藤さん刑事役で、しかも、ちょっと半澤さんぽいところもある刑事なので思わず「あれ?この刑事さん、刑事辞めたんじゃ…」となるって言う(^_^;)。
でも、合ってた。基本職務に忠実で良い刑事だけど、ガサツというか、ちょっと大雑把な部分もあるという。でも、理人のコトを信じてくれてはいるのよね。

霊の映像も良かった。この漫画の幽霊の出し方難しいと思うんだ。そこ頑張ってたと思う。ここの霊って“幽霊”というより思念みたいなモノで、得体の知れないモノという感じがするしね。

個人的に、私が好きな、理人が非浦が作った“呪いの貯金箱システム”に素直に感心して「僕もこれやろうと思ってた。」と言って、三角がドン引きするシーンがあって良かった。理人は、子供の頃前述の宗教団体(掌光会という)で隔離状態で教祖(のようなモノ)をやらされていたので、一般的倫理観が欠落している為、善悪がない。善悪が分からないというより「ない」。自分が「良い」と思ったものが善になってしまうので。これ、良く考えたら、凄く危ういんだ。原作読んでても「この人危ういよね…」と思う。その部分がこのシーンに良く出てる。怖いし気持ち悪い。

原作では、霊は、1度三角の中に入れ込んでぶん投げるのだが、流石にそれは出来なかったのか(笑)、映画では、理人は三角の心臓部分を押さえて手翳しで除霊していた。原作では除霊の感覚が「えらく気持ち良い」ってコトになってて、それがBLっぽいんだけど、映画では、そういう描写はなかった。というか、きっとその描写難しいし、原作読んでないと意味分からないと思う(^_^;)。言葉で説明したら陳腐なシーンになりそうだし。映像にしたら浮くよな。

好きなシーン。呪い貯金箱のツギハギ死体を見つける時、理人と三角が同時に「あっち」と指さして半澤さんに教えるシーン。緊迫シーンなのに、ここはコミカル。因みに半澤さんは、超リアリストで見た物しか信じない為、呪いにはかからない(信じてないから)。ある意味1番最強かも知れない。(あの奥さんが呪いにかかるって原作にあったっけ?)

あと、ちょっとしか出て来ないのに、マキタスポーツ氏演じる非浦の父親のクズっぷりが良く分かって私は好きだった。あれ、酷いよね。自分が「先生」に気に入られる為に、娘売ったようなモノだもんな。怖いのは、そういう自覚が父親本人にないコト。

自覚がないといえば。理人は三角に執着しており、だからこそ、三角に妙な呪縛の術(理人の弁では「三角君の魂はがら空きで誰でも入れてしまうから、そう出来ないようした。」なのだが)を施して、三角をキレさせるけど、理人は執着してるコトも分からないし、何なら執着が何かも分からないだろうね。原作では、最後のバトルでここが肝になるのだけれど…。で、この執着してるのが分からないってのも怖いよな…と。善悪がなくて執着も分からない男。下手したら最悪のストーカーが出来上がる。この場合、相手が三角君だったのが救いなのかも知れないね。三角は「そりゃ変だ。」ときちんと指摘出来る人なので。
あと、映画でちょっとだけど、三角と母親の関係も描かれて良かった。あの親子は、親子関係が崩れた人が多く出て来るこの物語の中で、一応まっとうに機能してる親子なので(ただ、三角の父親が…)。

映画、結構面白かったので、パンフレットも購入しました。原作を読んでおくのにこしたコトはないと思うけど、未読でも大丈夫じゃないかな?
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