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2021年01月18日12:06

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キリシタン紀行 森本季子ー331 聖母の騎士社刊

紀州の秘境 龍神と教会ー44

●丹生川のほとり
 翌朝、山本キヨ子さんとの約束で西へ赴いた。
 キヨ子さんの姑は龍神教会の恩人、大島仙吉氏夫人の妹民江さんである。そんなことから彼女は大島一家と教会の関係に詳しい。改宗談、フリン師時代の教会活動など興味深い話が尽きない。龍神最初の受洗者・伊藤勇太郎さんについて聞いたのもこの時である。
 「フリン神父様の信者教育は厳しいものでした。何かやる時、よく間違ったプランを立て、いい加減のまま着手して叱られたものです。例えば、敬老会のおすしを作る時、魚何匹ですし何個できるか、招待状は何歳から、雨天の時、参加出来ない人、余った食事、そんな事まで注意して下さいました」
 敬老会はフリン師の指導で始めたもので今まで三十年も続き、キヨ子さんは一度も奉仕を休んだことがない。
 彼女が保育園のレコード・プレイヤーが古くなっていたので、神父に無断で一個寄付したことがある。それを知ったフリン師が
 「『もしいらないと言ったらどうする』とおっしゃるんです。つまり持って行ったら喜ぶと思うな、本当に必要かどうか、という教育ですね。そんな考え方新鮮で、心に残りました。一度教えられると私もまた別の人に別の形で伝えますよね」
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